こんにちは。千葉です。
秋晴れは昨日までだったのですね、洗濯物を取り込むタイミングを窺う時間帯になりました。やれやれ。


さて。きょうも気分転換に別の文章を書くという、いったい自分どうなってしまったのよと思わないでもない行為に出ております。


◆ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:サー・サイモン・ラトル
2008年11月23日(日・祝)16時開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール


曲目:
ハイドン:交響曲第92番 ト長調 Hob.I:92 <オックスフォード>
Haydn : Symphony No.92 in G major, Hob.I:92 "Oxford"


マーラー:リュッケルトの詩による5つの歌 独唱:マグダレナ・コジェナー(Ms)
Mahler : 5 Rückert-Lieder / Mezzo Soprano: Magdalena Kožená


ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 作品68 <田園>
Beethoven : Symphony No.6 in F major, op.68 "Pastorale"


え~、結構待ったように思います、前回2005年の来日から。いや、あれから少なくない録音がリリースされて、ようやく現在の彼らの音楽がイメージできるようになってきていたから、これで良いのかも知れません。ちなみに、2005年来日公演後、2007年時点での、彼らの音楽に対する千葉の見方は以下の雑誌に寄稿させていただきました拙文でご覧いただけます。


クラシックジャーナル 027 親しみにくいクラシック ラトル・バトル
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さっき読み返したら自分でも少し驚きましたけど。よそいきで書いてもこの文体か(笑)、というツッコミはなしでお願いします。


さて、千葉はラトルとベルリン・フィルに対して全幅の信頼をおくものであります。そのバイアスははじめに明確にした上で。彼らの音楽には制限はないのだな、と昨日も痛感いたしました。素晴らしい、っていうか凄すぎます。満足した、で終わっても好いんですけど(おいおいおいおい)、以下ちょっとだけメモ的なコメントを。


・編成


今回はハイドンで8型、他二曲で12型。弦楽器は左右対向配置で、ハイドンとそれ以外でバスの位置が変わってます(ハイドンでは第一ヴァイオリン後ろ、他二曲では第二ヴァイオリン後ろ)。管楽器は一切アシストなし、シンプルな二管編成でした。それであの音量なんだよねぇ。物理的な音量というより、拡がりというか。


そうそう、今回は三階のステージ前端のほとんど真横から聴いていたのですが。第二ヴァイオリンの直接音と間接音が若干のズレを持って聴こえてきてしまう異常な瞬間がありました、この会場でこんなことがあるなんて、とちょっと絶句しました(演奏中はふつうずっと絶句してますけどね)。このホールって滅多に音がぶつかるようなことはないのに、どれだけ音がでかいのか彼ら。それも弦楽器で、ですか、やれやれ。


・奏者


昨日の公演では有名な日本人プレイヤの皆さんは降り番だったようです。安永様、町田様、清水様、いずれもいらっしゃらなかったのであります。

コンマスはガイ・ブラウンシュタイン、その裏はシュタブラヴァ。後の弦は三階から見分けるのは大変だったので紹介できず。
木管、フルートはパユ、オーボエはマイヤー、クラリネットはフックス、ファゴットはシュヴァイゲルト、かな。ホルンはドール、トロンボーンのトップはゲスリンク、テューバはヒュンペル。後はスミマセン、見分け切れませんでした。


・ハイドン


CDも素晴らしい出来でしたが、実演だとやはりそれ以上、ですね。冒頭は比較的安全運転だったように思われましたがすぐに本調子になり、最高に充実したハイドンを聴けました。満足。なんなら、今度はハイドン尽くしとかでも好いんですよ、なんて言いたくなるほど。


・マーラー


コジェナが美しいからそれでよし、と言うのは冗談で。

これほど凝ったオーケストレーションだったか、と驚きっぱなしでした。ニ管編成のオーケストラをこれほど自由自在に使うとは。そしてそれを音にするオーケストラに拍手。そうそう、この曲にテューバ、いたんですね(えぇ、ずっと)。


そうそう、出版譜だと四曲目になる「真夜中に」を三曲目として、交響曲第五番、第七番のようなスタイルにしたのは正解だと思います。自分より大きい何ものかへの告解の後すぐに「自分の世界に生きているのだから!」ってのはどうもねぇ。


コジェナの歌については、さすがに横から聴いてコメントするのもどうかと思いますので「正面で聴きたかった」、とだけ。演劇的な、と言いたくなるほどの感情移入で聴かせる人だからなぁ・・・またの機会に、良い形で彼女のマーラーが聴けますように。


・ベートーヴェン


本当に自由になったなぁ、と再認識。コミュニケーションも密だから奔放、というのではない自由が、彼らの演奏にはあるなぁ。と。もうね、いつまた全集作ってくださってもよろしくってよ、ベートーヴェン。そんな思いに駆られました。しみじみ。


・雑感


えっと、上手すぎます、この人たち。ハイドンもベートーヴェンも、ちょっと漫然と聴いていると「誰の合奏協奏曲だっけ?」なんて言いたくなるほどにプレイヤが活躍しまくりです(マーラーでは存在感は圧倒的だけれども、さすがにそこまでではない、曲の性格も含めて)。


あえて誰かひとりの名を挙げるなら、一瞬考えてホルンのドールかなぁ。プログラムから勝手にバボラクが来ると思っていたので、演奏が始まるまではちょっと意外な印象を受けていたのです。いやぁ、でも彼らしい輝きのある演奏で事前の予想(バボラクが室内楽的な演奏をすると思っていた)とは違う、非常に説得的な演奏をしてくれました。面白いなぁ、このレヴェルでこういうサプライズ(勝手な、ですけれど)。


いや満足しました。もう毎年でも来てくれれば好いのに(それは財布が持たないよ)。


あぁ、あとそうですね、一応・・・
音楽が静かに終わったら、すぐに拍手しなくても好いと思いますよ、どこのどなたかは存じませんがせっかちなお方(約一名)。


以上、昨日開幕したベルリン・フィル週間(千葉にとっては、ね)の初日レポートでした。明日、明後日も聴ける幸せに感謝しつつ、〆切と戯れる(強がってみた)このタイミングの間の悪さにちょっとだけ困りつつ、ひとまずはこれにて。ではまた。