接続検討申込書に添付する単線結線図は接続検討申込に耐えるものでよい。

先般は系統用蓄電池用の単線結線図を紹介したが、今回は太陽光発電用の単線結線図を紹介する。

高圧として最大の2,000kWシステムで、ACはパワコン1台を1kW出力制限し、1,999kWとしている。

もちろん、メーカの出力制限証明書の添付も必要だ。

日東工業のキュービクルスタで作成して添付している方もおられるようだが、設計図面だから接続検討申込に不要なアイテムも多く文字も小さい。野立ての太陽光発電所にはリアクトルもコンデンサも不要だ。そこでエクセルでフルスクラッチ描画し、接続検討申込書(様式5の4)にコピペしている。そのとき決して別紙参照しない。

 

接続検討申込で必要な情報は以下である。

  1. 引込電柱番号
  2. 責任分界点
  3. 引込電柱番号から構内第一号柱までの距離[m]
  4. 構内第一号柱からキュービクル主変圧器までの距離[m]とケーブル仕様
  5. パネルのW数・直列数・並列数のDC出力合計とこれに接続されるパワコンの出力。
    (PCS系列ごとDC>ACかどうか比較される→出力制御機能付PCS等の仕様確認依頼書と一致しないといけない)
  6. VCTの位置(構内第一号柱取付かキュービクル内蔵か)
  7. 系統解列箇所の赤文字明示(VCBかLBSか)
  8. CTの仕様
  9. OVGRの設備有無、停電時の電源バックアップ方式と動作時の解列方法
  10. 主変圧器の容量 必要に応じて自己容量%Z (高圧は%Zの記載省略)
  11. 励磁突入防止LBSの有無

なお、ファイル名はSLD_xxx県yyy市大字zzz000-0_YYMMDD としている。

ここでファイル名を単線結線図と表記しないのはファイル文字数を減らすため。

SLDはSingle Line Diagramで単線結線図を指す。

次回は特別高圧の接続検討申込用 単線結線図を紹介する。これもエクセル図形でなんとか作成した。

接続検討申込(様式5の4_単線結線図)の書き方を紹介する。

例は系統用蓄電池(高圧)。

単線結線図はCADで書く人がほとんどだと思うが、私はエクセルの図形で書いている。

つまり、接続検討申込に耐えられる要点を書き記した図面であればよい。

別紙参照もせず、(様式5の4_単線結線図)に図として張り付けるかリンク貼付としている。

エクセルの図形で書くと、変圧器、パワコン容量、CT変流比など設備固有の情報を別様式からセルを参照して単線結線図に自動更新することで、作成時間が短縮できかつミスが防げるのがメリットである。

 

 

接続検討申込(様式5の3_設備運用方法)の書き方を紹介する。

なお、様式5の1、および様式5の2は提出不要なので私はエクセルワークシートから削除している。

 

様式5の3_設備運用方法は - 発電機運転パターン、受電地点における受電電力パターン - をエクセル独壇場のグラフ機能でお絵描きする。

時間当たりの受電電力(プラスは系統に送る売電、マイナスは系統からもらう買電)を表現するのを押さえればちょろい。

注意点として自家消費電力を受電電力に加味する必要がある。

 

太陽光発電の受電電力は快晴時の夏季のみ記載している。なお中国電力ネットワークは夏季以外にももう一つの季節のグラフを書かないと申請不備になる。私はワークシートを季節ごとにコピーするのではなく、一つのワークシート内でコピーして、2ページ印刷する構成としている。

系統用蓄電池の場合は、様式3_逆変換装置の(24)蓄電容量の時間と同値とする。放電時間3時間をグラフに書く。
充電時間は昼間の4時間とした。別に放電時間と同じ3時間の申請でもよいが、充電ロスがあるので実運用の充電時間は3時間では足りないかもしれない。

 

 

 

接続検討申込(様式4_負荷設備および受電設備)はとり立てて説明する内容でもないのだが、お付き合いいただければ幸いだ。

 

ここでは所内電源および高調波や電圧フリッカを発生する装置があればそのスペックを記載する。

高圧でいえば、6,600Vから低圧に変圧する小容量トランスのスペックを示す。
 

6,600Vから低圧に直接変圧する所内トランスがなければ、様式3_直流発電設備 2.昇圧用変圧器 の記入内容をそのまま転記すればよい。

 

