ギリシャの問題に関しては以前、公務員比率の話
、産業の話
について書いた。
今回はドイツとの比較によって自由貿易礼賛の誤りを示したいと思う。
ドイツ人が勤勉且つ優秀であることには異論がないが、それがギリシャのそれに対してそこまで差がでるものだとは思わない。結局は生産物の違いによるものが大きいというのが私の結論である。
以前も書いたようにギリシャの産物はオリーブや綿である。それに対してドイツ
の主要産業は自動車等である。
ギリシャの産物は他国で作るよりも良質で量も多くできる。しかし高額で売れるかといえば、他の製品による代替の可能性や、設備投資や技術における参入のしやすさによってあまり高額にはできないだろう。一方自動車は実質的な代替品がないことや、参入コストの高さで価格はそれ程下げる必要はないだろう。
自動車に特化するということは、オリーブに特化することに比べてはるかに独占的な性質があるということだ。
需要と供給のバランスは、価格を決める上でのある程度の要素でしかない。こういった価格を決める他の要素を十分に考慮に入れる必要があるだろう。
得意分野への特化
は確かに総生産量を多くする。しかし金銭的均衡に関しては、別の問題だ。フェアな競争の結果と考えることは、自然にまかせれば最適の答えが出るという根拠のない信仰以上のものではない。