こんばんは、押田です。5月になりました。GW、暑くもなく、寒くもなく、大変気持ちの良い気候です。
3月から工事に入っていた、深谷市K宅の庭の改修工事が先月、完成いたしました。
工事を振り返りたいと思います。
お施主様のKさん宅。
「いつかはここに流れをつくりたい」と思いながらも、なかなか思い立たず、そのまま放置されていた様子。
コナラ、クヌギ、モミジ、シャラノキなど、雑木類も植えられていました。
昨年の10月でしたが、日差しが強く暑い日でした。
しかし、大きなコナラとクヌギのおかげで庭に入ると、ひんやりとした空気が流れていました。
既存の石を利用しながら、流れをつくりたいというKさん。
なかなか面白そうな工事になりそうな予感がしました。
この道路の奥で水が湧いていました。
水量も豊富です。
荒川へも近いこの地域(旧花園町)はとても水に恵まれた地域です。
落葉期は置いてある石がとても目立ちます。
無造作に石が置いてあるという状況でした。
木々の間を抜ける小川のラインを描いてみました。
大きな既存の石の配置をやり直すことにします。
この時期、雨が多く、寒い日が続きました。
なるべく既存の木々は移植せずにそのまま生かしていきたいところです。
1m樹木を左にずらしたい、向きを変えたい、
など、どうしても細かいところが気になってきます。
結局、手間はかかりましたが、ほとんどの木を掘り取る(移植する)ことになりました。
上流から下流まで20mほど。長いです。
これほど長い本格的な流れは私自身初めてでした。
気合を入れ直し、流れの制作に取り掛かりました!
一昔前は高値で取引されていた、三波石ですが、現在は価値も下がり、どこにでもある石になってしまいました。
「もっと皆さんの地元の石も見直して欲しい!」
京都の老舗石材屋さん、「北山都乾園」さんがそんなことを言っていたのを思い出します。
地元にある石、既存の石を生かしきることに価値があると思います。
地元を流れる荒川を模し、上流は秩父付近、中流は地元の寄居や花園付近をイメージし、流れを作ることにしました。
大まかに木々の移植も終え、その間を小川が流れるイメージ。
なんとなく流れの雰囲気が出てきました。
こちらもだいぶ小川らしくなってきました。
植栽も少しずつ植えていきます。
定年後、趣味のゴルフをやったり、畑仕事をしたり、頼まれる仕事をしながら、とても穏やかに、楽しそうに毎日暮らしています。我々から見ても、理想的な暮らしぶりです。
工事の最初、K宅の庭のクヌギの木を伐採しました。
その枝や幹を使ってのシイタケづくりです。
大きくなったコナラやクヌギを伐採し、シイタケづくりに利用する。
昔の里山の生活のようです。
これぞ雑木の庭の最終形です。
「シイタケの菌が余った」ということで、うちでもやってみました。
ちょうどいいタイミングでクヌギの剪定枝を入手。
早速シイタケ作りを行いました。
そんなKさんがシイタケ作りをしている外では、湧き水のところで、おばちゃん2人が洗濯!
「川で洗濯」なんて光景、今どきなかなか見れません。
とてものどかな空気が流れる地域です。
我々もこの水路を使わない手はありません。
新人の鈴木君です。
おばちゃんに気を使い、下流側で石を洗いました~
流れの石組みも終え、下地のセメントを打ち、いよいよ水を流してみます。
「途中で水音を出したい!」というKさんのリクエストがありました。
途中に2箇所、落差が作ってあります。
うまく水音がするか、実験してみました。
緊張の一瞬でしたが、チョロチョロと心地よい水音が鳴りました!
成功です。
もちろん雑木類を植え込みます。
表土は落ち葉や枯れ枝を敷き詰める
「雑木林風の仕上げ」。
一気に雰囲気が高まりました。
左に大きく蛇行していく手前で水音が鳴ります。
左側の平らな石も、元々あったもの。
ベンチとして再利用。
雑木の庭の中で、シャラの木は他の木々と順応しにくいといわれています。
しかし、シャラの木を単独で扱うことなく、数本を集め、さらに気勢を考えて植えることで、他の景色と調和していきました。
シャラの小道ができました。
荒川の上流付近をイメージ。
さらさらと鳴る水音が心地よい庭になりました!
夕方になり、すべての作業を終えて、新人の鈴木君が道具を洗います。
3月初旬は冷たい水でしたが、工事も終わる頃には水も暖かくなりました。
少し前のニュースで、ここから、数百メートルのところ日本最大級のアウトレットモールが出来ることが決まりました。
ここ旧花園町も以前は田舎町でしたが、現在は花園インターチェンジ付近から、国道140号沿いは郊外型のチェーン店が連続して建ち並びます。
さらに、3年後にアウトレット。
街が栄えることは決して悪いことではありませんが、最近覚えてしまった「水脈」のことが多少気がかりです。
いつまでもこんな素晴らしい湧き水が枯れることなく流れ続けて欲しいと思います。
中央園芸にしては長い、1ヶ月以上にも及ぶ工事となりました。
このような素晴らしい機会を与えてくれたKさんに感謝です。ありがとうございました!