もうすっかり12月、このシリーズも亀の歩みのような進み、遅いながらも、お付き合い下さいます方々に感謝いたします。

まだ暫く続きますので、よろしくお願いいたします。

では、続きをお楽しみ下さい。

画像は、赤猫(あかね)くん、彼はメンバー最年少ですが、優れた整備士の腕前を持っています。宇宙船や小型時空間移動マシンの整備を担当しています。


[第5章 カンタスカラーナ特殊捜査部隊Aチーム ]

カンタスカラーナからやって来た、大きな宇宙船から、バッチリ揃いの制服を着た猫達が、ゾロゾロと降りてきました。

「うわー、また、かわいいなぁ!!」

門田さんが、思わず目を輝かせて言いました。

整列した猫達の中で、一番貫禄のある大きな黒猫が、猫谷エンジニアの前にやって来ました。

「猫谷隊長、お久しぶりです。只今、到着しました」

「長旅ご苦労!彼が、猫居虎之助博士の生まれ変わりの風天寅次郎博士だ。カルカナル族から守ってやって欲しい」

「了解しました!」

猫達は、寅次郎博士達の前に並ぶと、簡単な自己紹介をすませると、なにやら作業を始めます。

「おやおや、わざわざ遠いところから、ありがとう」

寅次郎博士の言葉に、猫達は、パッと明るい表情になり、作業を再開します。

「寅次郎博士…ミニイクサフィーゴをお返しします」

猫谷エンジニアは、合図をすると、猫達が、格納庫を開き、ミニイクサフィーゴが出てきました。

綺麗に整備され、輝きが保たれたミニイクサフィーゴは、寅次郎博士の前に運ばれると、再会を祝うように、一層と輝きが増したのです。

「スティード…」

寅次郎博士は、居間に運ぶようにお願いします。

2体のミニイクサフィーゴが、吹き抜けの居間に揃う姿は、圧巻です。この居間は、昔、社交パーティーか何かに使われていたのでしょう。とにかく、とても広いのです。

「私達は、カンタスカラーナ特殊捜査部隊Aチームです。普段は星の護衛及び様々な捜査をしていますが、今回は、あなた方を護衛し、お手伝いします」

猫谷エンジニアは、凛々しい顔を見せました。普段と違う表情に猫達は、びっくり。

「猫谷さんて…普通のエンジニアおじさんじゃなかったんだね…」

派遣調査メンバーの一人の最年少猫、赤猫(あかね)くんが、びっくりしていました。赤猫くんにとって、猫谷エンジニアは、宇宙船整備士の師匠として接していたので、ただのおじさん猫だとばかり思っていたのですから… 

「寅次郎博士は、通常通り生活を続けてください。私達の事は、構わず、空気みたいな存在として接してください」

「いやいや、それは出来ないよ!たまには、一緒に、お茶くらい飲んでいって欲しい。さぁ、皆、部屋に戻ろう」

寅次郎博士は、護衛の猫達を全員、部屋に招くと、部屋の中は、あり得ない猫密度になってしまいました。 

猫沢さん達は、合計14人+2体のマシーン猫、護衛の猫達15人…寅次郎博士の飼っている猫達は、10匹近く… 

「…せ、狭いな……おい」

門田さんは、ソファに小さくなって、ちょこんと座っています。

「な…なんか、椅子持ってくる…」

寅次郎博士は、倉庫部屋へ探しに行ってしまいました。

「しかし、たいしたもんだな…私は、今まで、方々の星に仕事に行ったが、こんな事はなかった」

門田さんは、驚きつつも、しきりに感心していました。

「私達は、本当に虎之助…いえ、寅次郎博士に助けられたのです。彼がイクサフィーゴを開発してなかったら…私達の星は、カルカナルの魔の手から逃れる事は出来ませんでした…次は、私達が寅次郎博士を助ける番です!」

猫庭博士が、うるうるとした大きな瞳で、門田さんを見つめました。

古びたアンティークな椅子を抱えて、寅次郎博士が、戻ってきました。

「門田さん、こっちの椅子を使ってくれ」

そう言うと、護衛の猫達の分のお茶をと、ささっと、台所に行ってしまったのです。
護衛の猫達は、とても緊張をしています。初めての星でもありますから… 

寅次郎博士は、丁寧にお茶を出し終えると…

「一気に、仲間が増えてしまったね…」

寅次郎博士は、はにかんだ表情です。 

「全くあんたは、すごい奴だ…話には聞いていたが…」

門田さんは、お茶を出し終わった、寅次郎博士に向けました。

「話?」

寅次郎博士は、キョトンとしています。

「私が、あんたと仕事を組む事が分かった時、皆に言われたんだよ「あいつは、ただもんじゃない。何しろ、あのイクサフィーゴを扱うんだ、通常の能力では扱えない」とね」

「私は、これが普通だよ。何も変わりゃしないよ」 

「けっ、普通じゃねぇよぅ、まったく…」

そう言い捨てると、門田さんは、おかわりのお茶を飲み干しました。同じ[橋渡しの民]であっても能力の差がある事に、少し、嫉妬心が湧いてしまったのです。

「あぁあ地球人てのは、こんな事で悔しく思うんだなぁ…」

門田さんは、小さく呟くと、しばし、地球人独特の感情を噛み締めていました。

「じゃあ、会議の続きを始めようか」

寅次郎博士は、神楽師匠のノートを広げました。

そこに書かれていたのは…?

[つづく]

2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。

また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
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