スタートラインが遠かった、準備不足の夏/後編
富士登山を泣く泣く中止したのには、いくつか理由があった。
後ろ向きな箇条書きはあまり好ましくないけれど、
無視することができない部分でもあるので、
後で自分で読み返す用のメモを残しておこうと思う…しくしく…。
・天候
現地に行かないとわからないことのひとつだけれど、
2日目(ご来光&下山)の天気予報は見事に雨マークだった。
早々に登頂をあきらめて、8合目でご来光を見ようかとも考えた。
吉田ルートは5合目以上ならどこからでもご来光が見えるのが
良いところなのだけど、それすらも見られない可能性が高かった。
予定していた日の前数日間は天候がずっとぐずぐずで、
ご来光が見られなかった!荒天で引き返した!という人が多かったらしい。
たまたま私が見た人がリタイア組が多かったのかもしれないし、
山頂までたどりついている人ももちろんいたのだけど、
あまりのリタイア組の多さにちょっと驚きが隠せなかった。
悪天候なら気圧の変化も激しいし、雨風に晒されれば
あっという間に体力が奪われていくであろうことは容易に想像できた。
前回登った時は途中でぱらっときたけどわりとすぐ止んで
その後は降らなかったし、雲はあったけどご来光も見られるくらいには
気象条件がよかったのに、今年はどうしたもんか。
・靴
直前になるまで気づいていなかった盲点。
私のトレッキングシューズは、というかトレランシューズは、
防水仕様じゃなかった。これが雨予報でやめた理由の一番大きなところ。
思いっきりメッシュ素材なので、濡れたらどんどん浸みていく。
濡れて気温が下がったら、足先から体温を奪われていくということだ。
元々手足が冷える体質なのに、さらに濡れて冷えてしまったら…
万が一荒天だったとして、予約してある小屋までたどり着けるのか。
予約していた小屋が7合目あたりだったら、決行してたかもしれない。
勝手がわかっていて心配いらない8.5合目の小屋を予約していたのだけど、
この時ばかりは8.5合目がとてもとても遠く感じた。
励ましてくれる人がいないことは承知の上で単独登山を計画したので
孤独な戦いになるであろうことはもちろんわかっていたつもりだったけれど、
その道のりが想像よりもさらに過酷になるかもしれない、と思うと
あまり無謀なことはできないな、と思った。もう後ろ向き。。
・目的
初心に返って、なぜ富士山に登ろうと思ったのか考えてみた。
もう一度山頂に立ちたい。
絶景が見たい。
ご来光が見たい。
自分の力を試したい。
何かを成し遂げてみたい。
もちろんそういう動機はあったけど、一番大事かも…と思ったのは
「登山自体が楽しめるかどうか。帰ってきた時に楽しかったと思えるかどうか」
ってことだ。
リタイア組、山頂まで行ったけどもう二度と行きたくないという人たちの声を
ネット越しに見ながら、じゃあなんで富士山行ったのよ?って思ったりした。
想像より厳しい条件が揃ってしまった、とか、いろいろ理由はあると思うけれど、
覚悟決めて行ったんじゃないのか…なんて思ったりした。なんちゅう上から目線。
同時に、私は苦しい思いをしに富士山に行きたいわけじゃないと気付いた。
もちろん富士山から見下ろす景色はとても素晴らしいし、
登頂という目標を成し遂げた時の達成感は文句なしに大きい。
ゴミだのトイレだの混雑だのといろいろ意見はあれど、
それなりの魅力がある山だと思っている。(まったくの個人的意見)
富士山に登る前までは、もう二度と行きたくないって思うんじゃないかって
思いながら行ったけど、富士山なりの魅力みたいなものがわかって、
私は何度でも行きたいと思っている。(今のところは。苦笑)
多少過酷でも、それが富士山の魅力の一部だとしたら、それもひっくるめて
楽しめるようになれたら理想的だなーなんて思っていた。
でも、悪天候の中登って、楽しいと感じるだろうか?
正直、自信がなかった。体力不足と、いざという時の判断が遅いこと。
装備の雨天対応が甘いこと(ヘッデン、手袋、靴とか)。
足りてないと思うことが山ほどあった。
あんなに何か月も前から楽しみにしていたはずなのに、なんなのこのチキンは。
何よりも私は「登山を楽しみたい」のである。
富士山は登っている途中がつまらない、とよく言われるけど、
私だって体力もないしきついと思うし、景色を楽しむ余裕がなかったら
やっぱり山行はつまらないものに感じると思う。
で、登っている途中はやっぱり帰りたいって思ったりするんだけど、
つらいのと楽しいののギリギリのところを行ければ最高だと思っている。
ゆるすぎる山行だと物足りないし、きつすぎてつらい思い出しか残らなかったら
山なんてやめてしまうかもしれない。そもそも飽き性だし。
いろんな人に言われたのはこれだ。
「天候悪いのに無理して行かなくても、山は逃げないから」
…納得です。激しく納得。
私のまわりに悪天候で山行こうとしてる人がいたら、私だってそう言うだろう。
富士山は初心者でも登れる山だけど、何かあった時は自己判断が原則。
勇気をもって撤退…というほどの山ではないだろーと鼻で笑われそうだけど、
初心者だって何の考えもなしに突っ込むわけにはいかないのである。
いろいろ思ったことを書いてみたけれど、
結局のところは「楽しいと思える自信がなかったチキンです」ってこと。
書いてても凹むけど、先週末は毎日のようにチェックしていた
「富士山」「ご来光」などのキーワードを封印して極力見ないようにしていた。
撮りためていた富士山の番組も全部見ない。見たら悔しくなるから(苦笑)。
でも、今になってようやく次の富士山アタック計画のことを考えたり
別アプローチを検討したりという余裕がでてきたので、
なんだかちょっとホッとしている面もある。
ゆるーく楽しんでいるだけで、傍から見れば
いつまでたっても幼児の水遊びレベルかもしれないけど、
それでも細く長く(?)続けていきたい趣味。
山歩き楽しいもん。痩せればもっと楽しいはず(白目)。
「楽しさ第一、安全第一」を心にこれからも山行こうと思ってます。
…ていうか、もう待ちきれなくて、入笠山行ってきたけどね!
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