もう既に春なのに、まだまだ、寒いですね。

画像は、猫沢さんです。2015年個展メイン作品。画材は、三菱ユニポスカとコピックです。

この作品のポストカードは、高円寺 猫の額さんで購入出来ます。

では、続きをお楽しみください。

《第6章③ それぞれの差異と再構成》

作者は、記憶が薄れないうちに、スケッチを描き上げました。しかし、細かい部分が不鮮明です。

「これを再現するの難しいよ。描いた事ないし…?」

すると、何か気配が…?振り向くと、猫沢さんが、ちまっと座っていました。さすが猫ですから気配を消すのは朝飯前です。

「わ!居たんですか?」

「どうでしたか?」

「え、えーとですね。最初に昔の日本の町並みが見えて、映画看板を描く男の人が現れ、倉庫らしき場所で、猫沢さん達の絵を描いていました」

「なるほど」

「合ってますか?」

「多少ずれてますが、合ってます。サンプル2号は、昔、仕事で描いていた頃の映画看板のイメージを送ったそうです」

「やったー!」

無邪気に喜ぶ作者…

「他には?浮かんだイメージは?」

「なかったです…まだ、あったんですか?」

「感知出来なかったのですね。分かりました。早速、受け取ったイメージを、出力と言う形で、描き上げて下さい」

「はい、だけど、完全コピーのように再現するのは難しいですよ…」

「イメージに近いものを探して参考にしなさい」

「わかりました。やってみます」

早速、作者は、資料を探す事に、タブレットを開き始めました。

[昭和 SF 映画看板]検索 

「あの、猫沢さん、この方の作品に書いてあったタイトルを、次の個展のタイトルにしても良いですか?」

「ご自由にどうぞ、と、サンプル2号からの伝言です」

「やったー!ありがとうございます。サンプル2号さん!アイディア使わせていただきます!」

と、作者は、会った事もない人物に深くお辞儀をしたのでした。 

かくして、2015年の高円寺、猫の額での展示内容が決まったのです。

「ところで、猫沢さん、さっき、受け取ったイメージなんですが、私が見てきたカンタスカラーナのイメージと、所々違うのですよ…」

「違う、どのように?」

「猫沢さん達の姿が、昔のSF映画のような宇宙服を着ていたり、Σちゃん達が、カクカクのロボット猫だったり、あと凄く綺麗な猫の宇宙飛行士の髪型がとてもレトロで、お洒落だったり、これは何故なんでしょうか?」

「それが、差異です」

「差異?」

「そうです。テラビトの脳内には、これまで生きてきた環境や記憶、経験、そして、概念が蓄積されます。その中から、似たイメージの映像等を引っ張り出して再構成し一つのイメージを創りあげるのです」

「再構成?どう言う意味ですか?」

「彼の頭の中にある「宇宙人」「宇宙船」「猫」と言うイメージやキーワードは、彼が見てきた映像や日常等の記憶から、取り出したものでしょう。あなたは、どうでしたか?私達が現れた時に創り出した姿は、何かの記憶と重ね合わせて、再現されたものではありませんか?」

猫沢さんからの、思わぬ問いに、思わず言葉を失う作者は、今一度、何故、この姿の[猫沢さん]を描いたのか?と、自分自身に、問いかけてみたのです。

「うーん…確かに、私が描く、猫沢さん達の姿は、私が見てきたSF映画や漫画やアニメや音楽のイメージを重ねています…もしかして、猫沢さん達は、見る人によって違うのですか?」

「若干、異なりますよ。私は現在、この姿ですが、もしかしたら「猫」と言う生物を知らないテラビトが見たら、私の姿は、このような形をしていないかもしれません。あなたは「猫沢」と言う宇宙的な存在を、脳が受信し、解析して得た情報と既存のイメージを元に、脳内で、創り直して肉眼で見ているように感じているのです。その差異を体感して貰いたかったのですよ。実験は、ほぼ成功です。ありがとうございました」

猫沢さんは、一通り小難しい説明を終えると、作者は、ポカンとしていました。まだ、彼の言葉がうまく理解出来ずにいるようです。

「では、完成を楽しみにしてますよ」

猫沢さんは、ニッコリ笑って、宇宙船に戻っていきました。

一人残された作者は、追いつかない頭脳を1度クリアーにして、気を取り直し、次の展示に意識を向けるのでした。

「よし、来年は、レトロな雰囲気と近代的なイメージを合わせた展示にしよう!でも…あの絵のイメージは、元々、私のイメージではないから…送ってくれた人の作品をイメージして描いたと言う事にしておこう…60代の男性画家が描いた設定で…」

