ちえの樹スタッフのたなかです。フッフッフ会いたかったよ、ヤマトの諸君…。
さて、「魔夜峰央先生のタロット・制作ウラ話(その1)」
を先日書かせていただきました。

するとなんと! 弊社のツイッターでは
「復刻までの道のり:Episode1」
と紹介されていて、
スターウォーズばりの一大叙事詩のようなタイトル改変にたまげているワタクシ…。えっあせる

では、引き続き「Episode2:~説話社の逆襲~」をお届けいたします!

~前回までのあらすじ~
魔夜先生に直接お会いする機会を得た説話社スタッフ。
タロットの復刻版は出るのですか?と詰め寄る私たちに、
魔夜先生からのお言葉は「やるならやります?」
あっさり復刻OKをいただいたものの、タロットの原画は失われ、実物のスキャンも難しい…
どうなる説話社、どうなるスタッフ!
パパンがパン!

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取材終了後、事務所にてタロットの画像をネットで眺めていた私。
「やっぱりきれいだなあ~~キラキラ うちの会社でできたら嬉しいけど、原画がないのに復刻ってできるのかな」などと同僚たちと話していました。

そこへヒョイッと顔を出したのが出版部のT氏。たぶんいつものように新聞を取りに来たんだと思います。
「あっ、Tさ~ん! 見てください魔夜先生の絶版のタロット。すごくきれいなんですよ」
T氏「あっ、それ、僕持ってます」
なっ、なにィィ!?(日向小次郎風に) 私だって持ってないのに、世代じゃないT氏が何で持ってるんだあせる
この若僧がさすがタロットコレクターT!
T氏「もちろん持ってますよ! 古書店めぐりをしていたときに新品同様のものを発見したんで、あわてて購入しました。持ってきましょうか」
わ~~っ 現物見たことない 持ってきて明日持ってきて!

そんなわけで悲願達成…はじめて目にした本物の魔夜先生のタロットカード…。

やっぱり素晴らしかったです(感涙汗
魔夜先生は『スピリチュアル漫画家!』というエッセイの中で、スクリーントーンなどは使わずに、線や塗りだけでできる限り表現しておられたというお話をされていました。


(販促用画像ですので、オリジナルのものではありません)

子どもの頃は魔夜先生の絵から「巻き毛ってこう書くんだ」とか、「服のシワってこう入れるんだ!」ということをたくさん学びました。
魔夜先生ご自身は「服のシワは、ゴルゴ13のさいとう・たかを先生を参考にしたんですよグッド!とおっしゃっていたけれども、私はそんな魔夜先生から服のシワの描き方を学びましたラブラブ

たとえばこの「女教皇」のカードをご覧ください。胸元に宝石がついているのがわかりますでしょうか?
カラーのイラストでもないのに、なんだか色がついているように見えてくるのです。深紅のルビーか、海の色のサファイヤか…。魔夜先生の作品には宝石がいっぱい出てくるうえ、襟元を宝石で飾っている洋服が多くて、いつもとても憧れました。透明感ってこうやって表現するんだ…と思いました。それに、コートを縁取るフワフワの毛皮も。ここには書かれていないけれど、バラの花の描き方も、一生懸命真似しました。
魔夜先生のイラストの黒は、ただの闇ではなくて…ビロードの布のようにやわらかくあたたかい上質な質感を感じます。世紀末のデカダンスっていうんでしょうかね~。ほんと、うっとりラブラブ!
漫画というのは白い紙の上に黒いインクで描いていくものだと思いますが、魔夜先生の場合は、上質な黒い闇がベースで、その中にキャラクターが厳かな輝きを抱えながら浮かんでくる感じ…といえばよいのでしょうか。
こういう芸術性の高い絵に、子ども時代に触れることが出来て贅沢な経験だったなあとしみじみ。
タロットカードはさらに金色インクもたっぷり使ってあって絢爛豪華。まるで小さな画集のようです。

T氏「でもこのカード、コーティングがされてないんですよね。使っていくうちに汚れてしまうし、金色のインクも剥げちゃうと思うんです。だから占いに使うというよりは、観賞用…コレクターズアイテム化してますね」。
私「魔夜先生から『復刻するならします?』って、すごくいいお話いただいているんだけど…原画がなくても現物のカードから復刻できるのかなあ」
T氏「いろいろ印刷所に問い合わせしてみましょうか。僕の知り合いにも、古い絵画の復刻に強いチームがいるので、ちょっと聞いてみます」

時を同じくして、魔夜先生からもお電話がありました。
「白泉社の担当に一応確認を取ったけれど、今後も白泉社からは復刻版を出す予定はないって。だから説話社さんで出しても大丈夫ですよ」。先生自ら、担当さんに掛け合ってくださったのです。

さあ、いよいよ運命の歯車が回り出しました…!!

私が魔夜先生の話をしているところに、
出版担当のT氏がちょうどやってきて、
しかもたまたまTが魔夜先生のオリジナルタロットを持っていたので話が早かったんです。
タロットの現物をオークションなどで購入してから…ということになると、こんなにスムーズにことが運ばなかったように思います。
それに、技術的には難しそうと危ぶまれていた復元も、
T氏の人脈の「専門チーム」がなんとかしてくれるかもしれない…という偶然です。

後日、T氏からこんな報告がありました。
T氏「印刷所のチームにオリジナル版のタロットを調べてもらったんですけど…さすが魔夜先生、すごかったです。
まず金色のインクで印刷して、
その上に黒で印刷して、

