2009年3月17日(火)10時0分配信 日刊ゲンダイ

 例の漆間発言によって、「国策捜査」の疑いが強まっている小沢一郎の公設秘書逮捕。官邸と検察との間に“あうんの呼吸”があったのかどうか。ここにきて重大な疑惑が浮上している。小沢秘書の逮捕直前、麻生首相と樋渡検事総長が密かに“接触”していたのではないか、という情報が飛び交っているのだ。

●事態は首相の思惑通りに推移

 小沢代表の公設秘書、大久保隆規が逮捕されたのは3月3日。首相と検事総長との会談が疑われているのは、前日の3月2日だ。3月2日の首相動静を見ると、午後6時16分から22分まで、永田町の個人事務所で書類整理していたことになっている。

 しかし、現職の総理大臣が、個人事務所で書類整理をすることは珍しい。そこで、この10分足らずの間に、捜査について報告を受けたのではないか、というウワサが駆け巡っているのだ。

 さらに、2月16日の夜という解説も流布されている。首相動静によると、午後8時55分から10時33分まで、1時間半も「ホテルニューオータニ」のバーにいたことになっているが、途中、抜け出して会っていたのではないか、と疑われているのである。

 はたして、首相と検察は事前に打ち合わせしていたのかどうか。

 民主党も疑いを強め、検事総長に「2月1日から3月4日の間に首相と会った事実はあるか」と質問書を送り、この期間の公用車の「運行記録」を提出するように要請しているほどだ。法務省は「会った事実はない」と否定しているが、公用車の運行記録の提出はかたくなに拒否している状況だ。

「民主党は再び、検察批判を強めています。鳩山幹事長は『検事総長を国会に呼ぶ』と明言し、『政権を取った暁には検察のありかたも議論する』と言い出している。宣戦布告も同然です。政党が検察を揺さぶるなんて前代未聞のこと。民主党は、小沢捜査がムリ筋であり、事件の背景に政治的なものがあるという材料をなにか握っているのかもしれない。だから、ここまで強気なのかもしれません」(野党関係者)

 麻生首相と検事総長の接触が疑われているもうひとつの理由は、首相の思惑通りにその後の事態が進んでいるからだ。

「小沢だけでなく、二階経産相の疑惑まで飛び出し、いま解散したら、自民党も打撃を受けるように見えるが、与野党が疑惑にまみれた時、間違いなく野党への打撃の方が大きい。1966年の『黒い霧解散』もそうでした。首相は、自民党議員に捜査の手が伸びる前に解散するつもりでしょう」(政界関係者)

「国策捜査」なのかどうか、この際、徹底的に明らかにした方がいい。

(日刊ゲンダイ2009年3月14日掲載)
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