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今月末はpopさんのおじいちゃんの命日。
おじいちゃんは、popさんと私がパリで出会った翌年には亡くなってしまったので、残念ながら私は一度も会う事がありませんでした。
しかしこの、今私たちが住んでいる家はかつておじいちゃんおばあちゃんが住んでいた家ですし、親戚や街の人たちから何かと伝え聞く話から、会わなくてもとても身近に感じる事が出来ます。
それに亡くなるまでの最後の2ヶ月近く、popさんは看病をしにパリから帰っていたのですが、目が見えなかったおじいちゃんは、popさんと私が電話で喋る声や毎朝私が送っていたFAXの来る音を聞いては
“パリの彼女からか?”
と、とても楽しみにしていたそうです。
そんな話を聞く度に、晩年になって光を失い音の世界に生きていたおじいちゃんに、私のピアノを聴かせてあげたかったなぁ、としみじみ思います。



そんなおじいちゃんの書いていた日記が、押し入れを整理していたら小さな鞄の中から出て来ました。
まだ目が見えていた頃、おじいちゃんはかなり長年に渡って日記を付けていたようです。何冊も、器用で几帳面で優しく繊細だったおじいちゃんらしい日記が出て来ました。
生きていればもう百歳近く。今年が生誕百年の太宰と同時代を生きたおじいちゃん。生前を直接会えなかったおじいちゃんと、こうして日記を通して出会えると言うのは何だか不思議です。下手な小説よりもずっと面白い!



ついでに一緒に鞄に入っていたのが写真の古銭たち!2枚目の写真はまだ懐かしいですね。と言っても百円札は私は初めて見ましたが。
全然詳しく無いのですが3枚目の写真の方はだいぶん珍しいものや古いものなのではないでしょうか?
五十銭札だとか十円札、中国やインドネシアのお札も!これは多分、海外と貿易をしている東京のおじさんが持って来たのだと思います。
一番手前はメキシコ銀行ですよ、YORIKOさん!昔、愛知のおじさんはメキシコにしばらく留学していたのだとか。
海外ものは息子たちが置いて行ったのでしょうが、1つ謎なのは日本政府発行の10ドル札!これは一体どういうものなのでしょうね?
ひょっとすると、おじいちゃんは戦争であの山下将軍の下で南方で捕虜になったりと大変な苦労をしたのですが、その当時のものなのかもしれません。




日記はpopさんが生まれる遥か昔から始まっていて、5人の子供たちのこと、仕事のこと、おばあちゃんとケンカしたことや(笑)、政治や世の中のこと、田植えをした話やツツジの剪定の仕方、台風が来て大変だった話、親戚や友達との話等など。
我が家の庭にある花や木々がどのようにしてやって来たのかなんかもこれを読めばわかります。あの彼岸花やスプレー菊、ボケは近所のあのおうちから分けて貰ったものなんだ~!とか。



日記の最初の頃はやんちゃだった子供たちも結婚し、やがて孫たちが生まれて成長する様子が書かれています。もちろんpopさんや、ぴよちゃんママになったSちゃんのことも記されています。Sちゃんが誰もパス出来ない中学に合格した!(←誰もパス出来ないって(笑))とか、popさんが早稲田に合格したと言う辺りは本当に笑ってしまうほど嬉しそうに綴られています。
特にpopさんは初孫だったので宮崎を出て東京に行ってからも、荷物を送ってやったとか電話をしたとか、久しぶりに宮崎に帰省すると言うので待ち遠しい等と頻繁に登場し、今更ながら愛情の強さに胸を打たれます。
だんだんと光が失われ、字も乱れて行く様子もうかがえます。
こう言うのを見ると、やっぱりブログは写真も載せられるしたくさんの世界中の人とも知り合えて素晴らしいけれど、肉筆で何十年間にも渡って日々書き綴られたものには敵わないなぁと思いました。


かく言う私も、パリ時代に2年間ほどピアノの練習日記をつけた事がありました。毎日の練習で気付いたこと、なんの曲を練習したかと言うことやレッスンの記録でしたがそこは私のこと!いつの間にかその日に食べた物や、仕舞いには近所の猫の話や“野村沙知代風猫”とか“メトロで出会った変なムッシュー”とか“楽譜屋の感じのいいマダム”とか“ルイサダの犬”とか“部屋に入って来たハチ”とか言う絵なんかまでご丁寧に描かれている始末あせる
こんな風に書くと、どんなにか洒落たスケッチか素敵なイラストが描かれているかと思われるかもしれませんが、吹き出すほど下手くそ!
しかし、どんな写真や物品よりも遥かに面白く鮮明にあの頃の日々を思い出す事が出来ます。



しばらくはおじいちゃんの日記を読むのが楽しみ!
命日には庭の花を活けて来ようと思います。