1.負荷設備 (1)合計容量は 様式2_発電設備等の概要 6.自家消費電力(発電に必要な所内電力を含む)の最大電力と一致させないと申請不備になる。

力率は85%~100%の間にすればよい。ここで力率0を記入すると申請不備になる。電力契約できる最小の力率85%を記入すればよい。不明で逃げる手もある。

 

なお、タップ切換器仕様のFはFull Tap(全容量タップ)、RはRated Tap(基準容量タップ)である。無記名のタップは低減容量タップといい、トランス定格容量フルで使えないタップ電圧である。

 

パワコン(逆変換装置)は高調波を発生させる機器だが、この様式4は所内設備での高調波発生機器や電圧フリッカ発生機器の有無を問うのでを記入する。

電力会社はやたらフリッカに五月蠅い。

5.電圧フリッカ発生 で ( 無 )とすれば、本来、電圧フリッカ対策の欄はdon't careで( 有 ・ 無 ) そのままでよいのだが、九州電力は特にしつこく、 ( 無 )にしなければ申請不備になる。

 

最近は系統用蓄電池の導入がブームだが、接続検討申込書の(様式3_逆変換装置)の記述に特徴がある。

逆変換装置は耳慣れない用語だが、日本の電力業界でパワコン(海外ではインバータ)をそのように呼称する。

系統用蓄電池がなぜトレンドなのか。近年全国で太陽光発電の出力制御が増えてきているので、この電気が余ったときに0.01円/kWhで系統から買電するのがこの蓄電池単独構成である。(太陽光黎明期のレジェンド達が好む、嫌でも買電しない太陽光パネルを併設する構成とは異なる)
この様式は基本的にメーカーが指定する数値を書き込めばよいのだが、(充電側)と(放電側)は設置者の裁量でそれぞれの数値を記入する必要がある。

高圧向け系統用蓄電池は特別高圧契約にならないよう、かつ蓄電池コンテナの自家消費電力をみて、パワコンを出力制限する必要がある。もちろんメーカの出力制限証明書の添付も必要だ。

なので、蓄電池のメーカーや構成により受電電力が微妙に異なる。ここでは総出力Pが1,883kWになるよう、パワコン20台のすべてが1台あたり100kWから94.15kWにダウングレードして出力制限している。蓄電池コンテナのチラー動作による自家消費の最大が116kWである算段で、電力系統からもらう充電時の最大受電電力(充電時はマイナス表記)は-1,999kW(充電1,883+自家消費116)なので、高圧受電ギリギリセーフになる。
※充電と放電は同じ有効電力としている。EMSで充放電指示の都度パワコンに出力設定できるなら違う申請パターンがありえる。この申請はEMSに頼らない構成とした。

 

(24)蓄電容量はパワコンの単機容量でなく、先ほど説明した放電時のパワコンの最大出力1,883kWを入力する。
ついつい、単機容量94.15kWとしがちだが、大体不備になる。
 

充放電の時間は3時間である。バッテリが4時間充放電システムであっても、様式5の3(設備運用方法)のグラフと一致させ、需給調整市場の三次調整力①及び②のブロック時間3時間と同じにしておく。ここに記入する時間は系統用蓄電池運用の時間であって蓄電池の時間容量スペックを示すものではない。ここでなぜバッテリを3時間充放電でなく4時間充放電システムにするのかは20年の運用による劣化率を考慮しているので。20年は経年劣化による蓄電池交換はしないデューデリをする。

三次といえばターシャリ(Tertiary)だ。余談だがトップレベルの日本在住英語話者でも知らない言葉の様子。それは日本の学校教育で教えていないからだろう。しかし英語ネイティブ話者はターシャリを知ってた。

接続検討申込ネタを続けさせてね。何しろ18様式あるので。
今回は高圧太陽光向けの様式3_系統連系保護リレーを取り上げる。

この様式は高圧と特別高圧で全く様式が異なる。特別高圧はA4横、高圧はA4縦だ。

高圧用に特化したフォーマットを新製したと思われる。

連系用遮断器 その他機器はキュービクルの保護継電器に関する記載で申請者の電気的知識レベルが把握できる。

電気工事店や産業用太陽光を設計する業者の接続検討申込書でもいろんな間違いが見受けられる。
なぜ、他人の申請者の接続検討申込書を確認することがあるかというと、権利売買スキームによってである。
図の例では連系メイントランスを1,000kVAとし、CTを150/5A にしている。
他人の申請を見ると500kW連系で2,000kVAトランスレベルの過大な250/5Aにしているケースがあった。
このあと、キュービクルメーカを変更し、CT変流比がトランスの容量に見合った適正化されたものになったとき、送配電会社指定の整定値設定に影響がある。もちろんそのスペックは要否確認依頼でクリアしないといけないのだが。

