お金について今まで色々書いてきた。それの一貫として資本について。
まずは資本のWiki。(例によって分野、学派によって若干定義が違う)
定義は『事業活動を行うための元手となる金のこと』である。
ここでまず問題となるのは、そのお金はどうやって生れてきたのだろうかということである。
答えは、先に書けば、今まで散々書いてきたように誰かの借金ということなのだが、Wikiを見れば何となく自然発生したものとしてお茶を濁している。『直訳すると「ノアの大洪水以前の資本」という意味であり、元手としての資本はかくも大昔から存在していた』などと言っているわけだが、実際は、後払いのための担保が進化していったものがお金だ。現代社会での事業を見れば銀行から借りておこなわれているが、信用創造で銀行は元手の何倍も貸せるようになっており、それによって世の中全体のお金が増える仕組みになっている。大抵の場合は、担保に応じて貸しだしができるということなので、お金以外の資産をお金に変えたものとも言えるだろう。
担保となる物品(不動産等も含む)の価値は上下するものではあるが、それがあれば借金をすること、特に事業をおこなう上での借金にも抵抗は少なくなるだろう。しかし担保になるものをもっていれば必ず皆借金するかと言えばそうではない。担保は、それがなければほとんどの場合貸してもらえない、つまり必要条件に過ぎない。
前回の投資と消費で出てきた、資産価値があるものを作るという行為は、成長の要因になるのかとも一瞬考えたが、前述の通り必要条件にすぎないことを考えれば、これはならないであろう。つまり、投資財の生産の割合が増えても成長には直接的にはつながらないということだ。(ただし、世の中全体の担保不足によって融資の状況に不具合が出ている状態なら、改善に繋がる余地はある)
結論。資本とは、誰かが資産等を担保におこなった借金、又はそれが移動して誰か別の人に集まったお金である。資本がなければ事業はおこせないが、事業をおこすかどうかは採算性のある内容があるかないか、特に需要見込みが大きい。資本があるだけで勝手に生産が増えることはない(資本が入ってくればよいということではない)。担保はすなわち信用であり、少なくとも国内には無限の信用力を持つ国が国民に対して借金をすることは、担保不足に対してのよい方法である。