「中島みゆき『永遠の嘘をついてくれ』に思うこと~中島みゆき作品解説21~」S3566/R
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◇更新履歴
V1.0:2016.2.20 初稿
■ 「永遠の嘘をついてくれ」(作詞・作曲:中島みゆき) 編曲者:瀬尾一三
1996年10月18日発売の24枚目のオリジナルアルバム『パラダイス・カフェ』の3曲目(全11曲)。
*初収録・リリース
1995年6月21日発売の吉田拓郎『Long time no see』の7曲目(全10曲) 編曲:吉田拓郎。
・楽曲試聴(中島みゆき)
http://music-book.jp/music/Artist/890/Music/aaa2co1z
・楽曲試聴(吉田拓郎)
http://recochoku.jp/song/S20066427/?ds=A1002544138
◆ミュージシャン
01. ドラムス:大久保敦夫
02. ギター(E.G):今剛
03. ギター(12 strings A.G):中村修司
04. ピアノ、キーボード&シンセベース:中西康晴
05. プログラミング:浦田恵司
06. パッキングヴォーカル:比山貴咏史、木戸恭弘、岩崎元是、和田惠子、山根麻衣、山根暁
◆2016.2.20 夢野旅人
大傑作の域に達した中島みゆきの作品であり、吉田拓郎への痛烈な恋文ともいえる「永遠の嘘をついてくれ」。
1994年8月16日。
日本武道館で行われたチャリティーコンサート 「日本をすくえ '94」。
吉田拓郎が弾き語りで、中島みゆきの「ファイト!」を歌ったとき。
何の違和感もなく、まるで彼のオリジナルのようだった。
逆に2007年のツアーで、
中島みゆきが拓郎の「唇をかみしめて」を歌っときも、
同様に彼女のオリジナルのようにきこえた。
そのことが、
中島みゆきが吉田拓郎から多大な影響を受けていたことを如実に物語っているようだった。
冒頭で、大傑作の域に達した中島みゆきの作品であり吉田拓郎への痛烈な恋文と書いた理由は、これほまでに吉田拓郎を、そして彼や時代に夢を抱いた人たちの葛藤を作品で云い得た歌はないからだ。
拓郎は1946年4月5日生まれの69歳。
みゆきは1952年2月23日生まれの63歳。
学年で5期開きがある。
岡林信康から吉田拓郎へ世代交代を印象づけるイベントとなった1971年の「第3回全日本フォークジャンボリー」。
当時、彼女は札幌藤女子大学の2年生、19歳。
松山千春同様、洋楽に影響を受けたフォーク第一世代と違い国内のアーティストに影響を受ける。
千春が岡林信康、加川良だったのに対し彼女は吉田拓郎だったのだろう。
拓郎は日本の音楽業界において多くの新境地を切り開き功績を残してきたが、それらと引きかえに自分自身や過去のメッセージをも否定してきた。
そのことで、彼と一緒に夢を見た人たちの葛藤が生まれるのも当然。
拓郎が拓郎自身を否定することはそんな彼らをも否定することになる。
~永遠の嘘をついてくれ 一度は夢を見せてくれた君じゃないか~
そう言いたくもなるだろう。
最後のイベント、最後の全国ツアー。
なにかと区切りをつけたがる拓郎。
冒頭でふれた1994年、日本武道館での 「日本をすくえ '94」。
吉田拓郎が弾き語りで、中島みゆきの「ファイト!」を唄いだしたころ。
曲が書けなくなり引退を考えていたという。
自分には、もう「ファイト!」のような曲はかけない。
最後の作品として中島みゆきに曲の提供を依頼したと言われている。
そのオファーに「最後の曲とならないのなら」という条件付きで応えたのが、
拓郎への挑戦状、辛辣な恋文ともいえる、この「永遠の嘘をついてくれ」である。
70年代の拓郎作品を彷彿させる字余り的な歌詞に曲の展開に加え、
~ニューヨークは粉雪の中らしい
成田からの便はまだまにあうだろうか
片っぱしから友達に借りまくれば
けっして行けない場所でもないだろうニューヨークぐらい~
~この国を見限ってやるのは俺のほうだと
追われながらほざいた友からの手紙には
上海の裏町で病んでいると~
ニューヨーク、上海、成田。
これらは拓郎が「人間なんて」で絶唱していたころの、
70年安保を象徴する地名である。
日米安全保障条約に反対して、共産主義を唱えた世代。
アメリカの象徴がニューヨークであり、中国の象徴が上海、そして成田建設反対運動。
だが今では何事もなかったように、人々は成田からニューヨークへ向かっている。
そんな時代背景と時間の時代の移り変わりも織り交ぜながら、
~君よ永遠の嘘をついてくれ いつまでもたねあかしをしないでくれ
永遠の嘘をついてくれ なにもかも愛ゆえのことだったと言ってくれ~
と、それでも中島みゆきは、
吉田拓郎に、心変わりしようが、
永遠に嘘をついてでも、幕を降ろすな、歌い続けろと迫る。
正直、この歌詞を咀嚼するには、
安保の時代をリアルタイムで見ていない自分には難解な箇所もある。
だが、
人は、過去、現在の自分をも否定されてしまう真実など誰も求めていない。
たとえ嘘でも未来永劫の夢を求める。
だから誰かに永遠の嘘を求め続ける。
と、作り手からとしては誤読となるのかもしれないが、
そう感じるだけの含みが感じられる。
それだけでも傑作である。
中島みゆきの初演は1997年。
その後は、伝説となったといっても過言でない2006年「吉田拓郎&かぐや姫 Concert in つま恋 2006」でのサプライズゲストとしての共演である。
あの日、バックステージには松山千春と小田和正もいた。
邪ではあったが、かぐや姫のステージのとき。
密かに千春の登場を期待していた。
しかし、彼女の登場は予想だにしていなかった。
拓郎が、サビのフレーズを弾き語りで歌いバンド演奏が始まって数十秒後。
センターに向かう人影に、どよめきと歓声が起こった。
彼女のワンマンライブで、歓声をあげることはご法度のようなもの。
あれほどの歓声を体感したのは、彼女自身初めてだったと思う。
スクリーンで、紛れもなく中島みゆき本人だと確認できたとき。
身体に電気が走るような感動でした。
歌わずして永遠の感動。
このシーンは何度も、映像で繰り返し見てきたが、
未だに感動が消えうせない最高のパフォーマンスであり一曲です。
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