250kW連系の場合、連系メイントランスは300kVAなので、PF・S型キュービクルになるから、VCBでなく安価なLBSでよい。
遮断器は(VCB)でなく、(LBS)と改め、LBSのメーカー型番を書けばよいのだがPASやDGRの型番を書くケースが見られる。

また、PF・S型キュービクルにCTは無いが、CTの欄に30/5Aと書いてあったりする。
過電流強度、過電流定数(n>10)、機械的耐電流はCTの仕様なので、CTを使わないPF・S型キュービクルでは記載不要。

機械的耐電流は過電流強度:40倍を仕様定義しているCTは機械的耐電流を12.5kA・1秒以内としている。短絡電流をこらえるのは1秒以内に制限しないととてつもないおばけCTになってしまう。
つーか、過電流強度、過電流定数、機械的耐電流はよくつっこんで理解しないとずっとわからんし、理解してもすぐ忘れる。これを販売しているヒラヰ電計機や利昌工業に社会人インターンとして人事交流したら理解が深まり面白いかもしれん。

ZPDは三菱電機のMPD-3としているが、光商工でもよい。その場合は仕様が変わってくる。

インバーター(パワコン)に関する保護4要素(OVR,UVR,OFR,OFR)はパワコンメーカ記載による。
ここで、文字列の長い型式を書くと字が小さくなるので「PCSゲートブロック」と記載したら、パワコンの型番を書けと言われたので記載している。
UVRは1,500kVA以上のキュービクルはパワコンとは別にUVR2があるかもしれない。その場合、2の欄が空白だと指摘を受けたことがある。

単独運転検出(受動型、能動型)および付加機能もパワコンメーカ記載による。

接続検討申込ネタ。実は己の備忘録も兼ねている。

(様式3_直流発電設備)について説明する。この様式は高圧のみで特別高圧にはない。

この様式は基本的にPCSメーカーが提示する数値を転記するだけである。

 

パワコンの台数x分、つまり 1~x 号発電機と書かなければならない。

(3)運転可能周波数は 50Hzと60Hz地域で異なる。

(6)自動電圧調整装置(AVR)の有無 は 無 にしている。
 電圧上昇抑制のトリガー電圧整定範囲値を示すようだが、パワコンメーカも「無」指定なのでそうしている。

 

その他特記事項は以下を記載しないとドラフトチェックで不備になる。
1)パネル1枚あたり出力とパネルの枚数および総容量

2)パワコン単機AC出力と台数および合計

SI単位は[]でくくっている。本来つけなくてもよいが、接続検討申込書のひな型の単位は[]でくくっているので統一した。

数字はすべて半角で統一している。接続検討申込書のひな型のフォントはMS 明朝なのが気に入らないところ。
好きなArialに変えているところもある。

 

昨日に引き続き、接続検討申込書のお話。

接続検討申込書は様式がインバーター(逆変換装置)方式の場合は特別高圧で18程度あるが、表紙を飾るトップバッター「様式1」について案内するけーの。

接続検討申込書はエクセルでOCCTO(電力広域的運営推進機関)から電気事業法更新の都度リリースされ、各地域の送配電会社に展開される。更新タイミングは電気事業法の改正タイミングである4月、10月、1月が多い。最新バージョンは20240410。間違って古いバージョンで申請すれば最新バージョンで出し直し。なお、接続検討申込の回答後に再度接続検討申込する場合は、接続検討要否確認依頼書になるが、接続検討申込書とは「様式1」が違うだけで他の様式は同じ。こちらは20240801に最新版がリリースされた。
この申請、電気工事店でも結構ハードルが高く、高圧はともかく、特別高圧は大体は大手電機メーカーか電力会社系列や大手企業系列の電気系エンジニアリング会社に作ってもらうことが多いが、一部個人事業主でも20万円くらいで作っている。なぜならばエクセル様式だし、過去の申請のコピーで申請できるから。なので、新規参入者でも簡単にできるんじゃないかと勘違いしている人が結構いるが、素人が作成できるのは「様式1」「様式2」と主要設備レイアウト図、敷地平面図、周辺地図、工程表くらい。それ以外は高圧受電以上の電気的知識がないと難しい。いや、他人が作ったコピーでできるんじゃないかって? そのコピーに大間違いが多々あり、それを適用すると大間違いが加速する。

