麒麟も衰うるや、駑馬これに先立つ

『麒麟(きりん)も衰うるや、駑馬(どば)これに先立つ』

―麒麟之衰也、駑馬先之―

 

 

<戦国策>

「麒麟」とは、現在言うところのキリンではない。一日に千里も走るという駿馬である。「麒驥(きき)」ともいう。「駑馬(どば)」とは並みの能力しかないごく平凡な馬。ことばの意味は説明するまでもあるまい。むかしから諺としてよく使われていたらしい。

 

現代でも、よく「老害」ということばを聞く。衰えは、馬の場合には足にくるが、人間の場合は頭にくる。思考が硬直して、柔軟な対応ができなくなるのだ。努力によってよくそれを克服している老体もいないではないが、多くはそういう欠点を免れない。

 

平常時なら、そんなリーダーでもかまわないが、問題は非常時だ。日本開戦のとき、日本海軍の第一指揮官はいずれも老齢で、作戦指導にとかく柔軟な対応を欠きがちであったといわれている。

 

※ 現代の社会でも、同じようなことが指摘できるかもしれない。

 

茶臼山古墳的 日々是好日-t02200304_0376052011084550423  中国古典一日一言 (PHP文庫 モ 1-4) [文庫]

  守屋 洋 (著)
  文庫: 409ページ
  出版社: PHP研究所 (1987/12)
  ISBN-10: 4569563805
  ISBN-13: 978-4569563800
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『智者も千慮(せんりょ)に必ず一失あり、愚者も千慮に必ず一得あり』

―智者千慮必有一失、愚者千慮必有一得―

 

 

<史記>

智者といえども、千回に一回は失敗があるから、完璧とはいえない。愚者といえども、希にうまくやることがあるから、まんざらバカにしたものでもない。というもの。

 

このことばも、もともとは諺のように使われていたらしい。たとえば劉邦に仕えた韓信という将軍が趙の軍を滅ぼしたとき、敵の参謀の李左者(りさ しゃ)を軍師に迎え、今後の作戦計画について意見を求めることがあった。そのとき、李左者は、まずこのことばを引いてから、おもむろに自分の意見を述べている。

 

つまり彼は、謙遜の気持ちをこめて、「愚者の一得」のほうを強調したわけである。

 

※ じつは、この諺の狙いも、もともと、「愚者の一失」を笑うのではなく、「愚者の一得」のほうに注意を喚起する点にあったらしい。たしかに、どんな人の意見にも必ず聞くべき点があるものだ。頭からダメだと決め付けるのは、自他ともにプラスにはならない。

 

 

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宰相は細事に親しまず

『宰相は細事に親しまず』

―宰相不親細事―


 

<漢書>

宰相とは文武百官のトップで、皇帝を補佐する最高の責任者であった。そういう立場にある者は、「細事」つまりこまごました業務はすべて部下に任せて、自分は大所高所からにらみをきかせていればそれよいという考え方である。これもまた、リーダーの理想のあり方を語ったことばに他ならない。

 

漢代の丙吉という宰相が、車で都大路を巡回中、とある街角で乱闘事件にぶつかった。死者まで出るという騒ぎであったが、丙吉は目をくれないで通り過ぎる。あとでお供の書記官いがわけを訊ねたところ…

 

「事件の取り締まりは警視総監の職責である。宰相は細事には親しまぬものじゃ」と語ったという。

 

※中小企業のような小さな組織では、なかなかこうはいかないであろう。だが、トップ自ら、細かな仕事にまで首を突っ込んでいたのでは、身体が幾つあっても足りない。できれば、「細事に親しまず」を目指したいものだ。

 

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