今年はすんなりと色付かなかった我が家の橙でしたが、2月中旬にはトマトに近いまでの濃い橙色となり、他のどの柑橘よりも強い芳香を放っていました。
毎年、収穫する度にこの香りの良さに酔いしれるものの、なかなかマーマレード作りに着手できず。橙の皮の硬さが腰を重くさせるのです。あらゆる柑橘の中でもトップクラスの皮の硬さでしょう!ムッキーちゃんなど、もちろん歯が立ちません。りんごの皮剥き式に皮剥きするのですが、3個目あたりから手が痛くなるほど。その後の刻む作業も、もう少し皮が柔らかいと簡単なんだけれどなぁ。

重たい腰を上げて、大量の橙(結局、今年は150個近く実り、20個程は自然落果&傷み、40個程お友達に丸投げ、20個程は樹上の色の変化観察用に放置、残りの70個程が我が家分)を、少しずつマーマレードの瓶に変身させています。
いざ作ってみると、やっぱり橙マーマレードはそりゃもう絶品なので、出来上がると美味しい&嬉しい♪このビターなコクと爽やかな味と香り、他では味わえません。
色合いも美しいです☆
今年も天才になれるよう、てんさい糖で上品な甘さに仕上げました。
















前回の記事で書いた美々津から更に北へと足を伸ばし、漁業の町 門川に行って来ました。
実は私、宮崎の暖かく穏やかな海で獲れた魚のお刺身を生臭く感じてしまい(白身魚は平気)、あまり食べられません。何しろ冷た~い日本海の荒波で身の締まった海の幸が当たり前で育ったので。
でも、ここ門川の直売所で買うお刺身は別物。鯵もハマチもシャキーンとしていて臭みなど全くありません。鱧やアラ(高級魚クエの幼魚)も手に入ったり。しかもどれもこれも非常識なほどの安さ(笑)
そんな中、私の一番のお目当ては写真のはまぐり。宮崎ははまぐりの産地で、日向市では名産品としてお土産品などを展開していますが、門川は穴場!お隣なのに日向市の何分の1の激安お値段!
なので大量購入して作ったのは……
















特大フライパンにいっぱいのパエリア。
紋甲いかや海老など、門川獲れの海の幸をふんだんに使い、鯛と香味野菜で炊き出した「フュメ ドゥ ポワッソン」までお米に吸わせたpopさん渾身の作!
主役のはまぐりは、本当は殻付きのまま散らして乗せた方が見た目が華やかになりますが、「食べながらセコセコと殻を外すのがイヤ」と言うpopさんの拘りで、取り外した身だけが真ん中に集合(笑)
尤も、あれだけ多数の大きなはまぐりを殻付きのまま乗せたら、それだけでフライパンが満杯になってしまうところでした。
門川のはまぐり、いつでも何にしても美味しいけれど、春先はやっぱり旬なだけあって一際プリンプリンでした!

逗留していたpopさんのバレエのおばちゃん、それにいちご農家の親戚も呼んでパエリアパーティーとなりました。
宮崎産レモンをギュッと搾って食べるや否や、みんなが「何コレ~~!」と叫ぶ衝撃的な美味しさでした。秋にスペインに行くバレエのおばちゃん、本場でもコレだけ手を掛け、材料を贅沢使いした濃厚なパエリアにはそうそう出合えないでしょう。
その前に、来月はアラスカクルーズに出掛けるそうで……相変わらず世界を飛び回っています。
この冬にはなんと、ペルシャ絨毯と砂漠と石油の国々に行っていましたが、食べ物がイマイチだったとのこと。食べ物より、私は治安が心配でしたが!
我が家に逗留中は、iPadで私の演奏動画を撮りまくり、夜はなんとキャンディ何とか言うゲームを毎晩!
「ちょっとゲームし過ぎだね~」とpopさんに指摘される74歳。中学生か(笑)
中学生と言えば……
















ノアゴン、4月21日に13歳になりました☆
髭は白髭が増えましたが、毛並みはしっとりサラサラ、容貌は衰えず。ロマンスグレーな新中学生(笑)
幼い頃の病弱さと気難しさはどこへやら、至って健康で寛大、食欲も変わりません。
















やっぱり人間っぽいノアゴン。
13年目の今も、中にフランス人ムッシューが入っている疑惑が拭えません!












