勝てない理由。 | 元U-20ホンジュラス代表GKコーチ・山野陽嗣の「世界一危険な国での挑戦」

勝てない理由。







 「地上最強の生物」と言われる、「グラップラー刃牙」の範馬勇次郎…。何万回という戦いを繰り返す事により、筋肉がこの世のモノとは思えないほど発達…。いつしかその背中には、「オーガ(鬼)」が住み着くようになりました…。

















「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -父のマッスル!2010年12月10(金)



 「お、鬼が泣いておるぅぅうう!!!」 ※「グラップラー刃牙」より

 上の写真は我が「父」です。人呼んで「グラップラー父」。現在「59歳」。あと1ヶ月ちょいで「還暦」を迎えます。学生時代から柔道や少林寺拳法などの武術をたしなみ(最近は剣道も始めた)、家庭内では常人離れした怪力でファミコンのコードを引きちぎったり、僕の唯一の「生きる希望」だった「ゲームボーイ」を木っ端微塵に破壊したりと、戦慄の行動を繰り返してきました。幼少時代の僕には、本当にジョーダンとかじゃなくて、父が「オーガ(鬼)」に見えました。範馬勇次郎は、正に僕が幼少時代から抱く「父のイメージ」そのままです。

 「いつか必ず、俺の手で父を倒してやる…」

 子供の頃は、いつもそう考えていました。小学生の時「僕のお父さん」というテーマで作文を書く事になったのですが、他のみんなが「僕はお父さんが大好きです」という微笑ましい文章を書いていたのとは対照的に、僕だけが唯一「父さんなんか大嫌いじゃ!死んでしまえ!」と書いて問題になった事がありました。実はこの作文は、授業参観の時に教室に飾るだか、学年の文集に載るだか…になっていたんですね。すぐにPTAの方が我が家に訪れ、僕の父に相談したそうです。「お宅の息子さんがこんな事を書いてるんですが、もう一度、書き直させた方がよろしいでしょうか?」

 …すると僕の父はこう言いました。

 「いや、それが息子の本心なので、そのまま掲載して下さい」



 
 「いつか必ず、俺の手で父を倒してやる…」

 そう思い続けて生きてきましたが、ついぞ倒す事はできませんでした。その理由は…上の写真を見てもらえれば明らかだと思います。あれでも若い頃に比べたら、筋肉はかなり落ちました。昔はもっとゴツかったし、実家の米屋で米仕事をしてた時は、普通に120kgの米を持ち上げてましたからね。「父はアントニオ猪木よりも強い」と信じて疑っていませんでした。


 父には感謝の気持ちで一杯です。「いつか父を倒してやる」「いつか父を認めさせてやる」この強い気持ちが、僕を大きく成長させてくれました。父への反骨精神で這い上がってきたのです。「父が優しかったら今の自分は無い」と思っています。まるで「グラップラー牙刃」の世界そのままですね(笑)。


 「恩返しの定義」の答えはまだ出てませんが、それでも自分が信じる「恩返し」をこれからもしていきたいと思います!!

※帰国して島根に家族旅行に行った時の、父との2ショット。最近「顔が似てきた」といろんな人に言われるのが、非常にショックです…(涙)。

「日本→中国→アメリカ→イングランド→ホンジュラス→ジャマイカ→パナマ→オーストリア→南アフリカ→日本→シンガポール→?」 -父と「きんたの里」で!2010年12月10(金)