りそな銀行退職者の年金減額が確定 最高裁が上告不受理
厚生年金基金の規約変更に同意していないのに、年金受給額を減額したのは不当などとして、りそな銀行の退職者らが、同行と「りそな企業年金基金」に差額の支払いなどを求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷は、退職者らの上告を受理しない決定をしたというニュースです。
本来、年金額は約束されていますが、景気の低迷や運用収益の悪化、会社の経営の圧迫などを理由として、いったん支給が決まった退職年金を減額することはできるのか?という問題です。
誰も好んで自分の年金が減額されることを望んでいるわけではありません。
一口に退職金と言ってもその内容は様々ですが、通常は退職金規程が定められています。
退職金規程には、通常は訂正変更条項が定められており、例えば、経済情勢や社会保障制度に著しい変動があった場合に退職年金の減額ができる旨などです。
これまでも退職金減額の裁判例はあり、判例の考え方によると、
原則としては、訂正変更条項がなければ、いったん支給が決まった退職年金を減額することは出来ないと考えられています。
しかし、訂正変更条項がある場合であっても、退職年金を減額できるだけの合理性と必要性が求められます。
判断としては、
●経営上の必要性(人員削減、店舗削減、役員報酬や賞与削減などの努力をしたにもかかわらず経営を圧迫している等、赤字の程度)
●退職年金制度の内容(賃金の後払い的性格の強弱など)
●退職労働者が受け取った利益、将来受け取る利益はどの程度か
●退職労働者の受け止め方はどうか
といったことを勘案して判断されるといういうことです。
退職金には
●賃金後払い的性格
●功労報償的性格
●生活保障的性格
という性格を併せ持ち、個々の退職金の実態に即して判断しなければなりませんが、りそな銀行のケースは最高裁が上告不受理とのこと。
未来のことはどうなるかはわかりませんが、今後、同様のケースも出てくるかもしれません。
【記事】
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