男性諸君は「ハイヒール」や「パンプス」と言う語感で何を感じるであろうか。


男性の多くは別にチョィ悪親父でなくってもこの語感はフェロモンが伴いsomthing goodであるはずだが、そして、多分イタリアのミラノあたりの街角ではこの靴音を聞くだけで10人中9人は振り返るであろう。しかし、どうも日本に帰国して2年経ったいまも徒然人にとって「パンプス」は、そんな情趣あふれる代物ではなく、むしろ当惑する元凶となっている。


なぜならば、地下鉄のエレベーターの特に下るときのけたたましい音響はなんともいたたまれないのである。

欧州の石畳の静かな風景で美しい女性が遠くから歩いてくる風景にハイヒールパンプスの靴音が近づいてくるのは何とも文学的で好いけれども、なかば喧騒の通勤ラッシュなかで乗り換えの時に下りエレベーターで後ろから列車に乗り遅れまいとすごい勢いで機関銃のように後ろから近づいてくるハイヒールパンプスの攻撃的な音は勘弁して欲しいと常々思う。「もうしすこし静かにあるけないのか」と、「君の鼓膜は破れてしまってるのか」と思わず振り向いて聞いてみたくなる大音響である。


あれってなぜ平気なのだろうかといつも聞くたびに不思議な気がする。周りに会社の同僚や学校の友人がいないからかまわないのだろうか。あるいは全然気がついてないか、当然なことと思ってるのか。多分、毎日のことだから往来する周囲の人々がどんなに不快にそのケタタマシイ音を嫌がっているのか気がついていないのであろう。一般的にはハイヒールと呼ばれているヒールの高さが 6cm 以上あるパンプス足首が細く見えるし美脚に見せることができるので人気があり、ヒールが高いほど華やかな印象があるが、それはちゃんとはきこなせることが前提。歩きづらくつま先に非常に力がかかる分、竹馬に乗るような不安定な状態で全力疾走する靴ではないのである。多分、ご自身のお御足の健康のためにも悪いであろう。


美しくなりたいお気持ちはよく分かる。でもあのような形相で機関銃のようなケタタマシイ音をたてながら列車にまっしぐらに向かう姿は、百年の恋も一発で冷めるし、色気もへったクリもなく、その努力が水の泡であることに気がついて欲しいと思う。