花の季節④ | きのこガリ★島根&広島を勝手に応援マンガ

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「きのこガリ」は広島で暮らすきのことガリクソンと子供たちの日常を描いたエッセイ漫画です!たまに島根の実家にも帰ります。
見てくれる人が和やかな気持ちになれるマンガを目指しています。どうぞ見て行ってくださいね♡

花の季節③からつづく




♪とおいのみちをただ ばしゃはすぎてゆく

 ふゆのしずかなよる もりはいまねむる



からすまんが


♪ときはめぐり まちのそらに ひかりあふれるあさは

 つばめたちが よみかけるよ はなのきせつがきたと


からすまんが




イレイナの澄んだ声が街に響き渡り、観客から盛大な拍手が起こる。



イレイナの前にはたくさんのコインが投げられた。



ダイロスが生きていた頃にはなかった枚数だ。



イレイナは観客たちに礼を言う。



「ありがとうございます。

 でもこれはみなさんにお返しします。


 父はみなさんにたくさんご迷惑をかけてしまいましたから・・・



からすまんが


 でも

 これだけはわかって欲しいんです。


 

 父は確かに私に辛くあたってひどい父親に見えたかもしれませんが




 本当はとても優しくて、少し不器用な父が




 私は大好きでした・・・・」




からすまんが

イレイナのその言葉に、観客たちは皆心を打たれ、

中にはすすり泣く声も聞こえた。



イレイナは言い終わるとまた歌を歌い始めた。


♪ララララーララ ララララーララ

 ばらのはなたばなげて


お母さんが、お父さんが、そしてイレイナが大好きな曲・・・

春を呼ぶ、この目覚めの歌を・・・



♪むすめたちと おどれきょうこそ もえるほのおのように



からすまんが


イレイナは1曲終わっても歌をやめることはなかった。


父も母も亡くし、一人ぼっちになってしまった、

その悲しみをかき消すように歌い続けた。



次の日も・・・また次の日も・・・



夜になっても・・・朝がきても・・・



「イレイナちゃん、まだ歌ってるのかい?」


からすまんが


家にも帰らず歌い続けるイレイナを見かねて

集まった街の人々が相談し始めた。



「やめさせた方がいいんじゃない?あれじゃ体が持たないよ」



「そうね・・・」



そう言って一人の街人がイレイナの元に行って話しかける。



しかしイレイナは聞こえていないのか、

いくら話しかけても歌をやめる様子はない。



飲みもせず、食べもせず、泣くことも笑うこともない。



イレイナの心はまるで冬の寒さに凍りつたようだった。



そんなイレイナの心を溶かすのは

暖かい春の風だけなのだ。





花の季節⑤へつづく