『管鮑(かんぽう)の交わり』
―管鮑之交―
<史記>
友情とは何かと聞かれたとき、真っ先に思い出されるのが、「管鮑の交わり」である。「管」とは斉の国の名宰相であった管仲(かんちゅう)、「鮑」とは、やはり重臣の鮑叔(ほうしゅく)という人物である。
のちに管仲は鮑叔の友情について、こう述懐している。
「私はむかし貧乏だった頃、鮑叔と組んで商売をしたことがあった。もうけを分ける段になって、自分の方が余分に取ったが、かれは欲張り呼ばわりしなかっ た。私が貧乏なのを知っていたからだ。また、のちに私は幾度か仕官して、その度にお払い箱になったが、かれは無能呼ばわりしなかった。私が時節に恵まれな いことを察してしたからだ。また、私が戦に出るたびに逃げ帰ってきたが、かれは臆病呼ばわりしなかった。私に年老いた母がいるのを知っていたからだ」
※私を生んでくれたのは父母だが、私を育ててくれたのは鮑君だ。」と言いきっていますね。
これで見ると、相手の身になって考えてやることの大切さが「友情の本質」であるようですね。
鮑叔=鮑叔牙 (ほうしゅくが)
守屋 洋 (著)
文庫: 409ページ
出版社: PHP研究所 (1987/12)
ISBN-10: 4569563805
ISBN-13: 978-4569563800