こんにちは。千葉です。
ちょっともう、いろいろと言いたいことがありすぎる政治の話はひとまずおいておきます。


まずは本日のマーラーです。今日は先日買ったばかりの一味変わった全集から、でもあり、すでに紹介している全集からの一枚でもあります。

Gustav Mahler: Complete Edition/Various Artists
¥6,741
Amazon.co.jp


名門ドイツ・グラモフォンとデッカの音源からなる「マーラー・コンプリート・エディション」から、シャイー指揮ベルリン放送響(RIAS響)の演奏で「嘆きの歌」です。1989年3月の録音です。


実はこの録音、以前に買ったはずなのだけれど金銭的事由か何かで手放してしまい、その後再購入のタイミングを逸してきたものなのです。たぶんね、オケがコンセルトヘボウだったらすぐに買い直していたと思うんだ、うんうん(言えば言うほど…)
それが今回、こんな廉価な全集に組込まれたおかげで再び入手できました。ありがたや…ちなみに、どれとは言いませんがそんな形でふたたび出会うことになる録音が他にもけっこうあります。この先のこのシリーズの進行を考えると、いやぁ、本当に助かった(笑)。「三人のピント」間奏曲やピアノ四重奏曲まで収められていますので、なかなかの仕上がりではないかと。
(欲をいえば、第十番のアダージョ(全集版)がないかな、とは思いました。あと、この曲の初稿版も)


なお、Amazonでは予約受付中ですが、店頭にはもう並んでいると思いますのでお急ぎの方はH~とか、タワー~とか、山ホニャララ楽器とか、そちらでどうぞ(なぜ伏せた)。


そんなわけで久しぶりに聴いたこの録音。いやぁ、全集を通して感じられたシャイーのマーラーへのアプローチ、間違いなくここにもありますね。
よく歌う旋律、フレージングも含めて整えられた声部のバランス、それらが神経質にならずに同居しているのが心地好い。声楽入りの大規模な作品であることを考えればなおのこと、であります。この美点は、後年録音される彼の角笛交響曲までの演奏に顕著なところなのです。オーケストラが違っても指揮者の志向はちゃんと伝わっているようで何より。ちょっと薄目の、シャープな響きのオーケストラとの組合せはこの若書きの作品を少し洗練させてくれているようにも思います。
加えて、作品が語り物であることが、オペラ指揮者シャイーの本領を発揮させているな、と感じました。お見事。


例によって意欲的なこの時期のデッカの録音の良さも指摘しなければなりますまい。DENONのような、コンサートホールで聴かれるサウンドとは違うけれど、こういうマルチマイクによる解像度を重視した録音も先生嫌いじゃありません(いつから先生になった!)。声楽にオフステージのパートに、本当に大編成を駆使してますからね、よくも書いたものだよマーラー青年も(初稿は二十歳前後…)。いや感心だ。


たぶん、この演奏に文句をいうなら「明るすぎる!」ということなんだろうな、と思います、かつてアメリカのオーケストラのドイツものがなかなか評価されなかったように。ですけれど、ドイツのオーケストラってかなり明るい音を出すと思うんですよ。特に大きく鳴らした時の輝かしさときたら!もちろん、作品の内容的に薄暗い音が求められる部分もあるとは思うのですけれど(第一部の語りであったり、真実が見えてしまう場面であったり)。ですが、光がなければ影もできないのですよ(月影先生か)。やだなぁ、祝祭の輝かしさが残酷な結末をより劇的にしているんですよ!と風浦可符香嬢のようにポジティヴにとって楽しんでいただければ幸いです。


以上、ちょっと落ち着かないままに本日のマーラーはここまで。さて明日は今年最初の明治大学商学部特別講義ですから、楽器はお休みして余裕を持って休むといたしましょう。ではまた。