前回は肥満者がなぜ食事制限・運動などをする動機の形成がうまくいかないのかという研究を参考に、なぜ政府はデフレ対策をする動機の形成がうまくいかないのかということを考えてみました。簡単に言うと比較的楽な手段(規制緩和や緊縮財政)に飛びついてしまうという話でした。
今回は「よし。デフレ対策しよう。」と決意しても、それを長続きさせるのは難しいという話です。
引き続き、前回引用した論文から
『肥満の改善はなぜ難しいのか:アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)からの提言』
http://pscenter.doshisha.ac.jp/journal/PDF/Vol1/pp53-64.pdf
「肥満者は即時的で確実な減量や生活習慣病の改善を望む傾向があるが、期待している量の減量は即時的・持続的に得られない場合が多い。つまり、食行動や運動を継続的に改善・維持しないと効果は得られない。即時的な効果が得られない行動は減少していくことが過去の研究によって明らかである。
体重減量は初期は順調だが、その後順調な減量ペースが難しくなる維持期が訪れる。この時、患者はそれまでの生活習慣改善や減量に安心感を持ち、その反動から体重減少の停滞や軽いリバウンドを起こすことが多い。そして、こうした失敗を繰り返すと減量への動機も低下する。
さらに肥満は社会文化的要因、生理学的要因、精神的要因などの要因が関連するとされる。日本においては容姿に対する偏見の方が米国より強く、また、職場における宴会や接待の回数が多い中年男性ほど肥満の有病率が高いことも示唆されており、日本の肥満は社会的に一定の地位にあることを示すものであると考えられる。(一部を要約)」
では、上記の文章を日本の経済に置き換えて考えてみましょう。
まず、第一段落ですが、デフレ時には早く確実にデフレ脱却したい、安定的に成長したいと望むものの、すぐには目標に達することはできないという話ですね。そして、すぐに効果が得られないと、その政策は効果がないとされてしまうのです。例えば1990年代前半は公共事業が盛んに行われ、景気の下支えを行っておりましたが、規模は不十分であったためもあり、すぐには効果が表れなかったため、その後、公共事業やっても景気拡大効果がないと思うに至りました。
続いて、第二段落ですが、デフレ対策をやって最初のうちはそれまでのマイナス分が反転することもあり、順調に成長路線へ向かうように見えるのですが、それでホッとするのかデフレ対策を途中でやめてしまうということです。例えば消費税を3%→5%へ上げたときも、今回の5%→8%への増税もそうですが、景気が上向いてきたかなというところで、油断して増税に走ってしまうんですね。そして、景気が悪くなるとアベノミクスとかやっても無駄だったんだなという話へ流れていくのではないかということです。
そして、第三段落ですが、肥満が一種のステータスとなっていることに注目です。肥満ということは摂取したエネルギーよりも使うエネルギーが少ない状態、いわば質素倹約というわけですが、実際の経済においても日本人というのは質素倹約が文化的に素晴らしいものだと考えられているのではないでしょうか。放漫財政的なものは日本人の感覚的にはけしからんものと考えられていることがデフレの一要因になっているのも確かでしょう。
以上、今回はいざデフレ対策をやろうと思っても長続きしない原因について検討してみました。
次回以降は、どのようにこれらの問題を解決していけばよいのかということについて、読み解いていこうと思います。
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