 

この「様式1」だが、エクセルのフォントがMS 明朝 半角はCentury の9ポイントが標準。
トップバッターを飾る「様式1」はMS Pゴシック 8ポイントでさらに小さくどうにかならんかー。
私は10ポイント以上、半角はArial に変えちょる。
 

接続検討申込書は他社が作成したものを参考でみることが多いが、MFPコピーしてスキャンとかで複数社経由したものをもらうので8ポでは印刷がにじんでよく読めん。

発電者の名称は自分の名前あるいは通称名を書くが、地名と大字と末尾に発電所で締める人がほとんど。なお小字はやめてくれ。グーグルマップで簡単に追えない。
太陽光発電所の場合:山口中央発電所
蓄電所の場合:山口中央蓄電所 えっ、山口中央蓄電池発電所じゃないかって? これってみっともないじゃん💦
蓄電池は充電(蓄電)か放電しかしないでしょ? 発電所じゃないじゃん。自動車のバッテリーが発電したていう? 放電はいうけど発電はいわんよね。自動車で発電するのはオルタ姉ちゃん(オルタネータ)じゃん。いくら電気事業法で10,000kW以上の蓄電所を発電所とみなす法改正がされたとしてもそれはそれ。
あと、なぜか知らんけど蓄電池所と呼んだり蓄電器と呼ぶ人もたくさんおる。フランクリンのライデン瓶は蓄電器だけどそもそもライデン瓶は一瞬しか電気を貯めたり放出しかできんコンデンサなのですごくバッテリを蓄電器と呼ぶのはすごく違和感あるそ。
ここのオチは名称の記載に作成者の個性が出まくりだということ。

以下、宛先で中国電力ネットワーク株式会社 御中が重なり見づらいが、御中は何と図形テキスト。OCCTOもセンスなし。改善を願いたい。

ご無沙汰しております。

猛暑ですが、盆前で少し暇になったので、夢に出ることもあったネタを披露します。

仕事で送配電会社への接続検討申込作業をしています。
太陽光発電はもとより、流行の系統用蓄電池の両方です。

接続検討申込は検討料22万円が必要なのですが、自家消費の場合は検討料22万円が無料です。
蛇足ですが低圧連系でも接続検討申込料22万円が必要と勘違いしている方が結構おられます。そのオチはその会社自体、高圧以上しか案件対応しないので知らないだけです。
本題にもどります。
東京電力パワーグリッドが系統用蓄電池の記載例をわかりやすく表現しています。

https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/fit/pdf/koatu_tikudenti.pdf

様式2において、太陽光発電の申込では5.受電地点における受電電力 最小(D)6.自家消費電力の最大(E)が符号反転して数値一致(ただし、受電電力(D)が負記号)だったのですが、系統用蓄電池は順潮流と逆潮流があるので記載が改められました。今年2024年から全国の送配電会社で統一されたみたいです。

4.発電設備等の定格出力合計が放電側は+2,000kWで、特別高圧じゃないかと違和感があるのですが、そこは5.受電地点における受電電力 最大(C)が1999.5kW未満であれば高圧受電のようです。ですが、小数点1桁で高圧か特別高圧を判断するのであれば、すべての記載において、小数点1桁表現のサンプルとすればよいのにそこが一寸物足りないです。
実際、小数点1桁を記載せよとドラフトチェックで不備を食らいましたんで。


太陽光発電の仕事をされている方に参考になれば幸いです。

第三次 の英語が tertiary って今まで生きてきた中で知らなかった滝汗

一方、primary, secondaryは大体の人が知っていると思うが。

また、日本人の英語話者も tertiary を知らない人が多いことを知った。

これは日本の学校で教えないことが理由に挙げられるだろう。

 

この言葉をなぜ今頃知ったかというと、電力の需給調整市場で三次調整力というカテゴリがあり、それがTer-1と略記されていたので調べた結果である。

四次以下を備忘録として挙げておく。

 

一次 primary
二次 secondary
三次 tertiary
四次 quaternary
五次 quinary
六次 senary
七次 septenary
八次 octonary
九次 nonary
十次 denary
十一次 なし
十二次 duodenary