恥ずかしいペットの名前maguroさんの日記に、
先日の大竜巻で行方不明になったペットの犬が無事見つかって、飼い主の元に戻ったというニュースが取り上げられていた。

「ワン太郎」という“適当すぎる”名前にも話題性があったと。( ´艸`)
ワン太郎……十分可愛い名前と私は思う。(^-^)/
飼い主の愛情が十分感じられるネーミングだ。

が、
探すとき、大声で呼べなかったのではなかろうか……
と、推察申し上げた次第である。(´0ノ`*)
なぜならば、
かく言う私も、ペットにちょっと恥ずかしい名前をつけたことがあったから。

いや、名付けたときは恥ずかしいとは思っていなかったのだが。(´_`。)
ペットの名前といえば、
太郎、はなこ、ちび、クロ、シロ、ミケ、たま、亀吉……など、
昔はそんな素朴な名前が多かったように思う。
しかし、高度成長の頃からか?
パトリシア、メアリー、ルル、ジョン……など、
当時、ご近所では、やたらハイカラなカタカナ名前が増え、
私はそうしたことにちょっとした反発を感じていた。

で、
とびきり和テイストの名前、
“古きよき日本の名前”をつけようと考え、
桜色のクチバシに、紅の縁取りに黒いつぶらな瞳の、真っ白い文鳥に、
「
権兵衛(ごんべぇ)」と名づけた。(^^ゞ
親は、
その名は田舎臭くて、あまりに可愛そうだと反対した。
せめて「ゴン」にしたらどうだ? と。

ううむ……。「ゴン」も悪くない。
悪くないがしかし、
「ゴン」ではまだ足りない。

ナニガヤネン
やはり「権兵衛」でないと!

と、頑なに主張。
で、結局、「権兵衛」と命名。
(私以外の家族は「ゴン」と呼んでいたようだが。f^_^;)
愛くるしい姿と「権兵衛」という名前は
お世辞にも“合っている”とは言えなかったが、
私は「権兵衛」という名前が気に入っていた。

「ごんべ、ごんべ」と呼ぶと、
飛んできて、私の肩や指や頭に止まり、
クルルルピュルルルルピーピュルルルピーピーチュルルピー

と
居心地よさそうに、
実に可愛らしい声で歌うのだった。( ´艸`)
夏のある日、
いつものように、権兵衛を鳥かごから出して一緒に遊んでいたら、
権兵衛がぱたたたと居間から廊下へ、そして

丁度開け放たれていた玄関から外へと、

飛んでいってしまった。( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚
いままで外になど飛んでいったことがなかったので、油断していた。
まさか外へ飛んでいくとはっ……!ヽ((◎д◎ ))ゝ
権兵衛の家出?
実はやはり「権兵衛」という名前が気に入っていなかったのか?

あわわわわ!
とにかく、
慌てて後を追った。

「ごんべぇーーーっ! 待ってー!

」
と、叫びたかった
が、
…………叫べん!

大声で叫ぶにはあまりに恥ずかしい名前であることに
そのときになって、気づいてしまった。((>д<))
あぁ、親の言うことを聞いて、
せめて「ごん」にしておけばよかった……。

思いっきり後悔しながら、
せめて見失うまいと、私は権兵衛の名前をかみ殺しながら、
権兵衛の小さな白い体を追った。

心の中では、
「ごんべ、ごんべえ! 帰っておいでー!ごんべえぇー!」と叫びながら。・°・(ノД`)・°・
――そもそも私は人前で大声を出すのが恥ずかしくてしかたない性格だったので、
行商の豆腐屋さんや焼き芋屋さんを呼び止めるにも、
清水の舞台から飛び降りるくらいの勇気が必要だった。
まして、「権兵衛」などと大声で叫ぶことは、さらさら恥ずかしいのであった。

権兵衛は真っ白い羽を羽ばたかせ、
最初の角を曲がって、細く長い路地へ入り、

その路地を縁取っている小学校の背の高い銀杏並木の茂みの中へと消えた。

こんもり茂った濃い緑の木々の中、
小さなゴン兵衛がどこにいるのか、
皆目わからない。
あたりはしーんと静まり返っていた。
権兵衛のさえずりも聞こえない。
「ごんべえー! 帰っておいでー!」と叫びたい。
……でも、叫べない。

あぁぁ、どうして私は「権兵衛」なんて名前をつけてしまったんだっ……

猛烈に悔やまれた。
「権兵衛」という名前が、叫ぶのにこんなに恥ずかしいと、なぜ最初に気づかなかったか……。

もっとカッコいい名前だったら、
町中に響く大声で叫べたのに…………。。(´д`lll)
細長い路地の中ほどに突っ立って、
権兵衛が消えた並木を見渡しながら、私は途方に暮れた。
どうしよう、どうしよう、どうしたらよいのだろう?
もしかしたら、もうこの長い路地を抜けて、向こうの大通りへ飛んでいってしまったのかしら?
と、そのとき、
茂みの中から、チーーーーッ!
セミが鋭い声を上げながら
まるでロケットのように勢いよく飛び出てきた。

と同時に、
そのセミに驚いたように、
権兵衛がセミと同じ辺りの茂みから飛び出てきた。

そして、どっちに飛んでいくべきか、
戸惑っているように空中で羽ばたいた。

「
んごっ……、ごんべぇぇぇぇぇっ!!!」

私は叫んだ!
叫んでしまった!
恥ずかしいなんて言ってられないっ。
すると、権兵衛は
まるで自分が呼ばれたのがわかったように、

方向転換して、まっすぐ私に向かって一直線に飛んできた。

私は両手を差し出して、
「ごんべえーーーーー!」と
また叫んだ。
権兵衛は羽を思い切り羽ばたかせ、
私目がけて飛んできた。
まっすぐに!

ちゃんと私の手の位置が分かっているように、
私の手の高さに高度をとって。
小さな翼をこれ以上ないというくらい羽ばたかせ、
全身でまっしぐらに飛んでくる権兵衛の姿の
なんと感動的だったことか……!。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
権兵衛は、みごと私の両手に着地すると、うっぷした。
もう飛んでいかないように、すぐに両手でそっと権兵衛を包む。
両手の隙間から覗いている権兵衛のクチバシを
私の鼻先にくっつけて、すりすり。
よしよしとぬくもりを伝える。
バクンバクバク、どっき、どきどきっ、どくんどくんドッドッドッ……

手の中でじーっとしている権兵衛の心臓が、
恐ろしいほど波打っていた。
初めて、広い外を何百メートルも飛んで、
初めて、大きな木の茂みの中に入り込んで、
初めて止まった大きな木の枝や木々の香り、
初めて飛んだ距離にドキドキ、
初めて触れた世界にドキドキ
初めて会ったセミはさぞ大きな怪物に見えたのではなかろうか、
いきなりそのカタマリが鋭い声を上げてシャーッ!と飛立ったのだから、
さぞ驚いたろう。
心臓バクバクになるよね。

あぁ、よく戻ってくれた。

よしよし、帰ろうね。

と、
権兵衛の脱走事件は無事に解決したのだが、

この時、
私は
ペットの名前は
いざというときに、人前でも大声で叫べる名前にすべし!と、心に誓ったことであった。(/ω\)
大勢に迎合するのを潔しとしないくせに、セコイ見栄を張る……という
浅はかな私の性格も痛いほど自覚したことであった。