「な……な……な……」
真っ赤な顔のチャンミンが吃りながら何かを訴えている。
「ど、どうした?」
「生声?」
「う、うん。そうみたいだな。」
この安い民宿にはテレビもついてない。
「ってことは、今、いたしてますか?」
「あ、ああ。らしいな。」
俺達の会話の間にも、その行為は続いているようで、女の声はさらに大きさをましている。
急に、チャンミンが俺の耳を塞ぐ。
「どうした?」
「聞いちゃダメ!」
いや……おまえもな。
そのうち、男の声もしてきた。
おそらくフィニィシュを迎える頃だろう。
急にチャンミンがすくっと立ち上がる。
ん?どうしたんだ。
壁際に近寄るから、わざわざ、壁に耳でも当てて、その声をさらに聞こうとしているのかと思った。
すると、チャンミンは、壁を叩き
「うるさぁい!!」
と、大きな声をあげる。
その声は、ピタッと止まった。
俺は唖然として、チャンミンを見つめる。
「これで、悪霊は退治できました。
さあ、寝ましょう。」
あ、悪霊……ね。
まあ、確かに迷惑だな。