飲みの席での失敗談は場を温める
またそれにより、人と人との絆は深まる と世のおじさんたちは信じているだろうし
事実そういう部分も確かにあり、ぼくもそれを信じている
互いに普段、職場ではさらけ出すことのない部分をさらし、新たな親近感を沸かせ
職場での空気もやわらかなものになる
助けたり、助けられたり それはきっと職場での助け合いとはまた別次元の話に違いない
そうやって少しずつ 人と人との距離は近づき、この世界もまた距離を近づけることになる
酒とそれにまつわる場には そういう効果がある
だからぼくは酒やそれにまつわる場所が好きなのだ
オーストラリアから帰ってから
世界一周のときに出会った旅人たちと飲んでいた
で、飲み会の全体的な流れやら 途中参加した人の空気の読めないっぷりはここでは語らないが
まあ2軒目に行き
4人しかいなかった飲み会も総勢8人ほどになった
愉快愉快
誠に愉快なりけり
いつものように、ぼくはネットカフェで泊まるつもりだった為
「このへんで、どっかネットカフェある?」と 飲み会の席にはあまり馴染まない現実感溢れる言葉を繰り出した
飲み会とは普段吐かないような大言壮語を繰り出すのがふさわしい
例えば 「おれの夢はパンになることだ!」とちょっとデカいことを言ってみたり
あるいは 「私の夢はパンはパンでもルパンルパーン♪」と一人で歌いだしてみたり
あるいは 「『パンがなければ、ブリオッシュを食べればいいじゃない』と言ったとされてるマリー・アントワネットだけど ほんとはそれは彼女が言ったのじゃないのよ
あなたは彼女が最後に言った言葉を知っているからしら?
死刑執行人の足を踏んでしまった時に
『ごめんなさい。わざとじゃないのよ でも、あなたの靴が汚れなくてよかったわ』と言ったそうよ
素晴らしいと思わない? サウイウモノニワタシモナリタヒ」
と 宮沢賢治風にクダを巻いてみたり
そういうのが 相応しい
今回のように「ネットカフェ」などという貧しさを想起させるような くだらないことは言うべきじゃないのだ
しかし まあ言った
言ったものはしょうがない
しょうがないから 誰かが答える
その誰かは酔ってた
その酔った誰かが答える
酔った誰か「渋谷のHIVの上にあるよ!」
ちゃ「それ エイズのやつやん」と 小声でつぶやくと
目の前の美人が噴き出した
かくも飲み会とは愉快なものだ
今日も飲む飲む 明日も飲む飲む
ぼくらは酒で世界を回し 自分の視界さえも回すのだ
まだまだ飲むぞ どんどん飲むぞ
その日のコーラは とてもおいしかったです