<展望>
そのためには、まず個人レベルでのマインドセットとブレイクスルーつまり、価値観の明確化やパラダイム転換(ものの見方・感じ方)が重要なのではないかということです。
自分の所属する企業(組織)の経営理念やミッション・ステートメントと自分自身の価値観やミッション・ステートメントとどのようにリンクしているか、また自分の役割と貢献とどのようにリンクするのかという内省、仕事を通じてどんな人生と成長をしたいのかの羅針盤と地図を手にして出発点に立ちたいものです。
そういう意味において、知識社会においては一昔前のホワイトカラー的 中間管理職は必要なくなるのではなかろうか。
また、生産性の向上で重要となる定性的基準と定量的基準は、 言い換えれば、リーダーシップとマネジメントの比重が 少し変わるのではないか、ということです。
つまり、クルマで例えるなら、車体が組織ならば、エンジンというマネジメントにリーダーシップ(ミッション)というガソリンを注入する必要があるということです。
「いかなるマネジメントの成功も、リーダーシップの失敗を補うことはできない。 しかし、ほとんどの場合、私たちはマネジメントのパラダイムにとらわれすぎて、 リーダーシップを疎かにしがちである。」
「もし、梯子をかけ違えていれば、一段ずつ昇るごとに間違った場所に早く辿り着くだけである。」
ネクスト・ソサエティにマネジメントを機能させるには、 『非営利組織の経営』でも学んだ「経営者に贈る5つの質問」を 知識労働者自身も考える必要があるということでもあり、 これからの組織はミッションを軸にした成果を考えるNPOのマネジメントが 参考になるのではないか、ということです。
個人的には、「オーケストラ型」を考えています。 それぞれの演奏者(自立した強みをもち役割と貢献意欲がある)が、 観客(顧客)に向けてハーモニーという共通の目的を指揮者(経営者)のもとで オーケストラ(組織)をつうじて提供するチームであり、
参加型パートナーシップのコミュニティと言っても良いかもしれません。
一方で、会社という組織が個人のライフスタイル全てではなくなり、 自己開発・自己啓発などといった自己実現を前提とした生涯学習は、 ドラッカー学会のような社会人のための学習機会を提供する コミュニティがどんどん増え、日本においてもNPO時代の幕開けと可能性を感じるようになりました。
そういう観点から、社会の大きな転換期では、マネジメント自体もイノベーションしていくこと(創造的破壊)が、ネクスト・ソサエティに 備えるわれわれの課題ではないかと思いました。
ちなみに、ドラッカー博士のいうイノベーションは、 技術革新という狭義の意味ではなく、 広義の意味での社会にインパクトのあること、 例えば割賦販売などもイノベーションと言っています。
ドラッカー博士の知的財産、マネジメントの父そして 現代社会についての最高の哲人といわれる巨人の肩にのって、ネクスト・ソサエティを見据え、どんなネクスト・ソサエティにしていくかを問い続け実践していくのは、今日の私たちしかいないとも言えますね。
★参考図書(「書名」:著者)として以下を推薦します。
①P.F.ドラッカー
「断絶の時代」
「ポスト資本主義社会」
「非営利組織の経営」
「イノベーションと起業家精神」
「経営者の条件」
「明日を支配するもの」
「傍観者の時代」
「創造する経営者」
②「7つの習慣」:フランクリン・コヴィー…哲学的で理論編といった感じです。
③「成功の9ステップ」:J.スキナー…「7つの習慣」の実践・応用編といった感じです。
④「自助論」:サミュエル・スマイルズ
⑤「経営者の役割」:C.I.バーナード
⑥「人間性の心理学」:A.H.マズロー