ちえの樹スタッフのたなかです。前回のブログより約1ヵ月ぶりに更新…叫び申し訳ありませんでした! 今回も水面下で大きなプロジェクト進行中とお考えくださいませあせる

さてさて、すでに<コミックナタリー>や<ねとらぼ>、そして<ダ・ヴィンチニュース>などでも取りあげられたので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
じつは1980年に刊行された魔夜峰央先生のタロットカード、説話社が刊行することになりましたラブラブ


A4サイズのチラシも本日出来上がりました♪

魔夜峰央先生と言えば、今は『翔んで埼玉』などの埼玉ディス漫画で話題ですが、私は子どもの頃にアニメ化された『パタリロ!』ですっかりファンになり、人生の師匠(一方的な)ともいえる存在です。
クック=ロビン音頭を踊りながら下校したり、見よう見まねで一生懸命描いたパタちゃんのイラストを、自室の壁に貼ってニンマリする子どもでした。
コミックスの『パタリロ!』18巻「ゴドーを待ちながら」(確か)という話の中に、〝粉飾決算”っていう単語が出てくるんですよ。その頃私は、たぶん中学くらいだったと思うのですが、その単語の意味が解らなくて…。
そこで父親に聞いたんです。

私「ねえ、お父さん…粉飾決算って何?

父「儲かってないのに儲かったとか、嘘をつくことかな」

私「へー…(よくわかってない)」

父「…どうしたんだ、どうしてそんなこと聞くんだあせる

私「いやあ、ちょっと」

父「…なんなんだ…」


まあそんな風で、いたずらに父親を不安がらせたりもしました。
また、確か高熱を出して寝込んだ時に、母親が「何か買ってきてほしいものある?」と聞くので「今日…パタリロっていう漫画の発売日だから買ってきて…(ぜえぜえ)」と母に頼んで、駅の向こうの本屋まで買ってきてもらった記憶も(書いててよみがえった)。そんなわけでパタリロとは家族ぐるみのおつき合いみたいな状態です。

あるとき、小学校の時に引っ越しして離れてしまった友だちに「パタリロ大好き!」と書いて手紙を送ったことがあったんです。買ったばかりのペンでパタコラン(バンコランの変装をしたパタリロのこと)を描き添えて。
すると…なんということでしょう!
その友達は「私も大ファンだよ!」と、ザカーリという、さらに高度でマニアックな美少年キャラを描いて送ってくれたのです(しかもめっちゃ上手だった)!!

「パタコランをザカーリで返すとは…ま…負けた…」
友達のパタ猛者(もさ)ぶりに敗北感を感じた一幕でした。

ちなみにザカーリとは、パタリロに出てくる美少年タロット占い師なんです。ブドウのイヤリングが素敵でした~ラブラブ!
私はすごくザカーリに憧れていたのです。ザカーリはタロットで未来を100%予知できるというキャラなんですが、ギャンブルで大金を手に入れようとするパタリロに利用されたりとか、銭形平次のようにタロットをジャッジャッと投げたりするシーンもありましたね。
その頃確かちょうど、魔夜先生のタロットカード(1980年発売のオリジナル版)が発売されたのだと思います。

当時は偶然、本屋さんで「魔夜峰央タロット」を見かけたんじゃないかな。わああ何これ! 欲しい! こんなのあるんだとビックリ。しかも、その本屋では現在のようにビニールなどがかかってなくて、そーっと本を傷めないようにしてカードを取り出して見たんですね。
そのとき見かけた絵柄を今でも鮮明に覚えています。パッと取り出して目に飛び込んできたのが、「吊られた男」のイラストでした。



キャー―! 
裸の美少年が逆さ吊りに…!!