作者は、そんな事を呟きながら、猫の住む惑星カンタスカラーナの、地球との密接な関係や、様々な事、どうやって作品にしていって良いのか?模索しながら制作していくのでした。

その頃、2014年の暮れ、もう1枚の作者の作品が、関東の、とあるカフェで複数の作品に紛れて展示されようとしていました。

この作品が、2015年の作者の運命を変える1枚になるとは知るよしもありませんでした。 

(つづく)

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第3弾を、昨年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示決定!既に準備は始まっています。お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい) 





via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
 Your own website,
Ameba Ownd

AD



ようやく過ごしやすい季節になってきましたね。

画像は、猫沢さんです。門田さんが描いたとされる、カンタスカラーナ星人の姿を、作者が描いたと言う、ややこしい設定で、個展で発表されました。

このシリーズの、ポストカードは、高円寺の猫雑貨&猫ギャラリー猫の額さんにて、絶賛発売中です。

では、続きをお楽しみ下さい。

《第6章② イメージ転送実験》

作者は、訳も分からぬまま、実験に駆り出され、戸惑いつつも…

「60代のプロの画家の描く絵のイメージって、どんなんだろう…?」

そんな事を、考えつつ、いつも通りの時間を過ごしていました。

すると…

「おや?ん??」

突然、頭の中に、真っ白な空間が一瞬現れ、懐かしい商店街の町並みが浮かびました。昭和の30年代から50年代辺りの風景でしょうか…?


「懐かしい感じがする。これは、私がまだ生まれる前…生まれていたとしても、まだ幼い頃の映像…あ、映画館だ…あの当時は、まだ銀幕スターが、大活躍していて花盛りだったんだなぁ~」

しばし、作者の脳内スクリーンが、一瞬にしてノスタルジックな世界へと誘い、 体験すらしていない見た事のない、町並みの風景を懐かしんでいました。ここはどこの風景だろうか?と…

そして、プレハブ倉庫らしき場所が現れ…そこには、一人の男性が、大きな看板にペンキで絵を描いていました。

映画看板

「!!」

そこに描かれているのは、カンタスカラーナ星人らしき猫の絵

「あれは!」

作者は、驚きます。これが、相手から送られてきた絵のイメージと気づいたのです。

「あ、もう1枚ある。猫沢さん達の絵」

対のように描き出された看板が2枚現れたかと思うと、場面が変わり、その絵が、映画館に設置されたイメージが飛び込んできました。 

タイトルは「星を繋ぐ猫達」

作者は、忘れないうちにメモを取り、大まかなスケッチをしました。

作者が描く作風とは全く違うイメージ、昭和時代のSFのイメージの中の猫達の絵は、一昔前の雰囲気を纏っています。

カクカクした、いかにもロボット的な懐かしいデザインや古めかしい宇宙服。 

そして、美しい猫と、かっこいいデザインのロケット。共通点として、見事に一致しているイクサフィーゴ…作者が描いたイメージと全く同じ。

「これが、サンプル2号からのイメージ…私が見たカンタスカラーナ星とは、少し違うけど共通点が多い、この差はなんだろう…?」


その頃、イメージの送り主のサンプル2号である門田さんは…?

「ふぃぃ、疲れた!」

囲炉裏の前で、うつらうつらしていました。見も知らない人間に、意識を集中して、イメージを送るなんて事など、始めてで戸惑いましたが、なんとか送れたような気がしました。

「うまく届いているといいが…」

まだ[橋渡しの民]として覚醒したばかりの門田さんは、少しづつ、記憶を取り戻し、同時に、忘れていた感覚を思い出すのでした。

その頃、寅次郎博士は、神楽師匠の孫の大学時代のレスリング部の後輩と会っていました。

「君は?」

「柏原さゆりです」

なんと、後輩は女性のようです。

一体、何のために、寅次郎博士を訪ねに来たのか?この話は、もう少し後にいたしましょう。

[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第3弾を、昨年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示決定!既に準備は始まっています。お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)  


via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
 Your own website,
Ameba Ownd

AD


お待たせしました!
新章のスタートです。

画像は、前回に引き続き、ジャッコ博士です。彼女は、毎年、個展をさせて頂いている猫ギャラリー猫の額さんの先代看板猫のジャッコさんが、モデルとなっています。物語中の、門田さんが描いた作品設定と言う名目で発表致しました。

