こんにちは。千葉です。
雨が降ってない、とか言ってたら驟雨にあたりました!なんだこの間の悪さ(苦笑)。


さて本日のマーラー、いつものこちらの全集から。

Mahler: Symphonies Nos. 1-10 (Limited Edition)/Siegmund Nimsgern
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ロリン・マゼール指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による全集から、交響曲第六番を聴きました。録音は1982年。


昨日も書きましたけれど、千葉のマーラー原体験はバーンスタインの新全集によるものだったから、この演奏を聴いての第一印象は同じオケがこんなに違う音をだすのか、というものでした。バーンスタインはライヴで、こちらはセッション録音という違いはありますけれど同じオケで同じ会場ですよ?ウィーン・フィルにしては硬めの音で、何かに急き立てられるような演奏が刷り込まれている千葉には、この演奏の残響豊かで美しい響きが崩れない、どこか余裕ある演奏には戸惑おうというものです。


ですが、スピーカからけっこうな音量で鳴らしてあげると良い感じなんですよ、これ。このオーケストラが全力で鳴らした時のやたらに明るい響きが堪能できるのはなかなかです。この輝きあってこそのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ですからね…オーケストラの響きがきっちりある中からハープやチェレスタが綺麗に響くのはいいですよ。


また、この80分を超える長大な作品を演奏するには、マゼールのどこか人工的ですらある冷静なコントロールは悪くないのではないか、と思えてきました。
それこそバーンスタイン的な没入(風)アプローチも良いです。ですが、先日ジュリーニの演奏に感じた「作品との距離のとり方」という見方もできるかな、この演奏なら。特に30分程度の演奏時間を誇る終楽章では、マエストロの手綱さばきが内在するストーリィを浮かび上がらせていたように思います。

一番印象的だったのが、最初のハンマーが鳴る前後です。個人的には、ハンマーの直前には音楽は可能な限りの高揚をして欲しいのですね。勝利を確信した瞬間に振り下ろされる一撃であってほしい、というか。その辺りのコントロールは、これまで聴いた演奏の中でも一番かもしれません。マエストロの演奏にはいつも事態を外から見ているような落ちつきがあってそれが不思議な感触を残すのですが、ここで指摘した箇所のように語り手が冷静だから生まれる劇的効果って、あるのですね…


この演奏、そしてまだ言及していないバーンスタインの新全集、さらにブーレーズ版とウィーン・フィルの演奏を聴き比べるのも面白そうです、指揮者の求めるものがかなり明確にわかるはず。いやぁ、なかなか興味深い演奏でした。
(おそらく、バーンスタインとの映像版も併せて見るとより面白いはず)


最後にこの曲のチェックポイントを。第一楽章はリピートあり、第二-第三はスケルツォ-アンダンテの順、ハンマーは二発です。


なお。先ほど事実関係の確認をしていたら、なんと今日はこの曲の初演日でした(1906年)。こういう偶然もあるのですね、と感慨をもちつつ本日のマーラーはおしまい。ではまた、おやすみなさい。