花の季節⑤ | きのこガリ★島根&広島を勝手に応援マンガ

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「きのこガリ」は広島で暮らすきのことガリクソンと子供たちの日常を描いたエッセイ漫画です!たまに島根の実家にも帰ります。
見てくれる人が和やかな気持ちになれるマンガを目指しています。どうぞ見て行ってくださいね♡

花の季節④からつづく



数日が過ぎ、

まだ雪が降り続く街には春の気配はなかった。



噴水の前に、歌い疲れ

やつれた姿のイレイナが座り込んでいた。



からすまんが


もう歌う力は残っていなかったが

小さな声でつぶやくように歌っていた。



ふと、冷たい風と共に甘い香りが漂い

イレイナの鼻を突く。



イレイナはその香りがする方へ力なく目をやる。



すると、優しい淡いピンク色したキレイなバラの花束が

イレイナの傍に置かれていた。


イレイナは思わず歌うのを止め、



「キレイ・・・」



と息を漏らすようにつぶやいた。



歌詞以外の言葉を発したのは、ダイロスが死んで

観客たちの前で話したとき以来だった。



イレイナは疲れきった体をゆっくり動かし、花束をそっと抱いた。



そしてその甘い春の匂いがするバラの香りを胸いっぱい吸うと



凍てついた心がほんの少しだけ



溶けたような気がしたのだった。




からすまんが



花の季節⑥へつづく