(2015年個展作品、使用画材は三菱ユニポスカです)


第6章① イメージ転送実験開始》

猫沢さん達が、寅次郎博士達とのミーティングを終えた翌日、彼等は、新たなるイクサフィーゴ捜索の任務に付きました。

チャット博士をリーダーに、猫達は、地球中を駆け巡ります。

猫沢さんは、指揮を取る為、宇宙船又は、サンプル1号の部屋の隅に設置した小さなデスクを行き来しながら、猫達の任務の行方を見守り、指示をするのです。

そして、サンプル1号である、この物語の作者に、更なる課題を与えるのでした。

これは、2014年の冬の辺りの、お話です。

「イメージを受けとる?」 

作者は、きょとんとしています。

「そうです。実験の協力をお願いします。サンプル2号の放つイメージを受け取ってください。それを絵にするのです」

「絵にする?サンプル2号と言うのは誰ですか?」

「60代のプロの画家です。彼は、寅次郎博士と同じ星出身のテラビトで、任務を随行するメンバーの一人です。彼の頭に浮かんだ課題イメージを、あなたに送りますので、キャッチして作品にしてください」

猫沢さんは、ヒョウヒョウと当たり前のように言いましたが、作者は、ピンと来ません。

「えーと…私が別の人間の絵を描くのですか…?しかもプロの画家の…?」

サンプル1号は、混乱しています。

「はい、出来ますね?」

「えー!無理ですよ!何、ワケわかんない事言ってるんですか~」

「さぁ、それはどうでしょう?今まで、あなたは、焦点はずれていましたが、私達を感知し、何枚かは正確なイメージを描き上げました。もう少し精度を上げましょう。同じテラにいる者同士であれば、発する周波数も近いので、鮮明に描けると思いますが…?」

「猫沢さん…言ってる意味が分かりません…」

作者は、困惑の表情です…

「まぁ、解らなくても良いでしょう。但し、他人のイメージには、年代や経験値において、脳内に蓄積した記憶や経験を元にイメージを再形成しますので、フィルターにより、差異が現れます。それを体感して下さい」

「どう言う事ですか?」

「まぁ、その時に分かるでしょう。では、本日の夜に実験開始しますので、よろしくお願いします!」

そう言って、猫沢さんは、花音(かのん)さんが用意してくれた、シリアルバーを作者に渡しました。 

「これは?」

「このバーの中には、テラビトの脳に良い働きをする成分が入っています。イメージを受け取りやすいようにメンテしておいてください」

「猫沢さん…私が、他の人の絵のイメージを描いて、どうするんですか?」

「来年(2015年)の展示にでも使ってください」

「そんな事して大丈夫なんですか?イメージ送った人の権利とか、めんどくさい類いのものは…?」

「ご心配なく、先方には、了承済みですよ。では私は、船に戻ります」

猫沢さんは、少々混乱する作者を、置き去りにして、宇宙船に戻っていきました。 

かくして、作者は、普段通りの生活を続けつつ、作品のイメージを受け取り描くだけだけと言う実験に参加させられるのでした。

実験結果はいかに…?

(つづく)

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第3弾を、昨年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示決定!既に準備は始まっています。お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)


via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
 Your own website,
Ameba Ownd

AD

お久しぶりの更新です。ようやく春の気配がし始めました。私、2月始めに、ひどい風邪をひき、ようやく回復したところです。

そして、風邪で倒れる前日に、仕込んだ味噌の出来上がりを期待しています。


画像は、現在、物語に出ている、画家の門田さんが描いた設定の、ジャッコ博士作品です。「美しきメッセンジャー」2015年個展作品。


※この作品は、個展発表後に、ニューヨークにお嫁入りしていきました。

では、第5章ラストをお楽しみくださいませ。

[第5章 美しきメッセンジャー]

門田さんが取り出したのは、見事な猫の絵です。

猫達は、びっくりです。

「これは…ジャッコ博士…」

チャット博士が、絵に駆け寄ります。

「なぜ…あなたがジャッコ博士を…?ご存知なんですか?」

「一年前かな?猫沢くん達が訪ねに来た辺りの頃に、突然、頭にイメージが浮かんで、描き上げたのさ…昨日、風天さんから、この猫が実在したと聞いて驚いたのさ」

「そっくりです!それに美しい」

門田さんは、驚く猫達を見つめます。

「実はな、不思議な事があったんだ。描き上げた途端、この絵からメッセージを受け取ったんだよ。この絵を託す先を探して欲しいと…私の展覧会ではない場所と指定されたんだがな…そんな所あるのかね?」

門田さんは、謎めいた事を言い始めました。この絵は一体どこへ行こうとしているのか…?

