(ビジネス知識)震災被災地に設けられる「復興特区」について、説明しますの巻 | ちょっとの努力(仮)

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今週も、水曜日は震災関連記事をお送りします。

今回は、東日本大震災の被災地に設けられる「復興特別区域復興特区)」について、説明します。

復興特区とは、東日本大震災の被災地の復興を目指し、企業の税金を免除して負担を軽減したり、規制を緩和かんわして新たなビジネスや医療体制の充実を促うながなどの特別な区域のことです。

これは民間の力を生かして復興を目指そうという政策の1つで、被災した自治体が特区を活用した計画を練(ね)り、政府に認定してもらいます。

最初に計画を提出して復興特区の申請をおこなったのは、
宮城県の「民間投資促進特区」です。

今回はこの特区を例にして、復興特区について説明します。

「民間投資促進特区」は1月27日に申請した特区で、
復興産業集積区域内での被災者の雇用や設備投資にかかる費用の一部を法人税から控除し

さらに沿岸15市町では、新規立地企業の法人税を5年間免除するというものです。

(復興産業集積区域とは宮城県の34市町村389カ所の工業用地で、
津波被害を受けた沿岸部の市町のほか、沿岸市町と取引関係があったり、
通勤する被災者がいたりする内陸部の市町村も含んでいて、

特に申請が多いのは石巻市の75カ所と、栗原市の40カ所です。)

この特区のもたらすメリットについて、少し説明しましょう。

通常、企業が新しく事業を始めたり、工場などの施設を増やしたりするには、
法人税以外にも固定資産税などの税金がかかりますが、この特区ではその
税金を払わなくていいようにしたり減らす計画になっています。

税金が減れば企業の負担が軽くなるため、宮城県は特区で企業を呼び込んだり企業の設備を増やしてもらおうという目論見(もくろみ)があるのです。

また、県内の企業の業績が良くなれば雇用も増えます。宮城県は、震災で最大の死者・行方不明者を出した石巻市をはじめ、多くの市町村で大勢の被災者が仕事を失いました。

宮城県は、この特区を生かして被災者の雇用を増やし、生活再建にもつなげたいと考えています。

さらに、工場が増えれば工場設立のための材料を扱う企業がうるおう
(設備投資にかかる費用の一部を法人税から控除されるため)など、
地元の経済波及効果が大きいと試算しています。

ただし、申請しても、すぐに認定されるわけではなく、経済産業省財務省など、特区に関係する省庁が審査し認めるか認めないかを判断します

(その判断は申請から3カ月以内におこなわれることになっています。)

なお、昨日(2月7日)、平野達男(ひらの たつお)復興担当大臣が記者会見で、先ほど紹介した「民間投資促進特区」と岩手県の「保健・医療・福祉特区」の2件を、2月9日をめどに認定する方針を明らかにしました。

2月10日には復興の司令塔となる「復興庁」が創設され、復興特区の認定も復興庁がおこなうことになりますが、既得権益きとくけんえきにこだわる省庁や業界団体などの抵抗も予想されています。

この記事ではここまで復興特区のメリットを紹介してきましたが、反対する声があるのも事実です。

実際に、宮城県の村井嘉浩(むらい よしひろ)知事は、水産業への民間企業の進出をうながそうと「水産業復興特区」を設けたい考えですが、

「民間企業はもうからないとすぐに撤退して漁港が廃(すた)れる」などと宮城県の漁業協同組合が反対していることもあって、県が申請する時期がはっきり決まっていないという現状もあります。

参考として、下に、1月30日におこなわれた宮城県知事記者会見の議事録のなかから、復興特区の申請についての会見でのやりとりを文章におこした部分をリンクしました。

宮城県知事記者会見の議事録より、「復興特区の申請について」

また、復興特区は「できさえすれば復興に弾みがつく」という簡単なものでもありません。

復興特区に全部任せるのでなく、国(日本政府)や県が、被災者が生活の基盤を取り戻したり、産業が発展するための政策を実行することも必要だと思います。

(参考:サイト「毎日jp」2012年1月29日、2月7日)


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