(販促用でいただいた画像で騒ぐ私)

なんかイケナイモノを見てしまったような気持ちになった思春期の私は、ババッとカードを本棚に戻し「これは買おう…買って自分の部屋でじっくり眺めようと心に誓って店を出たのでした。それに当時の1,500円という販売価格が子どもにとってはなかなか大金で、貯金しないといけない額だったのです。

しかし後日、衝撃的な展開が。その本屋さんは駅ビルに入っていたのですが…駅ビルの改装に伴い、店舗ごとなくなってしまったのです! そう、魔夜先生のタロットカードとともに…!!
当然ですが、当時はインターネットなどもなくて、通販はおろか売っている本屋を探すことが出来ませんでした。別の本屋さんで注文をすれば良かったのですが、なんとなくアダルトなイメージがあって注文しづらく…得意げ(思春期ってほんとやっかいですね)
そのときはただひたすら、すぐに買っておけばよかったと後悔、後悔…。他の本屋さんに行くたびに探しましたがそれきり巡り合うことはなかったのです。

その後、魔夜タロットを忘れられなかった私が、しばらく経ってからやっぱりどうしてもタロットが欲しくて買った本。



まさかのM.B.books! 30年以上前の現物を撮影しました。
カバー見返しにMyBirthdayの広告と、上司の名前が載ってます。
魔夜先生のタロットの代わりに手にしたこの本ですが、当時はもちろん、説話社なんて知らんかった…。
まさか、入社してしまうとは…(笑)

このように、パタリロ→魔夜先生→タロット→MB.books→MyBirthday→説話社という運命に流されてきた私ですが、なんと巡り巡って説話社で魔夜先生の本の執筆協力をすることになったのです。占い関係に強い会社と言うことで、お話をいただいたのがこちら。

『スピリチュアル漫画家!』(PHP研究所様)
スピリチュアル漫画家!/PHP研究所

¥1,188
Amazon.co.jp
この本は、漫画家デビュー、ホラーからギャグ漫画家への転身、運命の出会い、自身が「冬の時代」と呼ぶ、長い苦難の時期、そして……今。そのさまざまな転換点で起きた出来事や巡り合い、そして不思議な体験などが紹介されています。魔夜先生のシンプルで素直な生き方、考え方が詰まっている傑作エッセイなので、ぜひ読んでみてくださいねクラッカー

打ち合わせ時に魔夜先生とご挨拶させていただいて、そのときは緊張して何が何だか。でもお仕事なので「平常心!平常心!」と自分に言い聞かせながら、至極真面目にインタビューを行っておりました。でも、喫茶店でのお茶の再注文とか、そんなホッと一息ついたときだったと思います。
「魔夜先生、そういえばタロットの復刻版は出ないんですか」。
30年来の思いの丈をぶつけるチャンスはここしかない!!
大人になってから思い立って検索したら、復刊ドットコムでも(どうやら再販はむずかしいようです)と結論付けられていたので、半ばあきらめていたのですがそれでも。

魔夜先生は「そういう話は前からあるんだけれど、著者の先生が見つからなくてね。カードだけでもなんとかならないかって、話は出てるんですよ」と。

一緒に行った同僚のYがすかさず「ぜひうちで…説話社でも出したいです…。MISTYとかMyBirthdayとか出している、占い専門の出版社なのでぜひ!」
私もさらに「欲しかったのに子どもだったから買い逃してしまった読者さん、きっとたくさんいらっしゃいますよ。私もその一人です」

すると先生があっさり「じゃあ、やるならやります?」



……。



……。



ええーーーーーっ


復刻の予定を聞くつもりが、まさかの「やります?」のご提案。

魔夜「でもね、原画がないんですよ」。(どーん爆弾



………たぶん、原画やフィルムがあったのなら、すでにどこかの出版社さんが復刻していたのではないかと思います。色を指定して多色刷り印刷をすれば良いのですから。
しかし原画がない。となると通常は現物のカードをスキャンして復刻する…ということになるのですが、じつはこれが難しいそうなのです。

魔夜先生のタロットは金色インクがたっぷり使ってあって、繊細なタッチも金のインクの上に印刷されてます。この画像を読み取ろうとすると金の部分が真っ黒になってしまって、再現できなくなってしまうのだそうです。
魔夜先生のタロットが黄土色なんて絶対いけません~~~っ!! しかも美しい線が太くなっちゃったら意味ないよ!!
復刻を試みようとした出版社さんは他にもあったのではないかと思うのですが、たぶんここで断念したのではないでしょうか…。

せっかく魔夜先生からOKが出たのに、技術的に復刻はむずかしい…。そんな状況。
そのうえ勢いで先生に告白してしまったようなものなので、社内で企画が通るかどうかも分からない。

しかしそんな行き詰まった状態でも、その後の運命的な流れで見事クリアすることになるのです。

その続きのお話は、また次回!