完全に個人的な日記と言うか

私にとっての「初心に戻る」記録です。

 
私が家族写真を撮り始めた理由。
被災についてなので、スルーしてもらっても大丈夫です。
 
しかも長文。長過ぎます。
 
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10年前の今頃、旦那に出会いました。
「おれ、不幸です。」みたいなオーラを全身から放っている酔っ払いでした。
 
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え?出会いなんて、聞いてないよ!って?
 
皆さんもあの震災の日を忘れていないでしょう?
忘れれませんよね。
 
たくさんの命が突然奪われた日です。
「当たり前」のような日常が消えた日です。
 
でも、マスコミや新聞の題名では
「忘れてはいけない」とか、書いてて
忘れてること前提なタイトル、納得行きませんね。嫌いです。
 
だって、ふとした瞬間思い出すことだってあるでしょう。
365日、忘れるな!ではないのです。


 
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あることがきっかけで旦那と話した時
彼は前触れもなく「俺は被災者です」と言ってきた。
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知人にも何人か実家が流されてなくなったと言う話は聞きました。が、直接の被災した人には出会ったことがありませんでした。

震災当日、私は都内のスタジオで働いていました。その時は震災の爪跡がどんなに大きかったか知りませんでした。
 
翌日からニュースで津波や原発問題をしり
恐怖を覚えたのを記憶しています。
 
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「俺は被災者です。あの震災で津波に流されて、家族も流されて、亡くなりました。だから、こっちに来ました。」
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さらっと言ったこの言葉。
一瞬理解でしなかった。
流された?
亡くなった?
 
震災の悲惨さは確かに記憶していても
被災した人の本当の悲しみなんて
想像しかできないのです。
宮城県石巻市、大川小学校の近くだったそうです。
 
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地震のあった時、家族5人が同じ家にいて皆、津波にのまれた。
そのうち3人は津波で亡くなり、2人生き残った。妻と義母の遺体は彼が見つけたそう。
彼の実家も流されて、実母が亡くなった。
自分の家族も実家も思い出も消えた。
罪のない小学生の柔道の教え子も亡くなって彼は生き残りました。
 
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「だから、辛くても生きなきゃダメなんですよ。」
 
「なんで、純粋で罪のない子供たちが死ななければいけなかったのか。納得がいかない。辛くてあそこにはいられないですよ」
 
「嫁のね、遺体を一生懸命探しました。早く見つけてあげたかった。でもね、手がね、手が出て来た時、やっぱり無理って思って自分ではそれ以上、土砂を除く作業ができなかった」
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彼は自宅で津波に飲まれ、山に泳いでたどり着いた。一夜をそこで過ごすのだけど、
雪の降る時期。
彼は穴を掘り身を埋めて体に枯葉をかけて寒さをしのいだそうです。
 
津波で亡くなった方もいますが、
津波に飲まれて濡れた体で一晩を野外で過ごした方は凍死した人が多いと聞きました。彼の実母がそうだったと聞いています。
 
生き残った者と亡くなった者と。
生き残って全てをなくした人。
一部をなくした人。
 
思い出の街はもうなくて、
思い出の写真さえない。

彼の地元には街があった形跡がありません。すべて津波に奪われたのです。
 
そんな過去を背負った人と私は結婚し
出産しました。
 
新たな命。
 
息子を抱いた彼が言いました。
「お袋に抱いて欲しかった」と。
 
震災がなければ亡くなることはなかった。
でも、震災がなければ息子は産まれることはなかった。
 
どっちがどっちではない。


 
私にはまだ、元気な両親がいます。
今のうちにたくさん、息子に触れてほしい。たくさん、写真を残してあげたい。と思います。
 
写真はその瞬間を切り取ります。
子供たちの小さい頃の記憶に残らない部分を写真で残してあげれば、
大きくなった時にこんなことがあって、
こんな感じだった。と、話せるでしょう。
 
マタニティフォト、新生児フォト、授乳フォト、お宮参り、お食い初め、ハーフバースディ、誕生日、初節句。
還暦祝い、古希祝い、銀婚式なんだって良いのです。
 
桜が咲いたから、紫陽花が咲いたから、
水遊びの季節だから、
なんだって良いのです。
 
残したい瞬間に
生きてる家族で撮影したいなって思ったんです。
 
自分がいるのは、両親がいたから。
その両親にもまた両親がいたから。
 
そして、自分もまた命を繋ぐから。
Your World photographyは
あなたの世界を繋ぐすべてを写真に残したい。と、いう思いでつけました。
 
だから、生きてるうちに、
自分も含めて両親、祖父母、曽祖父母がいるなら「一緒に生きてた時間」の共有する証拠でもいい。
 
写真を残してほしいなと思うのです。




だから、私が撮りますよ!
ではなくてね。
 
1歳過ぎたら写真が減ったとか
2人目だから少ないとかではなく
 
撮り続けてほしいな。


 
*****
今年も墓参りに行きます。
これからも毎年、行きます。
彼が愛した人。
私も一生忘れることはありません。


 
死んだら終わりではないんです。
命が、思いが繋がっていれば。


 
もし、読んでくれた人がいるならありがとうございます。
 


 
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