キッチンは五感の宝庫 | チイク - 知育協会 公式ブログ

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知育協会公式のブログです。主に知育や子育てに役立つ情報を発信しています。

この度、<食育>のコラムを担当させていただくことになりました
青木(倉島)のぞ美です。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

私は、緑の田園に囲まれた信州で、小さな呉服屋の一人娘として生まれました。
毎朝、お店の開店の前には、お湯が沸かされ、季節のお漬物が用意され(信州では、お茶うけにお漬物を出します)お茶菓子、お昼にみえるお客様のために、煮物にごはんまで準備をしてお客様をお迎えする呉服屋でした。

いつもお客様がお茶を召し上がったり、お食事をしながら、
「おいしい!!これ、どうやって作るの?」「私って、どんな色が似合うのかしらね~?」「今度、甥っ子が結婚することになって、留袖を新調したいから、選んでおいてね。」という会話が飛び交い、今思うと、すべてがお客様の言葉から今の私があるような気がします。

気が付くと、美術学校で色彩学や染色、日本刺繍を学び、
呉服屋の初代が隠居生活をするために使っていた古民家を使い、お客様をおもてなしするための料理教室を始めて15年がすぎていました。


<キッチンは五感の宝庫>

私には、現在14歳と10歳の二人の息子がいます。

彼らもかなりの料理好きで、私が忙しいときや体調がすぐれないときは、
冷蔵庫にあるものを使って、ちゃちゃっと料理をしてくれます。

よく、お母様方に、「どうしたら、お手伝いをしたり、料理が好きな子になりますか?」とたずねられます。

答えは、簡単です。

子どもが<やりたい!!>という興味を持った瞬間を逃さないことです。

「そんな時、あったかしら・・・?」と思われるかもしれませんが、
お子さんが小さいころ、お母さんが立っているキッチンに入ってきたことはありませんか?

忙しく料理をしている後ろで、鍋やボールをたたいたり、
包丁のトントンという音に興味を持ったり。

子どもが自分からキッチンに入ってきたときがチャンスです。

キッチンには、危険なものもたくさんありますが、そういったものは手の届かないところにおいて、お母さんのしていることを見せてあげる。

忙しかったり、危なかったりすると、どうしても「あっちでおりこうにしててね。」となりがちです。

たしかに、子どもが調理をしている近くにいることで、いつもより30分ほど、食事の準備をする時間がかかってしまうかもしれません。

では、忙しくない日にちゃんと準備をして、「さあ、どうぞ♪」という日は、子どもたちの興味がそれていることが残念ながら、ほとんどです。

そして、もう一つ。
実は、お母さん業には、忙しくない日はほとんどといっていいほど存在しません。
そして、子どもの興味は、大人の都合のいい時間と合うとは限らないのです。

キッチンの中には、子どもの五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を刺激してくれるものがいっぱいあります。

「トマトって、真っ赤でおいしそうだね。」とか、
「ぐつぐつって音がしてきたね♪何ができるかな?」
「今、○○ちゃんが触っているのには、ぶつぶつのとげとげがあるね。それは、きゅうりっていう野菜だよ。」
「ちょっと、お味見してごらん。」など。

そのうち、子どもたちが「う~ん、いい香り。今日は、○○だね。」なんて、
香りで食事を言い当てたり、入っているスパイスがわかったりするのです。

「ピンポ~ン♪大正解!!」その時の子どもたちの得意げな顔。

そのうちに、自然と玉ねぎの皮をむけるようになったり、卵が割れるようになったり、食事のセッティングができるようになってきます。


キッチンからお子さんを遠ざけてしまうのは、とてももったいないと私は思います。

遠ざけることで、自然とキッチンは近づいてはいけない場所という認識がうまれ、お手伝いしてほしいと思う年齢になった時、大人の都合のいいようにはいかないのが現状です。

今日の夕飯が30分遅れてしまうかもしれません。
しかしながら、お子さんの成長とお母さんが将来ちょっぴり楽をするために、今日の30分を投資してみるはいかがでしょうか?

お子さんのやりたい!!という気持ちと好奇心がが芽を出し、五感を育てるチャンスです。

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知育協会コラムニスト
青木(倉島) のぞ美


1997年より、料理教室主宰。
現在は、生まれ育った信州の風土を生かした<衣><食><住>をテーマに展開。
日本の味を次世代の子どもたちに残す<だしの教室>も好評である。

2012年には、当時小学6年生だった長男が小学5年生より書き溜めた、キッチンで食材と母がバトルを繰り広げる7つの物語りとイラストに、レシピとコラムを担当したレシピ本を出版。
小学生が本を出版したということで、数々の雑誌・テレビ・ラジオ等に取り上げられ、レシピ本の類ながら、食育・子育て本として、幼稚園・保育園・学校関係の教育現場で注目を集める。
その中のひとつの物語のエピソードは、アジア圏向けの日本語の問題集に問題文として掲載され、海を渡る。

現在、14歳と10歳の男の子の母。(2013年6月現在)

著書に『ゆうとくんちのしあわせごはん』(息子との共同出版)がある。




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