さらに金色のインクで印刷されている

という…!」
私「なんという変態的印刷工程…!」
T氏「いや~、バブル時代の印刷って感じですよね。今ではこんなにお金をかけた印刷はそうそうできないですよ。金色の上に黒インクがのっているので、やっぱり通常のスキャンなどでは復元は無理みたいですね」
私「そうなんだあ…大丈夫なのかなあ」
T氏「でも、他に方法があるかもしれないって言ってるので、結果を待ちましょう」

さらに後日、T氏から嬉しい報告が!
T氏「大丈夫でした! 魔夜タロット完璧に復刻できます。線もきれいなままで拡大できました」
原画復刻チームから上がってきたゲラを元に、社内ミーティングが行われました。

*黄土色で印刷されている部分は、実際のカードでは金色に印刷されます。

わあ~ドキドキ、きれいな線のまま、しかもひとまわり大きくなっている…!
どうやって原画を復刻したのかというと、
現物のカードを一枚一枚カメラで撮影し、そのデータを画像解析して、修正処理したのちに出力する…という、現在のデジタル技術を駆使した手の込んだものになったのだそうです。
T氏「この方法だとオリジナルのほうにあった微妙な版ズレなども直せるので、元のものよりさらにきれいに再現できるみたいです。印刷の現場が『思っていた以上にキレイにできたクラッカー』って、盛り上がってるそうですよチョキ

印刷現場さんの、チャレンジングな試みに乾杯ビールメチャリロにたいしたモンだぜ♪

また、カードをひと回り大きくしたいという希望は、魔夜先生の方からもご提案いただいていました。
魔夜先生「あのカード小さいんですよね。占うとしても、使いづらいんです。金色もしっかり使ったまま、普通のサイズになったらいいな」というリクエストは、今回すべてクリアできました。
さらに復刻版ではカード表面に「ニス引き」といった加工がされて、使い続けても印刷がはげないようになっています。ちょっとした汚れなら拭き取れば大丈夫。ファンのみなさん、手に入れたらぜひ使い倒して、魔夜タロットでバンバン占ってくださいねキラキラもちろん、保存版としてもうひとつ購入しておくのも大歓迎ですよ~~~っ目

夏の終わりに、T氏と私は魔夜先生のもとにご挨拶に行くことに。
そこでなんと私は、駅に着いた途端いきなり階段からズダダダ!と落ちてしまい、
両足のスネと膝のお皿をしこたま打ちつけた
のです…!

私「あ…が…が…叫び(悶絶)」

T氏「たなかさん大丈夫ですかーーーっ!?」

私「だ…だ…だいじょうぶ…(白目ドクロ)」


はいっ皆さん、
身体を張った厄落とし完了しました…!!


T氏「僕、ばんそうこう持ってるんで、使ってください(サッ)。あ、アルコール脱脂綿もありました! 使ってください!(ササッ)」

Tよ…女子力高すぎる…(涙)

そんなこんなで、私は両足から流血しながらT氏とともに魔夜先生や関係者の皆様が待つ、打ち合わせ場所のカフェへ。
T氏が大きく印刷されたゲラを取り出してテーブルの上に広げると、
関係者さんからも「わーきれい!」とため息が漏れます。
魔夜先生も嬉しそうで、そんな魔夜先生を見るのがまた嬉しい私たち。得意げ

このタロット復刻のお話は何年も前から出てはいたそうで、それでもやはりなかなか進まなかったのだそうです。おそらくいろんな方面の方々がこのタロットをもう一度世に出そうと動いてきたのではないでしょうか…。
10年前だったらできなかった再現も、最新の技術が可能にしたのです。 

そのとき先生がひとこと
「ね、だから言ったでしょう。ちゃんと世の中、うまく運ぶようにできてるんですよ」。

著書『スピリチュアル漫画家!』(PHP研究所刊)の中で魔夜先生は、
人生の節目に不思議な偶然が重なって今の自分がある、
ということについてお話されています。
タロットが復刻できる技術ができてきたタイミングで、たまたま魔夜先生とお仕事できたこと、それからT氏がたまたまオリジナルのタロットを持っていたこと、T氏の人脈に復元に強い印刷チームがいたこと…など、多くの偶然が重なってこのような復刻劇となったのでした。
これらも偶然のようでいて、きっと必然の出来事だったのでしょう。
魔夜先生の奇跡のエピソードのひとつに、説話社が関われたことはとても光栄な出来事で、幸せなことだなあ~と、私はしみじみしました。そう、足の痛みも忘れるほどに…メラメラ

今までタロットを復刻しようといろんな働きかけをしてきた関係者さん、それから魔夜先生のご家族のみなさんが、「良かった~ニコニコ」という気持ちになっていたのでしたら嬉しいです。魔夜先生、関係者の皆様、本当にありがとうございましたラブラブ!

12月8日、いよいよ発売です!
全国の書店、またはオンラインショップ等でお買い求めください恋の矢
勝手な想像ですが、タロットカードって本屋さんも置き場所に困ると思うのですよね~。
コミックスではないので、占いや趣味のコーナーになってしまうのでしょうか…。
発売日に本屋さんで「あれっ、どこに置いてあるかわかんないあせる」と困らないためにも、ぜひ
ご予約キラキラ
をおすすめいたしますよ~っラブラブ

そしてこちらでご報告!
ちえの樹では、来年の1月に都内で「魔夜峰央先生と占術家の鏡リュウジ先生との対談イベント」を企画しています。魔夜先生と鏡先生はともに魚座生まれということで、お話を聞いているとなんとなく発想や考え方が似ているな~とうっすら感じておりました。鏡先生もオリジナルの魔夜タロットをご自身で所持しているパタ世代ビックリマークきっと、タロットが描かれた背景や、それぞれシンボルについて魔夜先生にいろいろ聞いてくださると思います。

こちらは11月上旬にこちらのブログやちえの樹のHPでご案内しますので、引き続きチェックしていてくださいね♪