イライラをワクワクに変える~コミュニケーションワークショップ~1回目報告 | 開発教育 あしたのきのう

イライラをワクワクに変える~コミュニケーションワークショップ~1回目報告

3月26日(土)「~イライラをワクワクに変える~コミュニケーションワークショップ」を実施いたしました。


簡単なオリエンテーションのあと、早速アイスブレーキング。



※アイスブレーキングとは…ワークショップなど参加型の学びの場で、緊張をほぐすゲームや活動をすること。心や体を氷(アイス)になぞらえ、それを壊す(ブレーク)して溶かすという意味がある。

ファーストネームの「あいうえお」順にならぶ、手の大きさ順にならぶ活動のあと、部屋の四隅ならぬ「究極の選択」を行ないました。


お題はこの2つ。


 「旅に行くなら、山か海どっち?」

 「犬と猫、どっちが好き?」


当てはまる方を選んでその理由を2-3人ずつで話します。シンプルなお題でしたが、盛り上がりました。「山に行って癒されたい」「潮騒の音で癒されたい」とのお答え。みなさま、日ごろの生活お疲れさまです。


次に、「対立」という言葉から連想する「こと」や「もの」を出します。




戦争、けんか、憤り、腹立たしい、怒り、怖い、ストレス、暴力、価値観の違い、鼻血、避けたい…でも避けられない、というマイナスのイメージの中、理解し合うために必要なこと、仲直り、仲裁、というプラスのイメージも出てきました。


対立のイメージを一通り考えたところで、本日2回目のアイスブレーキング。


「私は大切」と書かれたハートを一人に一枚配り、裏返して左側に「自分の好きなもの、こと」を好きなだけ書きます。3分という時間に、黙々と書きまくる参加者のみなさん。


そのあと、そのハートを持ちながら、他の参加者と自己紹介をして、共通の「好き」を持つ人を探していきます。自分の好きなこと、相手の好きなことを話すとき、人ってこんなに楽しそうな顔をするんですね。。。


 

さて、みんなの「好き」が分かったところで、この好きという嬉しい気持ち・価値観が、日々の生活の中でこんな風に傷つけられたらどうでしょう。という体験を、架空の人物「マリアさん」の一日を通して疑似的に学びます。


朝、なかなか起きられないマリア。「何をぐずぐずしているの。さっさと起きなさい」とお母さんに言われる。お気に入りの服を着たら「そんなぼろ布みたいな服を着ていくの?頭悪く見えるわよ」とお姉さんに言われる。。。こんな感じで一日が過ぎ、気づくとマリアさんのハートはちぎれて、小さくなっています。


今、マリアはどんな気持ちでしょう。参加者に聞くと「ぼろぼろです」「こんな風に毎日が繰り返されたら自信がなくなると思う」というご意見。


では、どんな声掛けをしたら、マリアさんのハートはちぎれないまま、にこにこで一日を終えられるか、みんなで考えながら一日をやり直します。

「何をぐずぐずしているの」の代わりに「マリアの好きな朝ごはんがあるわよ」と声をかける。

「ぼろ布みたいな服を着ていくの?」の代わりに「すごく個性的だね」と声をかける。。。マリアさんのハートはちぎれないまま、たくさんの○やにこにこマークがつきました。


参加者に感想を聞いてみると

「言い換えはなかなか難しい。すぐ出てこない」という意見も。


確かに、ここまで否定的な声をかけられることはないですし、日々の生活ではとっさに言い換えはできません。ただ、人の気持ちが傷ついているのは目には見えない。そして、練習することで言い換える方法を学べる。ということに気付いてほしくてこのワークをやったのでした。


休憩のあと、いよいよワークショップも終盤です。


3人一組になって話します。お題は…


・最近起こった対立について、自分が感じたこと


一つだけ守ってほしい事。それは、聞き役の人は「傾聴」をし、質問をしないこと。

※傾聴…定義はいろいろあると思いますが、今回のワークショップではその文字のとおり耳を傾けて聞く、話し手が主役という設定にしました。

ひとり1分半という時間制限でしたが、時間が来てもなかなか話が止まらないみなさん。




感想を聞いてみると…


<話した時の感想>


「(その場面を思い出し)怒りがこみあげてきた」「(聞き手の)リアクションがよく話しやすかった」「うまく言葉にできなかった」



<聞いた時の感想>
「わかるわかる!という気持ちがした」
「質問できずつらかった」


ということで、2週目は質問ありとし、「アクティブリスニング」を心がけるようお願いしました。

※アクティブリスニング…こちらも定義がいろいろあると思いますが、質問ありで、話し手が話しやすいような質問をするという設定に。


お題は…
・その対立の相手はどんな気持ちだったのか

感想は…


<話した時の感想>
「怒りが収まった。落ち着いて落とし込めば相手への対応が変わるのかも」
「相手の気持ちを考えた。。。でも理解できたかは分からない」


<聞いた時の感想>
「より聞こうとした」
「質問できたので、具体的に理解できた」



1分半、ただ話すという時間は、日ごろなかなか持てないものです。特にこうやって相談を受ける立場になると人はどうしても質問をしたり、アドバイスをしたりしてしまいます。もちろんアドバイスも質問も必要ですが、話す人の話したい気持ちをまず満たすことも大切だということを知っていただきたく、実施してみました。「聴く」ということを丁寧にやってみることで、今度は自分が話すときの相手の対応も変わってくると思います。



