大学ではチアリーダーに入り、相変わらずもてる私は、未だに一人の人に決められないでいた。
その間、いろんな人と付き合ったけど、これって言う人いないのよね。
気になってたサッカー部のボングンは今はサッカーに夢中。
彼の友達が私のことを好きといったら身を引いちゃうし、ムソク先生は、全くの奥手。
でも、もも姉みたいに、いつまでたっても嫁にいかないような女にはなりたくないし、そろそろこっちから、アプローチしようかと、ボングンに声をかけた。
「だめだよ。シムリーのことは、あいつが好きだって、言ってたのに。」
この融通のきかなさは、むかつくレベル。
だが、この融通のきかなさは、時に揉め事も。
喧嘩早いのが玉に瑕ね。
なら、ムソク先生にと思ってたのにぃ~。
ある日、私が道場で、いつものように稽古をしていると、外は土砂降りの雨。
雨がやむまで、待つか。
すると、もも姉が、車で迎えにくる。
「いつも妹がお世話になっております。」
「いえ、シムリーさんは筋がいい。」
「あら、先生。袴がほつれてますわ。」
「あ、本当だ。」
「よかったら、いますぐ縫いますから、脱いでください。」
「いや、針と糸がここにはないので。」
「裁縫道具なら私がもっております。」
そして、あっという間にほつれたとこを直してしまう。
まあ、もも姉にはこれくらいおちゃのこさいさい。
チャンミンが小さいときは私達の服を男の子用にリメイクだってしてきた。
あの子が小さいときはピンクも赤も着せられてたっけ。
まあ、顔が可愛かったからよく似合うけど。
「はい、できた。」
結び目を、歯で切り、ムソク先生に渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「いえ、これくらいならいつでも致しますわ。」
そう……これがいけなかった。
ムソク先生は、もも姉に惚れてしまったのだ。