主役不在の奇跡のワンダーランド『ほたるいかミュージアム』

☆☆謹賀新年☆☆

娘のために願をかけた「祈！縁談！」がこれっぽっちも達成ならず。
オカンがブチギレでダルマの片目にバッテン殴り書き。
2011年大晦日の藤井家、心あたたまるワン・ショット。

☆☆ピストン藤井　2012年の婚活目標☆☆
『寝ながら鼻くそをほじらない』

んなわけで富山のプチ変態のみなさ～ん！ お～お～、おまたーぁああ！！
アタシアタシ！ 女サモハン・キン・ポーことピストン藤井だよ！
2011年9月の「池畑慎之介と行く！ワクワクつくりもん祭り」の更新以来、
約半年ちかくに渡り、スティーヴン・セガールもビックリな“沈黙”シリーズを貫いてきた
『郷土愛バカ一代』ですが、みなさんいかがお過ごしでしたか？
沈黙していた間、わたくしに起こった出来事は、衝撃のグラビア・デビューでもなく、
電撃できちゃった婚でもなく、泥酔した男子にかけられたプロレス技のせいで、
歯が欠けて知覚過敏になったことぐらいです。うふん。
2012年『郷土愛バカ一代！』、推定５名の読者様のご期待に添えますよう、
細く長く地味に、なるだけ偉い人に怒られない程度に悪態つきつつ頑張ります！

さて記念すべき2012年☆初レポートは、
これだけメジャー・スポットなのに、中に入ったことのある人の話をてんで聞かない、
富山観光スポットの代表格『ほたるいかミュージアム』です。

時は2011年12月25日。クリスマス。豪雪。「客なんてどうせこねーだろ」モード全開。
完全に鼻くそほじほじ油断している受付嬢相手に「たのもー！！」と唐突な道場破り。
いきなりの女サモハン登場に、「え、え!?」と受付嬢、確実に二度見しました。
「なんでよりによってこんな日にひとりで？」という無言のツッコミを背中に受けつつ、
いよいよ『ほたるいかミュージアム』の本丸へと突入したのですが……。

♪ぴーぴーぴー　ぴーぴーぴー

♪ぴーぴーぴー　ぴーぴーぴー

♪ぴーぴーぴー　ぴーぴーぴー

（今週のヘビーローテーション：長渕剛『ろくなもんじゃねぇ』）

お、おかーさーん！！ホタルイカがいないよ～！ なぜか山下清がいるよ～！
すんげぇモックンが見たいのにさっきからフックンしか出てこないみたいな感じだよ～！

それもそのはず、ホタルイカの旬は3月末～5月末の2か月だけで、
あとの10か月はオフ・シーズン。生態的に飼育も養殖も不可能ということから、
オフ時に活きたホタルイカにお目にかかることはまずありません。
そう、ここは365日のうち300日が主役不在という奇跡の美術館だったのです！
ぎゃふん！ でも安心して。

ほら！ カニとか深海魚なら生で触れるよ！ ちょっぴり場末ムードだけどね。
でもだからといって…

カニは持っていっちゃダメだよ。

イカも捕って食べちゃダメだよ。ちゃんとレストランでお金を払おうね。

とにかく勝手に捕・る・な・よ！

「さわって遊ぼうね！」と言っておきながらの、ちびっ子たちへのけん制が凄いです。

でも私はホタルイカを見に来たのです。カニじゃない。
♪ハァ～婿もいねえ、彼氏もいねえ、せっかく来たのにホタルイカもいねえ……
大してヒネリのない替え歌を歌わずにはいられない、この乙女心をわかってください。
そんなハートブレイクな私を、さらに“深海プロムナード”の闇が襲い掛かります。

♪うらみ～ま～す　うらみ～ま～す

メスのホタルイカは、産卵期の新月に浜へと打ち上げられ命果てます…。
それを富山県民は“身投げ”という世にも恐ろしい言葉で称します…。
しかもそれを夜中の3時に「うっほほーい！」とバケツ片手にむさぼり取ります…。

♪あなたのこと～

「ピカー！」と断末魔の光を発して絶命するホタルイカ…。
その恨みつらみが、地獄の底からこだましてきそうです…。
この曲がり角の先に待ち受けるのは悪魔なのか、閻魔様なのか…。

♪死ぬま～で～

つーかホタルイカだった！
（今週のヘビーローテーション：中島みゆき『うらみ・ます』）

パネルいっぱいにひろがる主役・ホタルイカ。ヤダっ……なんだかヒ・ワ・イ！

とまあ、さんざんつるし上げといて言うのもなんですが、オフ・シーズンとはいえ、
ホタルイカの代わりに発光プランクトン・龍宮ホタルが頑張って光る「発光ショー」もあるし
（※もちろんシーズン時には、生ホタルイカ300匹が光り狂う大人気ショーですよ）、
ホタルイカ漁の映像や、ホタルイカの生態を解説したパネル＆機器も堪能できます。

でもやっぱり、この美術館の一番のチャームポイントを正直にあげるならば、
『ほたるいかミュージアム』の看板を掲げてるくせして、
ホタルイカ以外の“何か”がやたら充実している点だと、私は声を大にして言いたい！

ホラ、このちびっ子たちにコビを売る感じの釣り遊具とかどうですか？

ホラ、この鳥羽一郎・山川豊兄弟が乗った（嘘よ）伝説のホタルイカ船で記念撮影とか！

ホラ、ご丁寧に漁師のコスプレまで！　

んぐぐ撮影したい…撮影したいですぞお！ でもサモハン、ひとりぼっち。どぼちて。
何度、受付のねーちゃんに「私、これ着ますんで、写真とってもらえませんか？」
と頼みたいと思ったことか。でも三十路女の自尊心がそれを許してはくれませんでした。
今、猛烈に後悔しています。

そして栄えある「ホタルイカ以外の“何か”選手権」第一位は、光る性質のイカたちが、
なぜかCGアニメでミュージカルを披露する『深海銀河劇場』です！

見世物小屋的な特設スペースで、神経を逆なでするヘリウム声のホタルイカやら、
バリトン声のダンゴウイカやらが、歌劇『カルメン』の替え歌で
「きんきんきらきらホタルイカ～食べてもうまい～」と半狂乱で歌い踊ります。
ひとりでじーっと眺めているうちに、なんだか人生どーでもよくなってきました。
一方で「光る～墨吐く～イカもい～る～」とコブシのきいた、オリジナル演歌も披露。

「光団子さん江　スナック滑川」という大漁旗が泣かせます。
製作者サイドの妙なガチンコ具合がかなりのツボ。
なんならホタルイカは見なくてもいいから、これだけは見といたほうがいいです。

凡人の予想をはるかに超える戦慄の脱力ワンダーランド『ほたるいかミュージアム』。
メジャー・スポットのくせに、そこはかとなく漂うカルト臭がたまりませんでした。

もうすぐホタルイカのシーズン到来です。
毎年、4月末になると美術館周辺で「ホタルイカ祭り」も開催されます。
以前にも紹介した（http://ameblo.jp/chinju-piston/entry-10885916577.html）
“ホタルイカ目玉飛ばし大会” が行なわれる富山が誇る珍祭でございます。
オフ・シーズン特有の哀愁はないかもしれませんが、それはそれ。これはこれ。
ホタルイカの目玉を飛ばす→それを探す→目玉を飛ばす→それを探すという、
他では味わえないシュールなループも、この機会にぜひご堪能あれ。