そして、最後のワークは、ロールプレイングです。これは、次回のワークショップのテーマ「きもちとニーズ」につながる活動です。

※ロールプレイング…ロール(役割)をプレイング(演じる)ということで、ある状況を設定して、その役になり切って演じてみる活動。


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A:この春から大学生になる女の子。インドに一人旅に行きたいと思っている

B:その父親。一人旅には反対している


という設定で、行いました。


1度目は、おそらくこうなるだろうという展開を演じてもらいました。

みなさま、人生経験が豊富なようで、かなり話は盛り上がりました。でも、最終的に決着した(旅行を許可した)グループはいなかったようです。


2度目は、今日学んだことも生かしつつ、しっかり聞いてアクションしてみると。。。


今度は全てのグループで決着がついたようです。


ポイントを聞いてみると…


「父の不安を一つ一つ取り除くよう話した。現地には知り合いがいる、とか。期間を短くする、とか。」
「中学のころから計画していてお金もためていた。」

と娘役


「反対できなくなった」

と父役。


実際にこういう経験をした、させたという参加者も多くいらっしゃり、あの時こうできれば、親の反応は違ったんだろうな。。。という声も聞かれました。実際はなかなかむずかしいですよね。


こんな感じでワークショップは終了し、最後に一人一言、感想を言って終了いたしました。


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一つ一つのワークのつながる部分の説明がもう少しうまくできたらよかったな。。。など、個人的な反省は多々あるものの、ひとまずワークショップを実施できてよかったです。参加してくれた皆さん、ありがとうございました。


次回は同じ会場で6月24日に実施します。参加者のみなさんの日常の中で、きっとさまざまな変化が起こると思います。次回はその変化を聞きつつワークショップを進めて行きたいので、どんなお話が聞けるのか楽しみです。


※このワークショップは「子どもとできる創造的な対立解決―実践ガイド―」(モーニングサイドセンター 編、開発教育協会 編訳・発行)を参考に実施しています。


<個人的な感想>

 仙台に来て2年半。ワークショップをやりたいとずっと思っていたものの、あれやこれやで実施できずにいました。そんな中で子どもができ、出産したらまたやることが増えるんだろうなと思っていたけれど、ふと「やっぱり、やりたい!」と思い立ち、いつもこのワークショップの話をしていた前職つながりの友人にメールをしたのが10月。元保育士、協力隊では幼児教育の活動をしていた彼女には、子連れ参加のイベントの注意点のアドバイスをしてもらったり、チラシをつくってもらったり、たくさんの励ましをしてもらいました。他にも、今回のイベントを実施するにあたってたくさんの協力者がいました。声をあげてみると、力を貸してくれる人っているんだなと改めて実感しました。


 たくさんの力を借りながら、2回目・3回目も実施していきたいと思います。参加された方の日常のイライラが、どんどんワクワクに変わっていきますように。


<アンケート結果>


満足度


120点:深い


100点:“対立”は普段の生活の中で(細かいことから大きなことまで様々ですが)、日々起こることなので、改めて考えるいい機会になった。/楽しく、気軽な気持ちで参加出来た


90点:明日からやってみたい事がみつかったから。


80点:思っていたより、自分の考えを話すことができました。Aさんになりきれませんでした。/心が落ち着きました。/もっと色々な対立の解決方法を具体的に学びたいなと思いました。


わかったこと


○相手のきもちになることはむずかしい。きいてもらえるとうれしいので、相手にもできるようになりたい。


○相手の気持ちを考えてみる/傾聴について今まで自分が思っていたのと違った/対立ってネガティブだけではない


○アクティブリスニングをよく理解できてなかったのか、質問するはずが、相談役にまわってしまったことが失敗だった。相手がどうしてほしいか、どうなったらよいのか聞くことに重点を置けばよかった。


○言葉の持つ力/対立はネガティブなことだけではない


○ちょっと興味を持って聞く/時には一晩時間をおいて考える(イラッとしたままコミュニケーションするよりちょっと一拍)


○対立はできれば避けたいが、どーんと構える姿勢、そこからはじまる変化というものも大切。


○コミュニケーションの大切さ/傾聴とアクティブリスニングとの違い


わからないこと


○価値観の違う人の気持ちに立つのはどうすればいいのか。自分の好意が逆に迷惑になっているかもしれないのに、どう気付けばよいのか。


○感情的になってしまったときはどうすれば!?また相手が感情的になってしまったら?


その他


○このような機会をつくってください、ありがとうございました。たくさんの人のお話を聞けて気付きが多い時間になりました。


○次回が楽しみです♡


○先生の説明がわかりやすく、次の行動がしやすかったし、場の空気がなごやかにすすんでいて、やりやすかった。家で振り返り、仕事で振り返りしたいと思った。


○“対立”のど真ん中にいると…つい、今日学んだようなことを冷静に考えることができなくなってしまう…。