人間に変身する2秒前(笑)

親友であり、恋人であり、子供であり、お父さんでもあり、お兄ちゃんでもあり……最高の相棒、最愛の家族です。










さて、月末恒例お薦めクラシックコーナーです。あ!先月末のお薦めクラシックの記事に頂いたコメントのお返事、1ヶ月近くも経ってしまったお詫びも込めて丁寧に書きましたので覗いてみて下さい。



今月のテーマは変奏曲。変奏曲フェチの私、だいぶん前のこのコーナーで一度テーマにしましたが、Youtubeもリンクも貼れない超アナログ時代でしたから改めて変奏曲を掘り下げてみたいと思います。

変奏曲とは、最初に主題(テーマ)を提示し、その後、幾つもの変奏(ヴァリエーション)を展開する曲のこと。多くの場合、シンプルで音が少な目のテーマを少しずつテクニック的に華やかに盛って行くスタイルとなります。でも手法は様々で自由なので、バッハの時代から近代まで、実に多くの作曲家が変奏曲を好んで書きました。
1つのテーマをテクニカルに飾ってみたり、左手にテーマを出現させてみたり、拍子を変えてみたり、時には大胆に調性すらも短調を長調に変えてみたり、和音あるいは単音で敢えて簡略化してみたり、緩徐楽章的なゆったりと美しいメロディーを奏でてみたりと飽きる事がありません。同じテーマをこんな風にも変化させられると言う可能性、作曲家の発想力が面白い!
テーマと言う制限が、拘束になるのではなく、逆に変幻自在な世界観を繰り広げるのですから。
1つのテーマを多種多様な形に変化させる変奏曲、絵画の世界でも、同じ積み藁の風景の時間ごとの光の変化を描いたモネや、故郷のサントヴィクトワール山を描き続けたセザンヌは似たものを感じます。





◆リスト:パガニーニ大練習曲第6番(アニー・フィッシャー)

https://www.youtube.com/watch?v=mMBsq3BFwi0



私の変奏曲への目覚めは、中1の時にコンクールの課題曲だったモーツァルトのデュポールのメヌエットによる変奏曲で(モーツァルトは桁違いに多くの変奏曲を残しており、中でも小学生が発表会で弾く定番の「きらきら星変奏曲」は有名です。我が思い出のデュポールには納得できる演奏が見付からないのと、今聴いてみるといずれの変奏曲も面白味は今一つなので割愛)、それからショパンの華麗なる変奏曲やシューマンのアベッグ変奏曲と続き、私の変奏曲遍歴スタート。

そして高1の初夏に弾いたのが、このリストのパガニーニ変奏曲。やられました、ハマりました。
中2の秋に、レジェレッツァでリストデビューした私、その後2年近くに渡り、このパガニーニ変奏曲を含むパガニーニ大練習曲集に立て続けに挑みました。
パガニーニ大練習曲集は全6曲から成り、中にはかの有名なラ カンパネラ(第3番)も含まれています。今回ご紹介のパガニーニ変奏曲は第6番、パガニーニ大練習曲集を締め括る曲でもあります。
当時の私はリストの華やかなテクニックが凄くカッコイイと思っており、夢中になって練習して得意になって弾いていたものでした。見せ付けるタイプのテクニックと音楽なので、「スッゴ~イ!」とか、素人受けが最も良い作曲家かもしれません。
リストとの出会いの中2~パガニーニ大練習曲の最終曲のこの変奏曲までの約2年間が、私とリストの蜜月でした(笑)
超絶技巧練習曲集を始めた高2の頃から、リストの音楽をイヤらしい・虚飾だと感じ始め今に至るワケです。
それでも、蜜月だった時期のパガニーニ大練習曲集には未だに愛着があります。
中でも、蜜月最後のパガニーニ変奏曲を、初夏の暑さに汗を流しながら繰り返し繰り返し練習したのは忘れ得ぬ思い出です。5分程の曲ですが盛り沢山な内容です。変奏曲と言うスタイルは、テクニカルな編曲を得意とするリストにとてもよく合っていると思います。もっと何曲も変奏曲を残していないのが不思議なぐらいです。

皆さんもご存知であろう、ヴァイオリンの世界で悪魔のようなテクニックを誇ったパガニーニは、リストだけでなくたくさんの作曲家が影響を受け、結果的に多くの作曲家による「パガニーニ変奏曲」を生むこととなりました。ブラームスは2曲(2バージョン)、ラフマニノフはオーケストラとの壮大な曲に仕上げています。またいずれご紹介したいと思います。

