カカの天下878「そうです!」
こんにちは、サエですー。
「暑いですね、タマ」
「暑いでしゅね、クララ」
「暑いねー二人とも」
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今日はこんな三人で我が家に集まっています。なぜかというとクーラーがあるから。あー、うん、暑いのは外であって、中にいる私たちは暑くなかったりします。今暑いところにいる皆、ごめんねー。
「みんな、ちゃんと水分とるんだよー。じゃないと死んじゃったりするんだからねー」
先日のトメお兄さんとカカちゃんはひどかった。水分補給した後も丸一日動けなくて、私はもう心配で心配でここぞとばかりに恩を売りまくったよー。
「え! あ、暑いだけで人が死ぬのですか!?」
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「そうだよー。植物だって水分がないと枯れるでしょー。この暑さだもん、油断して死んじゃう人だっているよー」
「本当ですか!? いやクララもちろん知ってましたけど、本当ですか!?」
知らなかったくせにー。強がりクララちゃんだねー。
「わかったでしゅ、人も水分がなくなって枯れてしまうのでしゅ!」
「よく知ってますねタマ! そうです!」
「水をかければ元通りでしゅ!」
「そうです!」
「違うよー、人体はそんな便利じゃないよー」
それで済む話なら平和なんだけどねー。
「わかったでしゅ! 暑さでいきなり燃え出すんでしゅ!」
「そうです!」
「水をかければ火が消えて元通りでしゅ」
「そうです!」
「違うよー。しかも燃えた部分は帰ってこないよー」
そもそも燃えないけどねー。
「わかったでしゅ、体中の水分がふっとーして死ぬでしゅ!」
「そうです!」
「水をかければ元通りでしゅ」
「そうです!」
「こわいよー、さすがに沸騰するまでは暑くならないよー」
それにしてもタマちゃん、意外と難しい言葉知ってるねー。
「わかったでしゅ! 暑いのにアイスが食べれなくていじけて自殺するでしゅ!」
「そうです!」
そんな理由で死ぬ人がいっぱいいる世界ってすごく嫌だなー。
「水をかければ元通りでしゅ」
それにしてもタマちゃんてば何としても水で元通りにしたいみたいだねー。
「そうです!」
そしてクララちゃんはなんで全部こんなに力強く頷くんだろー?
「いい、二人とも。人間っていうのはねー?」
「ほとんどが水で出来ているんですよね! クララ知ってます!」
「タマも知ってましたでしゅ。えへん」
「だからと言って水をかければ全部解決っていうわけじゃなくて」
「今のタマは水をくれれば全部解決でしゅ」
あ、タマちゃんお水飲みたかっただけなんだね。
――数時間後。帰り道にて。
「見てくださいタマ! あんなところにタケダが倒れています!」
「本当でしゅ、タケダでしゅ。ざまーみろでしゅ」
「クララ! いくらなんでもそれはひどいです!」
「タケダが妙なことになったらとりあえずそう言えってカツコさんが言ってましたでしゅ」
「ならいいです!」
「タケダざまーみろー」
「よくないです!!」
「え? ダメでしゅか」
「そんな悪口は人としてダメです! カツコ魔王様の言うことなので即頷いてしまいましたが、ダメなものはダメです! タケダが可哀想です! カツコ魔王様には後で注意しにいきます! 魔王は恐いですけど!」
「クララがそう言うならタマ了解でしゅ」
「よかった、クララ安心です。ところでタケダはタマのお兄さんではありませんでしたか? お兄ちゃんとか呼ばないのですか」
「タケダのほうが呼びやすいでしゅ」
「そですね」
「う……うぅ……誰か……」
「タケダはぐったりしてますね」
「ねっちゅーしょーというやつでしゅか」
「み、みず……」
「おぉ、水をかければ元通りでしゅね!」
「それは違うんです!」
「そうだったでしゅ!」
「な、なにを……」
「クララ知ってます、それは違うんです! 水をかけても人は元通りにはならないのです!」
「そうでしゅ! さっき勉強したでしゅ」
「い、いや、みず」
「だからそれは違うんですってば!」
「わからない人でしゅ」
「いきましょう、タマ」
「はいでしゅ」
「あ、あの……ちょ」
完!
「い、いやその、マジで死にそ――」
完!!
「はぁ……はぁ……うぅぅぅ」
タケダの涙が雨となり、彼の命は救われたのでした。
完!!
「なんか良い感じにまとめたけど俺の扱いのひどさは変わってないよな!? な!?」
「ままー、あの人誰と喋ってるのー?」
「こら、見ちゃいけません! きっと熱中症のせいで見えない人が見えているのよ」
「そこまでわかってるなら助けてくれよ通りすがりの人!!」
今度こそ完!!
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熱中症続出。いやマジで暑いですってこの夏。
何が元通りになるかわかんないけどとりあえず水をかぶりたい!