TWIGY / FORWARD ON TO HIP HOP SEVEN DIMENSIONS | 5000VOLTもの電撃を受けるとシビれます

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自分がビリビリと刺激的電撃を受けたCDやレコードなどの音を中心に、レビューっぽい感じで綴っていきます。よろしくです。



2000年2月発売の2ndアルバム「FORWARD ON TO HIP HOP SEVEN DIMENSIONS」。「カミナリ / 夜ジェット」以降、ソロ活動を始めた雷だが、ホントTWIGYとYOUちゃんばっかだな~。TWIGYに至ってはこのアルバムの前後(確か99年くらい)に、ミックステープも2本ほどリリースしている。どちらも未だに持っているが、激Sweetな仕上がりのチルアウトミックスとなっていた。あ、繋ぎは下手いけどね。

そしてこの2ndが2年前に発売された前作と大きく違う点、それは殆どの楽曲をTWIGY自身が作っているトコロだろう。枯枝楽団なるプロデュースユニット(実際にはTWIGY一人だが)の名の下、RAPのみならずトラック制作でも非凡なる才能を発揮し始めた。前述のミックステープのような課外活動が、また、良質のビートを求めるMCとしての姿勢が、彼をトラック制作に駆り出したと思う。

1曲目「INTRODUCTION」を経て、2曲目「BIG PARTY」は、フックの女性ボーカルの「AIN'T NO STOPPIN' BIG PARTY, TWIGY'S COMIN' MOVE YA BODY」と、TWIGYの「飛べよ飛びな踊りなここで、ぶっとびな跳びなパーティ」の絡みが色っぽくて好き。ピンクの12インチも、曲のイメージっぽくて良かった。3曲目「1 Minute of Fresh G.K. Funk」は、マーヤンのソロスキット。続く4曲目はシリーズ物の、「病む街 pt.2 (1/f MIX)」。元々はペイジャーの同名曲で、MUROと再びこの曲をリメイク。オリジナルには参加していなかったRINOも参戦で、悲しげなピアノループのフックと打ち込みドラムが印象的だが、オリジナル超えはできなかった。

5曲目「今は昔」も、イルマリアッチの「今昔物語」には勝てないかな~。8曲目「GO! NIPPON」は、ゲストにMACCHO、MACKA-CHIN、M.C. Kha-laを迎えた曲で、それぞれスキルフルなヴァースをキックするが、白眉はM.C. Kha-laかな。レゲエDJだけど、フロウがトラックと合っていて耳心地が良い。9曲目「Represent」はDJ YASビートで、グリーンズのHORSE(CHOKE)とC-KONGの2人によるスキット。11曲目「金」は、俺の好きな「延滞料金は?払わんよ」というラインが飛び出す。高円寺ドラマ、オメー等だよ、いっつも延滞料金取りやがる。南口のTSUTAYAが潰れたからって強気営業しやがって。まぁ、期限内に返さない自分が一番悪いんですけどね…。ハイそれくらい解ってます、言ってみたかっただけ。

12曲目「HONEY」は、前述のミックステープでの武者修行の成果が色濃く現れたようなスウィートナンバーで、フックには女性ボーカルを起用。ペイジャー時代にも、「風呂上がりに聴くシャンテ・ムーア」というリリックを吐き出していたTWIGYだし、元からこういうのが好きなんだろうな。14曲目「夜行列車 (T2K MIX)」は、第1弾の先行シングルだった気がする。これもペイジャー時代にP.H.を迎えたソロ曲のリメイク。今作はリメイクやセルフカバーの類いが多いけど、どれもオリジナル超えをしていないトコロは悲しい。この曲もそう。BOY-KENじゃね…、P.H.には勝てないっしょ。

15曲目「LOVE ALIBABA」も12インチ切られたな~。アップデートされまくったリミックスより、こっちのローなオリジナルでしょ断然。16曲目「Interlude #sixxx」のYOUちゃんは置いといて、17曲目「七日間」は、先行リリースのミニアルバムの表題曲。ハハイ!も飛び出すし、この曲スゲー好き。「この話しをよく聞け、人の話しをよく聞け、キキナッヨ~♪」18曲目「もういいかい2000」も、12インチカットされてた。1stもそうだったけど、しかしシングル多いな~。インスト聴けるから良いんだけどさ、一般リスナーはこんなに買わないだろ。リリックの真意を汲み取りにくいTWIGYだが、この曲はメッセージが込められたリリックで珍しい。戦争批判と言えばチープな響きになるが、言い回しやライミングは彼ならでは。

19曲目「希少情報 (HYDRAULIC FUNK MIX)」は、アフリカバンバータ御大を迎えた1曲。オリジナルはRINOが参加したハーコーシットだったが、かなりアゲアゲなリミックスに。ワッショイワッショイって…、まぁアリかな。スペースファンクなエレクトリックサウンドはバム先生を迎えるには最適な出来だし、新境地だね。

全20曲。
南部のトレンドを取り入れたアルバムというフォーカスを当てられていた本作も、2008年の今となっては、“当時”の南部の影響はサウンドから感じるものの、スクリュー&チョップされている曲があるワケでもないし、PAUL WALLやYOUNG JEEZY好きにもオススメの1枚というワケではない。それでも枯枝楽団の、人とは違ったアンテナの張り具合には敬意を払うし、ヤワなサウンドではないのだけど、やはり彼の作品は音よりも、MCとしてのTWIGYを楽しみにしてしまう感は否めない。そう考えると、既発曲のリメイクやインタールードの多さがどうしても気になってしまうんだよな~…。

ああ…、鬼才TWIGY、まさかの連続マイク3本、いや、3000VOLT。