放射線って体にいいの?悪いの? | くらえもんの気ままに独り言

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 今回は今までとは変わって、放射線による体への影響について書いてみたいと思います。


 東日本大震災に伴う原発事故以後、放射線について以下のような真逆の言説が出回っておりました。


①「放射線はたとえわずかな量であっても発癌のリスクが増えるため、なんとしても避けるべきだ」

②「少量の放射線であれば体に害はないどころか、むしろ健康に良い」


 これって、どっちが正しいんでしょうか?


 実はどちらも正しいのです


 え?なに言ってるの?と思ったかもしれませんが、理屈の上では本当なのです。


 ①はいわゆるLNT仮説(閾値無し直線仮説)のことですね。放射線は物理的にあるいは活性酸素種の発生により間接的にDNA鎖を切断すると言われています。しかし、二重鎖のうち一本の切断であれば、たちまち修復されますし、二重鎖切断(あるいは細胞分裂中などでDNAが単鎖となっているときの切断)の場合でも、修復系・アポトーシス(修復不能な場合に細胞を自己死へ導くこと)系などの重要遺伝子が傷害を受けなければ細胞は癌化しません。つまり、運悪く重要遺伝子がやられてしまったときに癌化するというわけです。この確率は受ける放射線の量が多ければ多い程高くなりますので『確率的影響』と言われます。

 しかし、この理屈は理論的には正しいのですが、浴びた放射線の量が低い場合には証明することはできません。なぜなら、癌化の原因は外からの放射線によるものだけではないですし、活性酸素種の発生にしても外からの放射線によるものだけではないため、仮にごく少量の放射線を浴びたことによって運悪く発癌したとしても、それが放射線を浴びたせいで癌になったと証明することは不可能なのです。(このことをもってして原発安全神話の信者の方たちは少量の放射線は無害だと言いますが、理屈の上では間違いというわけです。)


 ②はいわゆるホルミシス効果のことですね。放射線を受けると活性酸素種の発生やDNA傷害が起こるのですが、これに反応して抗酸化系の遺伝子がより活性化することによって、活性酸素種etc.へ対抗する力がより強くなるということです。ある意味、エネルギー需要が増えるので、老化予防にもなるかもしれませんね。

 もちろん、この効果は少量の放射線の場合には見られるのですが、大量の放射線を受けた場合にはさすがにデメリットの方が多くなります(癌化orハイパーインフレ)。


 つまり①②は両立可能な意見であったというわけです。少量の放射線でも運が悪ければ癌が発生するが、癌が発生しなければむしろ体にはよさそうというわけですね。


 ちなみにタバコとか肥満とかでのDNA傷害は少量の放射線に比べてハンパないので、放射線は少量でも避けるべきだとお考えの方は、さぞ健康的な暮らしをされていることでしょうね( ̄∀ ̄)。


 にしても、日本人は原発の放射線とかは過敏に気にするくせに、ちょっと頭が痛いとか、お腹の脂肪の量を測りたいとかで、すぐにCT撮影を受けたがる・・・。CTも放射線をたくさん使った検査なんですけど・・・。少なくとも小児~青年期のCT撮影は発癌リスクが高くなるようです↓


 Cancer risk in 680 000 people exposed to computed tomography scans in childhood or adolescence: data linkage study of 11 million Australians

 http://www.bmj.com/content/346/bmj.f2360

 Radiation exposure from CT scans in childhood and subsequent risk of leukaemia and brain tumours: a retrospective cohort study

 http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960815-0/abstract


 というわけで、今回のまとめ

 「少量の放射線は積極的に浴びることはないが、心配しすぎることもない!」

 

 まぁ、価値観の問題ですので、少量の放射線でも避けたいという方を決して罵倒したりせぬよう。(特に原発安全神話信者の方々)


 P.S.

 鼻風呂に書いたコメントの一部を再掲↓


 ラッキーガン(from ドラえもん)
http://okonomimie.com/dora/luckygun.htm

これを「危険な道具」と思うか「お得な道具」と思うかの違いであり、両者とも正しいのです。