猫沢さんは、ピンときました。

「ならば、きっと私達がコンタクトを取っているサンプルの中に適任がいるはずです。そのテラビトに託してみては、どうでしょう?」

猫沢さんは、静かに門田さんを見つめます。

門田さんは、お茶を飲み終えると、考えるように、静かに目を閉じ胸に手をあて深呼吸をしました。

しばしの沈黙を、猫達は見守ります。

「もしかして…さっきの映像に出ていた燃費の悪い女性か?」

「はい、彼女は、私達の活動を可視化させ、絵を描き、小さなギャラリーで展覧会を開いています。あなたのように優れた実力や表現力はありませんが、伝える能力は備えています」

猫沢さんは、晴れやかな口調です。

「そこに私の描いた、この絵を飾る意味はあるのかね?」

「ありますよ。私達は、彼女を媒体にしてテラビト達にカンタスカラーナの存在を知らせているのですから…」

「しかし…他人の絵を飾るなんて馬鹿げた事を承知してくれるのか?そもそも、絵が違い過ぎるだろ?」

違い過ぎるなんてものではありません。実力の差があり過ぎです。賞を取るようなベテラン画家の作品が、無名の作家の個人展覧会で、一緒に展示されていては、大問題に発展しかねません。

「簡単さ、門田さんが、この絵のイメージをサンプル1号の女性に送ればいい、彼女がそれをうまくキャッチして、本人が自分の手で、出力すれば問題はないよ」

寅次郎博士は、涼しげな表情で言います。イメージを送る。そんな事は可能なのか?と言う顔の門田さんに一言伝えました。

「門田さん、思い出すんだ。出来るよ」

「分かった。やってみる…」

「あの…この絵、私達に、譲っていただけませんか?」

チャット博士が、目を輝かせています。

「構わないよ。君は、この猫の知り合いかな?」

「はい、叔母にあたります!私は、とても嬉しいのです。テラで、このような形で再びジャッコ博士と再会出来た事が…彼女は、とても優秀で勇敢な猫でした」

チャット博士は、瞳をうるませています。

「そうか、身内の猫さんか、ならば、喜んで譲ろう」

「お礼として、これを差し上げます」

チャット博士は、ポケットから、小さな巾着袋を取り出しました。

「なんだね?これは?」

「ニャンタンです。一粒で体が温まり、二粒で疲労回復し、三粒で活力がみなぎります」

「ほう!ありがたい!最近、朝方、寒くて畑仕事が辛くてよぅ、疲れが取れなかったんだ」

門田さんは、大喜びです。チャット博士は、更にポーチから予備のニャンタンBOXを渡しました。

「どうぞ、一粒」

チャット博士は、門田さんと、寅次郎博士に渡すと…

「おや?これは、何かに似てる…?」

と、二人は顔を見合わせていました。

ニャンタンとは、猫の星では疲労回復の実として重宝されている。素敵な食料です。 

深き森の入り口付近に生息する、ニャンタンの木は、猫達の健康を静かに見守る、不思議な植物なのです。

「なるほど…だから、私は、日本のアレが好きなのか…?謎が解けた!」

寅次郎博士は、神妙な面持ちで、おもむろに自分のポケットから、日本人の大半にはお馴染みの、とある物を取り出しました。

「風天さん…そりゃぁ、仁丹じゃないか?確かにちょっと味も形も似ているが…」

銀色に輝く小さな粒状の物体。寅次郎博士が、物心付いた頃から、手元にあるものでした。

「…その通り、これは、何故か好きで手放せないんだ…」

「寅次郎博士、あなたはカンタスカラーナ時代、いつもニャンタンを持ち歩いていましたよ」

猫庭博士が、ニコニコしながら言いました。

「そうだったのか…ニャンタン…効能は似ても似つかないが、味と形は、とてもよく似ているな…体がポカポカしてきたよ」

寅次郎博士は、チャット博士から受け取ったニャンタンを、染々と眺めました。

「素晴らしい絵をありがとうございます。ところで、門田さん、私に考えがあるのですが…」

猫沢さんは、何か思い付いたようです。

「なんでぃ?」

「あなたが受け取ったカンタスカラーナの情報やイメージを、サンプル1号に転送する実験がしたいのですが…?ご協力願えませんか?」

「どうするんだい?」

「先程、言った事と同じです。何度か、イメージを送るだけです。うまくいけば、サンプル1号は、作品として紙の上に可視化させますが、どのように変化するか見てみたいのですよ」

