映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲 | にゃ~・しねま・ぱらだいす

にゃ~・しねま・ぱらだいす

ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

バンダイビジュアル
映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
【監督】原恵一
【主演(声)】矢島晶子、ならはしみき

正月休みというのは普段手を出さない映画にTryする時間でもある。
オチがミエミエのラブコメディにしても、『オトナが泣ける』と評判の
お子ちゃま向けアニメ映画にしても。

春日部に完成したテーマパーク『20世紀博』。
古き良き高度成長期の日本を彷彿とする大阪万博や、下町の風景を模した町並み。
退屈する子供たちを余所に、大人たちの方が自分の幼年時代に思いを馳せ夢中になっていた。
しかし実はその場所こそ、学歴社会や競争原理に愛想をつかしたケンが組織する
洗脳機関の中枢だったのだ。
次の日の朝、大人たちは取り憑かれたようにケンたちの迎えの三輪ミゼットに
次々と乗り込んでいく。
会社を、仕事を、家事を、そして子供たちを放棄して。
残されたシンちゃんたちは父母を取り戻すために、ケンたちに立ち向かっていく-。

『最近、仮面ライダーやウルトラマンが面白い』という話を家庭持ちの友人によく聞く。
どうやらそのメインターゲットは子供ではなく、そのバックボーンにいる親なんだそうだ。
イケメンを主役に配するのも、昔の怪獣を引っ張り出してきて骨太な話を構築するのも
全て大人たちを虜にするためらしい。確かにその戦略は、関連商品を購入させるための
マーケティングとしては間違いなく正解。
それに対するアンチテーゼのような提言を投げかけるように見せかけて、実はどっぷり
その戦略に乗り切っている本作。それがこの作品の評価を高めている不可思議な謎。

この作品を見た現在の小児たちは、10年後見直して新たな感動に出会うのかもしれない。
そうあたかも我々が今ウルトラセブンを見直して、感慨深いものを味わうように。
あ、是非この休みに見直して見てください。特に第8話『狙われた街』。名作です。


【評価】
★★☆☆☆