いじめアンケートの活用 | 中学理科教師のつぶやき

中学理科教師のつぶやき

中学校理科教師として25年。ひとつの意見として、ここに私の日々考えたことを記録していきます。同業の方、現役生徒、現役親御さんとのネットでの交流もできるといいですね。

いやはや、暑いねえ。

今年は夏らしい夏だな。
めずらしくスイカ食いてえ。


今日は、いじめアンケートについて


いじめを早期に発見するために
いじめアンケートというのを実施していますな。

本校ばかりでなく
おそらくは、どの学校でも何らかの形で
アンケートや質問紙調査を
行っていることでしょう。

アンケートなんかやっても
生徒は本当のことなんか書かなくて
実態はつかめないんじゃないかな。

なーんか、当局のアリバイ工作

ちゃんと調べましたよ。私たちは。

みたいな感じがして
意味ないんじゃないかと
つい、思ってしまいますが

実際は、いじめ発見のきっかけNo.1が
アンケートや質問紙調査なんです。

これは

データがとられているのでしかたがない。
数字がそう示していますから。

本当のことを言っちゃうと

アンケートを実施する側からすれば
どうせ本当のことなんか書かないだろう
という先入観と
集計が面倒くさいのと
事後処理、事後指導の見通しがつかない不安とかで
広く一般から雑多な情報が集まるアンケートは
できるだけ実施したくなーい。

でも

数字でアンケートが
いじめの早期発見に有効であることが
わかっているもんですから

そういう身勝手なことを言っていないで
実施するのです。

本校では、最初、年に2回くらいでしたけど
いじめが発覚するたびに
回数が増えていき
いじめ防止基本方針では
最終的に年5回に落ち着きました。

新年度が始まって少し経った5月
1学期終わりごろの7月
2学期が始まった9月
2学期終わり頃の11月
年度の終わり2月

この5回のうち
7月と11月の2回は記名式調査で
あわせてインターネット関連の質問調査もします。

あとの3回は無記名で
いじめをした
いじめをされた見た
その他の悩み
の3問に、はいかいいえで回答する
超シンプルなもの。

アンケートをとるときに問題になるのが
集計をどうするかと言うのがありますが

基本的になるべくシンプルになるように
最初によくよく考えて設計しないと
手分けをしても大変な苦労をすることがありますから
本校の場合は、はいといいえで回答できる
シンプル質問で行っています。

いじめの内容を細かく聞いたり
誰に相談したとか、その理由とか
ア~キの中から選んでくださいとか
集計してどうにもならないことは聞かない。

ここの細かい事情の調査は
紙なんかで済ませないで
事後に対面してじっくり聞き取りを行うものです。

アンケートや調査は
やれば良いってもんじゃありません。

その後の活用が問題なわけです。

あらかじめ、調査の後の担任、学年、学校の
行動を決めておけば、集計もすばやく
調査後の動きもよどみなく進みます。

事後の聞き取り計画も
あわせて立てておきましょうね。

もうひとつ問題になるのが
記名式にするか
無記名でやるかということ。

アンケートなんだから
無記名が当然だろうというお方がいますが
そういうことではありません。

アンケート、調査をやったあとに
その集計結果をどのように活用するかによって
記名、無記名が決まってくるのです。

無記名の良いところは
本音が出やすいということです。
自分の名前を書かなくてすみますし
選択肢に○をつけるだけの調査なら
短時間で、隣の生徒にいじめを告発したことを
知られるリスクが減ります。

ただし

名前がないだけに
無責任な回答がまざる可能性が大きくなります。
無責任とはいわないまでも
勘違いしたり、根拠のないうわさや
個人の思い込みにもとづく回答が
ときどきあったりしますの。

でも、その実態を把握する方法はありません。
誰が書いたかわからないのが無記名調査ですから。
回答を元に、個々のいじめ事案を追求することは
できないのです。

ときどき

気の利いた担任のセンセ-が
こっそり調査用紙に秘密のマークをつけたり
回収するときに座席順番に集めて
誰の解答用紙か担任だけがわかるようにしておいて
後から生徒に
確認したりしようとするケースがありますが

やめてください。

それは、生徒に対する裏切りです。
無記名といったら、無記名にしておかないと
生徒は次回からの一切の調査にうそを書きます。

信頼を失っては、いじめばかりでなく
いろんな指導ができなくなりますからね。

このような無記名の調査は
調査の後、全体の傾向を把握するために行います。

「いじめがある」と考えている人が
どのくらいいるのかを把握するためにやるのです。

実際にいじめがあるのかどうかは
日々の観察から担任をはじめとした
教師が把握に努めているはずです。

ああ、この学級はいじめがないようだなと
安心ばかりしていないで
生徒の本音はどうなっているかを
調査結果から読み取り
日頃の観察、分析の結果を補完するのです。

いじめがあるなと感じているところに
いじめがあるという調査結果が合わされば
具体的にリーダーの生徒を集めて
どうなんだ?と話し合いをするきっかけができます。

いじめがあるなと感じているところに
いじめがないという調査結果が出た場合は
生徒が実態を本音で言えないとか
いじめに対して鈍感になっているとか
問題点が明確になりますから
そこに指導の手を入れていきます。

いじめがないなと安心しているところに
いじめがあるという調査結果が出ても
やはりリーダーの生徒を集めて
実態を教師と生徒で振り返り
チェックすることができます。

要するに

無記名式の調査の場合は
いじめの実態を把握するというよりも
集計結果を話し合いのきっかけとして
実態把握に利用する形になります。

実際のいじめに対する
実態把握や対策は
話し合いの中から明確にします。

もちろん、事後の話し合いをもたなければ
アンケートのとりっぱなしになりますけどね。

記名式のアンケート調査は
調査した後に、気になる回答をした生徒を
個々に呼び出して詳しい話を聞きます。

これは、なるべく早く聞かなければなりません。
1週間かけて・・・なんてもんではありません。

だって

名前を出していじめを告発しているんですから
無視するわけにはいきませんよ。
緊急です緊急。

私が担任なら
その日のうちに家に電話をかけてでも
聞き取りを行います。

なんでもないこともあるかもしれません。
数が多いときもあるでしょう。

でも、回答したらすぐに担任が
確認に動いたという事実が大切なのです。

たいていは、さもないことを念のためとして
「気になる」回答をしてくれているのですが
中に、本物が入っていますからね。

本物を見つけたら
隠れていたいじめの発見となるわけです。

直ちに実態調査に入り
当事者の聞き取り、周囲の生徒からの聞き取り
いじめ行為の中止、事態の収拾に向けての指導
てな具合で進めていくことになります。

ときどき記名式の調査に対し
何で名前を書く必要があるんだと
抗議めいた質問を受けるときがありますけど
調査後に聞き取りをするために名前が必要なのです。

逆に言うと、記名式調査の後は
必ず聞き取りを実施しないといけません。

せっかく書いてくれたんだからね。
無視やスルーは信頼を失います。



ということで
いじめアンケートの活用について
まとめてみました。

さて、1学期分の全体集計をしないとな。

エクセル、めんどくさいけど便利で楽しー。