いよいよ人間ドックも正念場。
本命の「胃カメラ」登場！
すぐに飲むのかと思いきや、検査室に通されてからしばし待った。
隣のおじさんは胃カメラ経験者らしく、
喉麻酔薬を何分にもわたってガラガラしている。
そうかなるほど！
麻酔を完全にかけちゃえば胃カメラなんぞおそるるに足らずか！
前説明を受けて液体の薬が手渡された。
胃液の泡立ちを抑える薬。
クンクンしてみるとなんとなく甘い匂い。
あ、これは飲みやすいように味が調整されているとみた！
してやったり、と一気飲みし、お察しのとおりウエッとなった。
めっちゃ不味いじゃん。薬くさいじゃん。
甘そうな匂いは罠だったもよう。ひっかかった・・・。
次は肝心の喉麻酔。
カメラがのどを通る瞬間が一番苦しいと聞いていたので、
苦い味に耐えながら5回も6回も麻酔薬うがいをした。
3回目くらいから舌がしびれてくるのが分かった。
全部の麻酔薬を使い切る頃は、唇までしびれてきた。
「うぅ～くちびぅが～くちびぅが～」
と情けない声を出していたら、看護師さんが笑いながら
「みんなそうなりますから大丈夫ですよー」
と。あぁこれぞ天使のほほえみやー。
さて、いざ胃カメラ！と意気込んで席を立とうとしたら、
その看護師さんにStopをかけられる。
「あともうひとつ。胃の働きを抑える薬があるんです」
あ、それ聞いたことある！手術の前なんかによくやる・・・え？
まさか？！まさか？！！まさかぁ？？！！
「腕にお注射しますよー」
やっぱり筋肉注射じゃーん！！！！（涙）
私は注射が嫌いだ。ガン患者歴4年半。
未だに注射は大嫌いだ。
予防接種も痛いし採血も怖い。
でも中でも一番とんでもなく最悪なのが、この筋肉注射。筋注。
痛いという叫び声をあげる余裕を与えてくれないその痛み。
過去3回の術前処置で2回、このおそろしい筋注に遭遇してきた。
ともに、最悪な結果だった。
もう、これが出てきた時点で私の負けは決定だった。
（いや、別段なにも競ってないけどさ・・・）
涙をこらえて左腕をさらす。筋注。痛み。激痛・・・。
もうどうにでもして状態。
ただ、この開き直りが功を奏したのか、
本番の胃カメラは思ったよりすんなりいった。
いやもちろんオエオエで苦しいことこの上ない検査ではあったのだが、
先の筋注一本でもう私の闘争心は枯れ果てていたし、
頑張って辛い検査に耐えようなんて、
そんな前向きな発想は出てこなかった。
なるようになれ。
唾液にまみれようが、涙でマスカラ落ちようが、
もうどうにでもなりやがれ。
この境地のおかげで余計な力が入らず検査もすんなりいったらしい。
やはり、胃カメラがのどを通る瞬間は軽く
パニックになるほど気持ち悪い感はあった。
それでもゲーゲー言いながらも、ちゃんと十二指腸あたりまで
管が届きさえすれば、あとは何となく体が慣れてくる。
管が喉奥を動いていく不思議な感覚と、
画面に映る自分の胃袋の鮮やかさに感動しているうちに検査終了。
やってみれば意外となんとかなるもんだ。
検査結果も思っていたより良好で、
過去に潰瘍を作った後はあるものの
現在活動中の病変は見つからなかったとのこと。
あと軽い胃炎、というか胃の炎症？を指摘されたが、
こちらはどうってことないらしい。
ありがとうございますとお礼を言って検査室を出た。
最後の「眼底検査」も特に異常なし。
最終的な成績表は後日説明を受けることになっているが、
胃が元気だったことは私を安心させた。
5年目、安心して迎えられそうじゃないか。
しかし今日半日で病院の隅から隅までよく歩き回った。
5年間この大学病院に通ってはいるが、
初めて足を踏み入れる検査室ばかりで軽くドキドキした。
なんだか途中から、大学病院宝探し探検ツアーとか
そんな感じの何かに参加してるような気さえしてきた。
各部屋で血とられたり筋注撃たれたり胃カメラ突っ込まれたりと
いい感じに試練にあってるし。
ただ最終的に宝物なんて何も手にできなかったわけだが。
まあ安心感を手に入れたからいいのかなと思う。
いやむしろ、リハビリのI先生に遭遇して検査着姿笑われるし、
入院中の闘病仲間に見つかって冷やかされるし、
どの科に行っても先生たちは口をそろえて
「若いのにドックなんて珍しい！」
と茶化すし（さすがにガン患者5年目企画ですとは言えず・・・）。
恥ずかしいことこの上ない半日ツアーであった。
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こちらが今日のご褒美ランチ。
エビとモッツァレラのパスタ。
胃がちゃんと動いてない割にはぺろっといけた。
昨日から何も食べてないから腹ぺこだったんだ・・・。