年金記録転記作業で派遣の中国人ら大量ミス | 職場が元気になるための人事・労務を考える千葉の社労士・CFPのブログ

年金記録転記作業で派遣の中国人ら大量ミス

 次から次へと年金記録問題の新しいニュースが出てきますが、これもかなりのインパクトのあるニュースだ。


 私は中国に行ったこともないし、大学時代の第二外国語も中国語ではなかった。しかし、中国人と一緒に働いたことはある。中国と日本、同じ漢字でも、読み方や意味が全く違う。同じような読み方や同じような意味の漢字もありますが、音読み、訓読みというレベルではなく、全く違った読み方や意味のほうがはるかに多いという印象だ。


 名寄せで一番大事なのはフリガナでしょう!


 基礎年金番号以前の「旧台帳」の入力作業ならなおさらだ。いくら派遣会社から「中国人アルバイトは日本語も話せるし、漢字も書ける」と説明されたからといって、それをうのみにして任せた社保庁の管理体制は問われるだろう。


 中国人が悪いとは言わない。要は間違えなければいいのだ。悪いとは言わないが、この作業は日本人にやらせてほしかった。結果論ではなく、これだけ年金が問題になっているのだからそうするべきだった。


 一つ記事に出ていないことで疑いを持つとすれば、”中国人のほうが、日本人よりも派遣料金が安いから使ったのか?”ということだ。派遣会社が労働者を派遣するのに中国人も日本人も関係ないと否定するかもしれませんが、外国人労働者の雇用問題、中国人研修生の最低賃金以下での長時間労働や脱走などのニュースを目にすることがある故、いろいろと疑ってしまう。まして派遣元がフルキャストである。昨年の8月に違法派遣で処分されたばかりだけに、事業停止処分は明けているとはいえ、社会保険庁がいかなる経緯でフルキャストに派遣を依頼したのかにも興味を持つ。公の機関がこういう大事な仕事を任せる時、「入札」というのはオーバーにしても、なぜフルキャストなのか…と。


 読売新聞の記事の最後に「社保庁は中国人アルバイトの派遣にかかった費用は支払わない方向で検討している」とありますが、これもおかしな話で、中国人派遣労働者のミスは悪いにしても、「派遣”労働者”」であり、派遣元と派遣労働者の契約、派遣元と派遣先の契約があるが故、お役所が料金を支払わないなどと安易に言えるものなのかと疑問を持つ。詐欺ではなく、社保庁にも管理の甘さがあったわけで、どうも責任を転嫁しているようだ。何せ相手がフルキャストゆえ、厚生労働省とフルキャストの間で貸し借りのようなものがあるのでは?などと疑いを持たれてもおかしくはないだろう。


 これは単なるミスというだけでなく、外国人労働、派遣、年金といった様々な問題が詰まったニュースだと感じる。


 我々の老後のために支払っている保険料が、社会保険庁に軽く扱われているという意味では怒りが収まらないニュースである。


【記事】


 <厚生年金>転記作業で派遣の中国人ら大量ミス


 コンピューターに未入力の古い厚生年金記録1430万件などの手書き台帳からの書き写し作業で、昨年12月に派遣会社から派遣された中国籍などの外国人約50人がミスを連発し、社保庁が途中で全員の作業を打ち切ったことが分かった。 
 30日の民主党の会合で社保庁が説明した。この作業のため、社保庁は派遣社員ら約1300人を集め作業を開始。人材派遣大手「フルキャスト」(東京都)は外国人約50人を12月10日から派遣した。


 だが、田中昭という名前を「田」「中昭」と書き写すなど、姓と名の区分がつかないミスが多発。社保庁は全員日本人にするよう要望し、1月末までだった派遣は12月20日で打ち切った。誤記された記録は修正したという。


 社保庁は「ミスのあった記録件数は分からない。派遣会社からは、テストした優秀な人を選んだと説明があった」と釈明。フルキャスト広報室は「全員、日本国内の定住者か留学生で、漢字の読み書きはできた。このような結果になり申し訳ない」と話している。


   (1月30日 毎日新聞)


【記事】


 年金記録転記で大量ミス、中国人アルバイトが誤記


 社会保険庁のコンピューターに未入力の「旧台帳」と呼ばれる年金記録計1466万件の入力作業で、社保庁が昨年12月、人材派遣会社から派遣された中国人のアルバイト約60人を採用し、氏名を書き写す作業で大量のミスが発生していたことが30日、わかった。


 社保庁は、中国人アルバイトが担当した部分をすべてやり直したが、管理体制などが問われそうだ。


 同日に開かれた民主党の厚生労働・総務部門合同会議で社保庁が説明した。


 旧台帳はマイクロフィルムで保管され、コンピューター入力するため、フィルムの文字を読み取り、記録用紙に転記する必要がある。この転記の作業は、現在約1600人の派遣アルバイトが行っている。


 中国人アルバイトらは、先月10日から約9日間作業を行ったが、日本人の姓と名を区別できなかったり、旧字体やひらがなを正確に読み取れず、大量のミスにつながったという。ミスに気付いた社保庁は派遣受け入れを打ち切ったが、すでに約25万件の転記が終わっており、すべてやり直した。


 社保庁によると、人材派遣会社からは、中国人アルバイトについて「日本語を話せるし、漢字も書ける」と説明を受けていたという。社保庁は中国人アルバイトの派遣にかかった費用は支払わない方向で検討している。


   (1月30日 読売新聞)