試験に落ちた犬 | 自然の力はプライスレス

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まりんとの生活っぷりなどなど。

試験中、私達が車で待機している間、トイレをさせるために車の裏手に来ていた黄ラブのユーリ♂と黒ラブ♂。

認定試験は2年毎に受けて更新しなければならないシステムなので、2回目の挑戦。
ユーリのママも黒ラブのパパも、自信満々だ。

両者とも服従試験の復習にも余念が無い。

ただ。。。

両者の共通点は。。。

暴力パンチ!

トイレをさせに来たのに、場所を選ぼうとして先を急ぐ犬に対して、
クォラァ、引っ張るな!と引っ張り返す。ガーン
延々と、脚側歩行の練習をしながら、ちょっと犬が遅れると、リードで殴る、膝蹴り食らわす、リードをガンガン憎しみ込めて引っ張り、チェーンチョーカーがきつく締まる度に、犬はケー、ケー、と苦しそうにしている。
犬はどうしているかというと、ケーケーした後、さっと人間の期待する場所に寄って、正しい脚側の姿勢を取ろうとし、笑顔で見上げる。

何故楽しそうな笑顔になるのか不思議だったが、どうやら、愛想笑いらしい。

だんなぁ、ちゃんとやりますからぁ~。 そんなに怒らないで下さいよぉ。

殴られないための必死の笑顔。

苦しくなった。

ここまでしないと服従科目は上達しないのかねぇと半信半疑だった。

犬は人間を選べない。
努力が報われると良いねと、心の中で犬を応援した。


だが、試験中、ユーリママの叫びが聞こえた。

「こらぁー、戻って来いーーー。」

車内に居た私は思わず吹いた。

そーか、ユーリ、この時を待っていたのか。

黒ラブ♂のパパも、試験の後、知り合いにぼやいていた。
「こいつ、絞め殺してやりたい。」

私は口元が緩むのを隠すために下を向いた。

やはり、犬は頭が良い。
やられっぱなしでも、いつかやってくる一瞬のチャンスを逃さない。
一矢報いたらしい。


黄ラブの小雪(♀4歳)とゴールデンRのモニカ(♀2歳)は捜索科目で吠えられなかった。

小雪だって認定試験は2度目だ。
要領は解っているはずだ。

だが日頃の鬱積したものがここでも出たのだろう。
普段遊ばせてもらえない小雪にとって、自由に走れる唯一のチャンスが捜索場所なのだ。
自分にとって何が必要なのかを訴えれる貴重な機会を確実にモノにしている。
雨が溜まった泥の中を転がりまわって、すっきりしてから戻って来たらしい。

ゴールデンは基本的に神経質だ。犬同士の遊びより、人間と遊びたいと言うタイプが多いように見える。
そんなタイプをケージにしまいっ放しにしたら、外界への適応能力が落ちるのは明らかだ。
訓練所に来ている他のゴールデンも、指図には的確に応えるが、応用が利かない。

そんな訳で、繊細なモニカも、いきなり広い世界に解き放たれて、逆に緊張し過ぎて吠えられなかったというオチ。

捜索作業を始めた時期はまりんと同じなのに、結果は天と地。
私をいじめ、モニカを指導していたリーダーのブログは今もまだ更新されていない。


試験に落ちた犬達を考えても、まりんが年を重ねればずる賢くなるはずだ、という発想は変だ。
根本的に育て方も扱い方も全然違うのだから、まりんが私を出し抜く理由が無い。


いい加減、自分達のやり方に疑問を持って欲しいものだ。