こんにちは。千葉です。

日当たりがよくないとちょっと寒く感じられますね、なんというか不安定だなぁ…春らしい日とか、もっとも美しい月、五月とか、今年はあまり縁がない感じです。やれやれ。


さて、最近はベルリオーズ関係の資料しか読んでいなかったので、久しぶりに読了した本です。

日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」/有馬 哲夫
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タイトルだけ見ると陰謀論的に見えるけれど、きちんとソースにあたって丹念に調べられたルポルタージュです。アメリカに対してはいろいろと思うところあるのだけれど、公文書の公開に関するスタンスには素直に感心します。公開の規定があるからこそこうして後から資料で当時起きたことが検証できるわけですよ、大事な資料を破棄してしまいました、とか言ってしまえる外務省にも以下自粛(自粛の意味なし)。


正力松太郎氏と日本テレビ設立を巡る、日米両国の暗闘を描いた一冊、というと一応のところ説明できているかと思います。登場する人物がやたらに多く、また途中で「逆コース」の話が出てきたところから怒りがこみ上げてきてしまって、あまり冷静には読めませんでした…


日米双方の思惑があり、それらが個別のプレイヤーの意向によって複雑に絡みあう様はもう、一言で言って醜悪極まりない。もちろん、政治は美醜で語るものではないので、これは批判ではなく感想です。
それぞれのプレイヤとしては、お互いの思惑に乗ったりスカしたりして上手くやってのけたのでしょうし、少しは国民にもメリットがあったでしょうけど、こういう「指導層」の話って率直に申し上げて気分が良くないです。反共を旗印にいろいろなことをやってのけた彼ら、その思考はかなり「前衛党」的なものですし、不躾に申し上げるならあまりにも無反省です。まぁ、指導者なんてそんなものかもしれませんけど。


ある時代においてはそうせざるを得なかった、そんな事情がわからないと言うつもりもないですが、拠って立つ基盤が占領国の諜報機関だったメディアだとわかってしまうとちょっと色眼鏡をかけてその歴史を振り返りたくなります。
テレビ番組を買い入れていたことは番組制作能力がない当時なら仕方ない部分もあるし、そこでアメリカン・ウェイ・オブ・ライフ(笑)を見せつけられたのも敗戦国では仕方がない。しかしその目線で見るとメジャーリーグもプロレス中継も疑わしいな…そういえば最近、エシュロンの話とか聞かないですよね…などなど、陰謀論に接近してしまいそうになりますが、それはこの辺で止めておきましょう、消されるのも嫌だし。


なんだろう、諜報機関がバンコランみたいなトラブルシューターだけで構成されているのなら良かったのにね、と思ってしまいましたわ(嘘)。

あともう一つだけ。日本にはこれだけの手間と時間をかけて占領工作を行った合衆国なのに、どうしてイラクやアフガンではあんなに粗雑だったのか。これは彼らも検証しているだろうけれど、これ以上ない他山の石だと思いますね、いろいろな意味で。


いやらしい当てこすりでひとまずは感想を〆ましょう。本日のマーラーは、昨日の食い足りなさと食い合せの反省も込めて(嘘)、ダニエル・ハーディング指揮ウィーン・フィルの交響曲第十番(クック版)です。ではまた後ほど。