 
リストの演奏は、どうしても「力技系」か「見せ付け系」か「軽業師系」のヴィルトーゾが多い中、非常に実直で清潔感のある演奏を発見!アニー・フィッシャー女史による古いライヴ録音です。リストのイヤらしさを帳消しにしてしまうほど清い演奏です。最後の方などで事故はありますが、どんなに完全無欠な演奏でも成し得ない素晴らしい演奏でしょう。これを機に、アニー・フィッシャーをいろいろ聴いてみたいと思います。





◆メンデルスゾーン:厳格なる変奏曲(ラローチャ)

https://www.youtube.com/watch?v=EihgQaqe8zo




私の変奏曲フェチを決定づけたのがこのメンデルスゾーンの厳格なる変奏曲。
高1の時に出会ってからず~っと大好きな曲で、パリ時代も含め、事ある毎に弾き続けている十八番です。

バッハ風の祈りのようなテーマに始まり、一貫して教会のパイプオルガンの響きを思わせるような荘厳な雰囲気と凛とした空気の流れる音楽です(メンデルスゾーンは、当時の人々が忘れ去っていたバッハの存在を世に知らしめた功績でも知られます)。
でも実は、結構テクニック的にハジケてイケイケドンドンな所もあります(笑)

変奏曲ならではのピリッとキリッと引き締まった感覚がよく味わえる曲でもあります。

若き日のラローチャのこの録音、永遠に私の目標です!艶やかな音と弾むテクニック、音楽の力強い勢い、豊かな歌心……この曲は割りと名演が多いのですが(・ホロヴィッツ←若い頃の録音で意外と真面目、やっぱり速めですが音楽的にもテクニック的にもお見事、・ペライア←誠実で安心感は抜群、・コルトー←ガチャンガチャン事故が多すぎですが、深いタッチの響きと雰囲気は絶品、・リヒテル←演奏姿も観られる必見動画)、その中でもラローチャは飛び抜けています!








◆プーランク:主題と変奏(ガブリエル・タッキーノ)

https://www.youtube.com/watch?v=jNqgAltXzck



今日おしまいは、楽しいフランス音楽の変奏曲を。
変奏曲も時代が現代に近付くほど、より一層、自由自在なヴァリエーションが繰り出されるようになります。それが機知に富んだプーランクであれば尚更です。
穏やかでゆったりと美しいテーマが生き生きと躍り出す様は物語のよう。
変奏曲ごとに調性が変わり、1つ1つの変奏曲が実に個性豊か。各ヴァリエーションがまるで生き物みたいです。思い切った変身ぶりに毎回、度肝を抜かれますが、ユーモアたっぷりのプーランク節で語られるとともかく愉快でお洒落。お洒落だけれど朗らかなのもプーランクらしいところ。もはやマジックに掛かったかのようにワクワクして来て、続きが楽しみになってしまうのです。
変奏曲でも、プーランクならではのパリの香りが音の間から香り立ちます。プーランクって、最もエスプリと言う言葉が似合う作曲家だと思います☆
本当は、プーランクの親友ジャック・フェヴリエの超名演をご紹介したかったのですが、動画が見付からず残念。こんな超名演なのにCDも廃盤、動画も無いなんて!どなたかフェヴリエのプーランク集の動画UPしてくれないかなぁ~。
私、フェヴリエのプーランク集のCDを持っていたのですが、パリ時代の友人に貸したきり……却って来ませんでした。友人は精神錯乱になってしまい、親御さんに連れられて緊急帰国したのでどうしようもなく、廃盤だからまた買うことも出来ないし(涙)

気を取り直して、プーランク唯一の弟子であるガブリエル・タッキーノの演奏でお楽しみ下さい。フェヴリエは素晴らし過ぎますが、タッキーノも決して悪くありません。


変奏曲と言う名の小宇宙、いかがでしたか?
まだまだたくさんの変奏曲があるので、第2弾もまたやろうと思います!
















私とpopさんの後追いをするようになったへんこ。
振り返るとこんな美人顔をしていて鼻血が出そうになります(笑)

でもこの数日後、ダミ声のドラ猫さんに引っ掻かれて、鼻と左頬にガリッと傷が~!美人な顔に傷跡が残らないか心配し、「うちの可愛いへんこちゃんを引っ掻いちゃダメ」と、ドラ猫を叱る私とpopさん。完全なる親バカ、子供のケンカに口出し状態(笑)
ドラ猫さん、ダミ声で何やら言い訳しながら去って行きました。














そんな様子を窓から眺めるバージュ。
正統派美人のへんことはタイプが全く違いますが、素直で陽気な性格が真ん丸な可愛い目に表れています♪