「なんのために?」

「漬け物石(ストーンブロック)の除去具合を知りたいのです。送られたイメージの再生の度合いを見れば、ある程度分かる事があります」

「ほう?面白そうだな?いいだろう。詳しいことが決まったら教えてくれ」

「ありがとうございます」

猫沢さんは、深々とお辞儀をしました。

すると、寅次郎博士が、

「そろそろ話を簡単にまとめようか?私達は、村を守り地道に計画を進め、君達は、イクサフィーゴ達を探す。何か変化があったら教えてくれ」

門田さんと、猫達は力強く頷きました。 

「おや、もうこんな時間か…」

窓を見ると、日が陰り、薄暗くなっていました。

寅次郎博士は、食事を催促する屋敷猫達の視線に気づき、慌てます。それを察した猫沢さんは、

「では、私達はこれで、失礼します」

乗組員の猫達を引き連れ、宇宙船に戻りました。

特殊捜査隊員達は、一旦、宇宙船に戻り、屋敷の外を警備開始です。

それぞれの、新たな任務に、進み始めた彼等、この先、どのような展開になっていくのか?

カルカナル磁場を、壊す事は出来るのか? 

サンプル1号である、この物語の作者に、門田さんは、イメージを送ると言う実験、果たして、成功するのか?

新たな展開を前に、作者は、心を改めるのでした。

(第5章…おわり)

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]シリーズ】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第二弾を、今年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表。2016年6月に開催いたしました(^O^)

2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示します!既に準備は始まっています。お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは高円寺 猫の額さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)


via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
 Your own website,
Ameba Ownd


猫の額さんでの企画展も、無事に終わり、ホッとしています。次は6月の個展です。
 
なんだかんだ、このシリーズも4回目を迎えます。昨年は、仕事面や私事面で八方塞がりで進まず、作品制作も詰まりに詰まり、重い気持ちでいましたが、無事に解決、または解消し、新たな気持ちで作品を制作中です。
 
時折、更新が滞ったり物語が中弛みしたりと、進みが遅いですが、なるべく、月に1回以上は更新出来たらと思っております。
 
これからも、宜しくお願い致します。
 
画像は、猫沢さんです。昨年の個展作品です。
こちらの作品のポストカードは、高円寺の猫の額さんで購入可能です♪
 
《第5章 カルカナルブロック》
 
悩む寅次郎博士を見守る猫達。
 
すると、猫庭博士が、
 
「寅次郎博士、私達の星では、あなたの伝えた救済法が浸透するまで、長い時間を要しました。もしかしたら…このテラでは、更に長くかかるのかもしれません…。どうか焦らないでください。」
 
猫庭博士は、そう言うと、深き森の主、カンタスカラーナシダーのペンダントを見せました。 
 
ペンダントは、寅次郎博士を、励ますように優しく輝きを放ちます。 
 
猫庭博士の祖父は、かつて寅次郎博士が、猫の星で、虎之助博士だった頃の愛弟子だったのです。幼い頃から、虎之助博士の話を聞いていた猫庭博士は、寅次郎博士の気持ちが痛いほど解るのです。
 
猫庭博士は、続けます。 
 
「貴方が創り上げた、この村で育てられた作物達は、エネルギーが満ち溢れ、伸び伸びと暮らす生き物達もいます。手作りの自家発電装置も整えられています。そして、村人達が生き生きとしています。ここから発信されるエネルギーは、いつか、誰かがキャッチして、少しづつ拡がっていきます。私達の星も、同じ道を辿ってきました…」
 
猫庭博士は、優しい表情で、しっかりと見つめ話を続けます。
 
「ですから、安心して下さい。虎之助博士は、あの時、イクサフィーゴ達とキーパーツを探す旅をし、祖父達は、研究を重ねながら、コロニーを守り育てて来たと聞きました。次は、私達がイクサフィーゴ達を探す番です。あなた方は、ここを守り続けて下さい。私達は、その為に、ここに来たのです。」 
 
「ありがとう。私は、ほんの数日前に、覚醒してから、20年のタイムロスに気づき、一瞬、大きな焦りを感じたが…心配はいらないのだな…」
 
寅次郎博士は、ホッとした表情で猫達を見つめます。すると、猫沢さんが、
 
「はい、私達は約束を果たしに来たのです。ところで、寅次郎博士、テラは、かつて、私達の星の技術と同等のレベルであった事が解りました。現在は、その技術や能力は封印され隠されてしまっていますね…」
 
かつての地球が、猫の星と同等の技術とは、一体?
 
