最新作”緑はよみがえる”の公開を前にして、
エルマンノ・オルミ監督の”木靴の樹”が、
かの岩波ホールでリバイバルされた。
銀幕で観るのは何十年ぶりなんだろうか?
今回はDCP上映との事なので、どの程度の補修を
受けたのかも気になり、3時間を超える長尺と
岩波の狭い椅子との闘いも気にしつつ、神保町へ。
昔観た時は35mm上映でボワボワした画の向こうに
覗いちゃいけない世界を垣間見た様な既視感に
囚われ、フィルム上映の底力を感じた。
無論、息を潜む様に3時間固唾を呑んで見守った。
しかしDCPだとそれが掻き消えてしまう。
これは旧作リバイバルで何度も体験した事だが、
デジタイズされて安定した画では、ただ単に
古くて映りの悪い昔の素材が眼前にあるだけで
微塵も”味”を感じないのである。
う~む、、、
あの”木靴の樹”が別物に見えてしまった。
物凄い敗北感を感じる(泣)
無論、最初からデジタル制作されてDCP化された
物は何の問題も無く馴染んでおり、普通に映画
として観る事が出来るが、35mm撮影された物で
80年代以前の物でのデジタイズが著しく良くない
様な気が個人的にはする。アナログの飽和的な
表現が画も音も端的にオーバーシュートになり
全く持ち味を出せないんだなこれが、、、
結果これ以上の劣化は無くなるが、映写機の燃える
様な光源から放たれる厚みは無い。
傷もジッターも必要なんですよ。