5月27日、農林中央金庫が、21年3月期(連結)の決算を発表し、経常利益で6165億円の損失、当期利益で5721臆円の赤字となりました。 

この巨額の損失に対して、資本金増資(後配出資)で1兆4053臆円、劣後ローンで5123臆円、合計1兆9000臆円の資本増強を行っています。

この巨額の損失については、ブログ界でも前々から予測され、農林中金の怪しい動きについても疑問視されていました。いったいこの流れの背後には何があるのでしょうか?

5月6日の本ブログ「郵政民営化の次の金貸しの狙いは農協・農林中金か? 」の問題提起を受けて、本日より農林中金について、更に追求して行きたいと思います。

まずは、基礎データーとしてH12~H20までの総資産と有価証券の動きを整理してみました。

年度   総資産(兆円)  有価証券(兆円))
H12    60.1兆     22.6兆
H13    57.5兆     23.2兆・・・小泉政権発足
H14    61.2兆     28.6兆
H15    61.8兆     33.5兆
H16    61.9兆     37.4兆
H17    70.8兆     45.6兆・・・小泉郵政選挙
H18    68.2兆     43.7兆
H19    61.0兆     36.2兆・・・サブプライム問題
H20    58兆       32.9兆 世界金融危機

・資産の運用を有価証券への投資を主としている。
・有価証券の70%は海外への投資である。

ここ約10年の動きとして、総資産の動きは有価証券の動きと連動しています。有価証券の内、70%が海外への投資であり、米国の住宅バブルで資産を増やし、現在は大損を出しました。
また、この動きは、金貸しの最も強い影響下にあった小泉内閣の動きとも連動しています。

しかしよく分からないのが、サブプライム問題が明るみに出てからの動きです。
具体的にサブプライム問題後の農林中金の動きを見てみると、
・ファニーメイ・フレディマック2社が発行した債券を合計5兆5000億円保有していることを発表。
・この頃、シティグループから総額約5,000億円分のシティ資産関連の証券化商品を購入。
・農林中金は資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)などの証券化商品への投資について、今
 後1~2年で少なくとも6兆円(540億ドル)規模まで拡大すると発表。

世界中の金融機関が金融危機で引く中で、さらに証券化商品に手を出している。
このような農林中金の動きについて、副島隆彦氏の「日米「振り込め詐欺」大恐慌」では、以下のように指摘しています。

●アメリカの手先となって日本国民のお金を貢いだ官僚たち

財務省、金融庁、厚生労働省、総務省(旧郵政省を合併した)、農水省(農林中金に多く天下っている)及び法務省(検察官、裁判官まで含まれる)の6つの有力な官僚組織が、アメリカの手先となって日本国民の大切な資金をたくさんアメリカに貢ぐ媒介、仲介の係をしている。

●「振り込め詐欺」の本当の真犯人はアメリカの金融財界人

「振り込め詐欺」というのは、そこらのチンピラや暴力団員が、おばあちゃんをだまして銀行に手持ちのお金を振り込みさせる、というような話しではない。日本国民全部が振り込め詐欺にあっている。日本の自民党政府及び官僚たちが口利き屋となって、仲介業者となってアメリカのニューヨークの金融業界に振り込んで、貢ぎ続けたお金だ。それらが消えて無くなっているのである

●今起こっていることは国家による「振り込め詐欺」であり、政府と官僚たちによる「ネズミ講」である。

・・・・確実に大儲けできる運用先があると夢をふりまいて、たくさんのお金を集めたが結局、詐欺だった・・・これと同じことを今のアメリカの金融業界が世界を相手に行ってきたのだ。アメリカ政府がそれとグルで、後押ししてきた。さらに属国・日本の官僚たちがアメリカの手先となって、国民から集めたお金を振り込んだ。アメリカの外資大手に運用を丸投げで任せた

●農林中金にいずれ日本政府は15兆円を投入することになる。

農林中金が最も危ない。おそらく15兆円ぐらいのお金を日本政府は注ぎ込なければいけなくなるだろう。(中略)
今を遡る13年前の1996年の、住専(ノンバンク)破綻処理の時に、上野博史は、豪腕を振るって、大蔵省(財務省)から6450億円をふんだくった。住専に投資した損失金の埋め合わせで農協だけに特別扱いで6000億円余りの金を国庫(財務資金)からの負担・補填させたのである。あの時の立役者が上野博史であり、故に「大蔵省をねじ伏せた男」として、歴代農水次官経験者の中でも一番上の”ドン”の地位に上がった。そして、農林中金の理事長に慣例どおり納まった。
この農水省官僚のトップで長年ドンであった男は、「全国の農協組合員と国民に多大のご迷惑をおかけしました」の一言のお詫びと謝罪の言葉もなく「区切りのメドがつき、けじめをつける。」という逃げ口を言って去る気だ。今から農協組合員たちに降りかかってくる、外債(デリバティブ)投資の運用失敗での15兆円の大損害、損失金の確定、露見の責任を取らないで彼は自分だけ逃げを打ったのである。まことに浅ましい農水官僚どもの末路である。
これが米国のサブプライム住宅バブルのネズミ講に騙されて、国民の金を金貸し達に振り込んできた今の日本の特権階級(政治家・官僚達)の姿なのでしょう。

また、バブルがはじけて金融危機状況に入っても、官僚の上にいる金貸し:D.ロックフェラーの銀行(シティ・バンク)等の証券化商品を買わされています。
金貸し→官僚→農林中金の指揮系統の中で、資金の運用も金貸しの外資投資会社に丸投げし、穴埋めも協力させられ、今回の損失が生まれてきているのではないでしょうか。

日本を守るのに右も左もない 」より