先日観た映画「誰よりも狙われた男」の感想。


2014年2月に急逝したオスカー俳優、フィリップ・シーモア・ホフマン主演のサスペンス・ドラマ。「裏切りのサーカス」などで知られるスパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの同名作を基に、現代のスパイによる諜報合戦が描かれる。ウィレム・デフォー、レイチェル・マクアダムスといった名優たちによる演技合戦にも注目。

派手さはありませんが、引き込んでいく内容で、何といってもフィリップ・シーモア・ホフマンの演技力、存在感をみせつけられる映画でした。中年男の切なさを背中で表現出来るのはこの人!スクリーンに哀愁が漂っていました。彼がこの世にもういないと思うと遺作だと思うと悲しいラストで、もう彼の姿が観られないと思うと余計にあのラストシーンが心に残ります。後半からラストへのハラハラ感が最後の最後に大爆発して、身も心もボロボロになりました。
まさかのラスト…
泳がせて泳がせて小さな魚からより大きな魚を釣り上げる。背後にはもっと大きな釣り人の影。正義のために、緻密に、誰がチェックメイトするのか。情報提供者をかくまい、ターゲットの不正を突く決定的な証拠を得るまで、実は裏で行われている心理戦。実際の諜報活動はこのような地味な活動の積み重ねなのだろうなと思わせるリアルな描写と、最後の最後に起こる大展開のダイナミクスに圧倒されました。