こんにちは。千葉です。
雨があがるとさすがに寒くは感じませんね、今さらですけど春なのでしょうか。季節ズレ略してきズレか、いろいろと考えるな(無理がある飛躍だ)。


さて、またしても読み終わった本。あまりにも読みやすいので、読み始めたらあっという間でした。

オぺラ・シンドローム―愛と死の饗宴 (NHKブックス)/島田 雅彦
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オペラ好きで自らも歌うし、三枝成彰氏と「忠臣蔵」「Jr.バタフライ」を制作したことでも知られる作家の島田雅彦が紹介するオペラの歴史、見所などなど、といった一冊。本当にわかりやすく読みやすすぎたもので、小一時間で読み終わってしまったのです。
奥付を確認したら、「NHK 知るを楽しむ この人この世界」で放送された「オペラ偏愛主義」のテキストを加筆・再編集したものだとか。なるほどわかりやすい訳だ…


本書で取り上げられるオペラは以下の十二作、プラス適宜参照される諸作です。


モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」
ロッシーニ「アルジェのイタリア女」、「ランスへの旅」
ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」、ベッリーニ「ノルマ」
ヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」、「運命の力」
ヴェルディ「オテロ」※
ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」
プッチーニ「蝶々夫人」
R.シュトラウス「ばらの騎士」
ショスタコーヴィチ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」


(※ヴェルディ作品で二章に分かれているため、別途表記してあります)


参照される作品にはモンテヴェルディのポッペアの戴冠、三枝成彰のJr.バタフライなどがありますから、ほぼ四百年の歴史がざっと見て取れる構成です。音楽史的な知見をえるというよりは、オペラをこよなく愛好する作家ならではの作品の読みを通して自分なりの視点を作る手助けをしてくれる一冊、というところでしょうか。作品の読み方、成立した当時の社会、演奏史などを自由に織り込んで語っていらっしゃいます。


ただし、紹介される作品を知っていた方がわかりやすいのは間違いのないところ。せめて「〇〇のこの時期ならこんな感じかな」位の見当がついているといいかな、とは思います。千葉もロッシーニとかドニゼッティ、ベッリーニあたりはあまり詳しくないけれど、他の作品からのイメージがあればだいたいわかるように書かれていたと思います。というか、そう思いたい(笑)。


なお、一点気になったことが。「ドン・ジョヴァンニ」の紹介なのですが、主人公の地獄落ちで終わるように書かれているのですね。十九世紀ならそれが一般的だろうけれど、今は最後の六重唱まで入れてみるのが一般的ではないかなぁ…というか、個人的にはあのフィナーレがあるからこそ主人公の別枠っぷりが際立つように思うのだけれど…


こんな事を書いていたら「ドン・ジョヴァンニ」を聴きたくなってきましたのでひとまずこの辺で。本日のマーラーもあるから、聴くとしても週末でしょうかしら…
なお、本日は週に一タイトルづつ聴き進めているロリン・マゼールとウィーン・フィルによる交響曲第六番を聴きます。ではまた後ほど。

ドン・ジョヴァンニ & コジ・ファン・トゥッテ DON GIOVANNI & COSI FAN.../永竹 由幸(ながたけ よしゆき)
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実はこれ、買うタイミングを逸し続けているのです。そろそろかな、市場から消えちゃう前に…