『窮もまた楽しみ、通もまた楽しむ』
―窮亦楽、通亦楽―

 

                            

<荘子>

中国を旅行してまず感じるのは、生活レベルの低さである。「貧しいなぁ」と誰もが思う。

だが、もう少し注意深く観察してみると、人々はゆったりとした時の流れのなかで、それぞれが其々のやり方で人生を楽しんでいるかのごとくである。

たとえば、早朝の上海の街角。鳥籠をさげたお年寄りたちが三々五々集まってきては、お互いの鳥を自慢するかのように、鳴き声に耳を傾けている。あるいはそちらの空き地でのんびりと太極拳を楽しんでいる人々もいる。

其々の境遇に自足しながら、じっくりと人生を楽しんでいる姿が、そこにはあった。むろん、人生を楽しむためには、経済的に余裕のあったほうがよいかもしれない。しかし、お金がなかったら人生を楽しめないのかと言うと、そういうものでもあるまい。

※ 二度とない人生である。せっかく、人として生まれてきたのですから、生活のなかに自分なりの楽しみ方を発見し、じっくりと人生を味わいたいものですね。
因みに、私の場合、「現状に満足する」を基本としていますので「自足」という言葉が大好きです。

 

茶臼山古墳的 日々是好日-t02200304_0376052011084550423  中国古典一日一言 (PHP文庫 モ 1-4) [文庫]

  守屋 洋 (著)
  文庫: 409ページ
  出版社: PHP研究所 (1987/12)
  ISBN-10: 4569563805
  ISBN-13: 978-4569563800
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『天下に忌諱(きき)多くして、民いよいよ貧し』
―天下多忌諱、而民彌貧―

 

                         

<老子>

あれもダメ、これもダメと、禁令のたぐいが増えればふえるほど、人民の生活はいよいよ貧しくなるのだという。管理や締め付けを厳しくすれば、社会全体が 息苦しくなり、人々の創造性も社会の活力も失われてしまう。その結果、生活水準も思うように向上しない。これは、一部社会主義国の現実を見れば、肯(うな づ)ける面が少なくない。

『老子』の主張を野球にたとえれば、管理野球がこれに近いかもしれない。チーム・プレーを重視し、一人ひとりの私生活にまで干渉するので、選手の個性を殺してしまう。だから、管理野球は、見ていて面白くない。

『老子』は、こうも語っている。

「技術が進めば進むほど社会は乱れ、人間の知恵が増せば増すほど、不幸な事件が絶えず。法令が整えば整うほど、犯罪者がふえてくる」

※ 『老子』のこのような主張は、現在の管理社会の現実に鋭く反省を迫ってくるのである。

 

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苛政は虎よりも猛し

『苛政は虎よりも猛し』
―苛政猛於虎―

 

                    

<礼記>  

孔子が弟子たちとともに泰山の麓のあたりを通りかかったときのことである。一人の女性が墓の傍でさめざめと泣き崩れているではないか。孔子は、しばらく泣き声に耳を傾けていたが、やがて子路という弟子をやってわけをたずねさせた。

「なんとも悲しげな声で泣いているが、いったいどうしたというのか」

「はい、昔、舅が虎に喰われ、ついでに夫が喰われ、いままた息子までが虎に喰われてしまいました」

「どうしてこんな土地から逃げ出さなかったのか?」

「ここに住んでいるかぎり、きびしい税金の取立てがございませんから」

孔子はこれを聞いて弟子たちに語ったという。

「お前たち、よく覚えておくがよい。『苛政は虎よりも猛し』ということを」

※ これは現代でも同じことかもしれない。悪い政治というものは、虎の害など比べものにな

     らないほど国民を苦しめるものですね。

 

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