「あぁ、その通りだよ。かつての力は皆無に等しい…現在の私達は、地球人のボディとメンタルを持っている…覚醒しても様々なブロックがかけられていて、身動きが取れない状態に近い…せいぜいスプーン曲げや、僅かな透視能力やテレパシーで精一杯だ。元々使えた能力が使えないんだよ…。我々地球人が、かの地に辿り着こう、思い出そうとすると、奴等は、厚い壁で、邪魔をし闇に追いやってしまう…有る筈のものを無いと伝え、無いはずのものを有るとね…」
 
寅次郎博士は、不思議な事を言います。一体何を示しているのか…?
 
「寅次郎博士、それは、カルカナルが植え付けた、テラビト特有の概念ですね。壊してください…私達の瞳を見つめて下さい」
 
キチンと整列した星の猫達は、一斉に寅次郎博士達をウルウルと見つめました。
 
すると、空気中に漂う素粒子達が、フルフルと震え、一瞬、虹のような空間が現れ包み込んだかと思うと、すぐに元に戻りました。
 
「寅次郎博士、神楽師匠のノートを見直して見てください」
 
「?…あ!」
 
「どうした?風天さん」
 
「白紙だった所に…今の私達の事が書かれている…そうか、時空の分岐点が変わったんだ!私はすっかり忘れていたよ。私自身も、未だカルカナルが見せる幻影の中に居て麻痺しているが、新たなブロックが解けたようだ」
 
明るい表情になった寅次郎博士は、かつての感覚を少しづつ取り戻していくのでした。覚醒したとは言え、70年もの間、地球人として生き、すっかり感覚は麻痺して、随分と鈍ってしまっていたのですから…
 
「これで、大丈夫ですよ」
 
猫沢さんは、ニコリと微笑むと、
 
「では、良い報告を…テラビト達は、カルカナル磁場の中に居ながらも、着実に何かを感知しています。どこかで何かを見つけ何かに気づき、自らの手で、カルカナルの造った現象を壊すでしょう」
 
「それは本当か?」
 
門田さんは、不思議そうな表情です。そう、まだ彼の感覚は、覚醒して間もない為、どっぷりとカルカナルの中に居ますから、どうにも掴めないのです。
 
「私達が観察してきたテラビト達の中には、既に、無意識ではありますが、何かに気づいている者もいます。この数が臨界点を超えた時、テラに何かが起きます。それまでに、それらを理解する者達を少しでも増やす事が大切です」
 
猫沢さんは、地球人サンプル達の小さな変化に気づいていたのです。
 
最初(2013年)に、初めて接した地球人達よりも、次の年に、新たに接した者達の方が、理解力に優れ、すんなりとコンタクトが取れるようになった事を伝えました。 
 
「それは驚いた…」
 
「しかし、カルカナル磁場は強力ゆえに、彼等は葛藤を強いられています。気づいてしまった者達を、カルカナル世界側へ引き戻す者達との争いに疲れ果て、半ば、苦悩しながら生きているのです…」
 
「苦悩しながら…?それは…まるで、20年前の私の姿と同じではないか?」
 
寅次郎博士は、当時の自分を思い出しました。ジャッコ博士と出会った時に知った、あの事を…
 
「その通りです。例外もあります。中には、カルカナル磁場の隙間を自由に駆け廻り、折り合い付けてうまく生きているテラビトもいます」
 
「…なるほど」
 
「はい」
 
猫沢さんは、明るい表情で、うなづきました。
 
「寅次郎博士は、テラは多様化した目的を持った生命体達が、生きる星と言いました。私達も、ようやく、何故、この星に来たのか解って来ました…」
 
かつて、カルカナル磁場に支配され、逃れ、進化してきた猫達は、再び、カルカナルと向き合い、何かを見出だす為に地球に来た事に、気づき始めていたのです。
 
「ジャッコ博士は、あの時「何があろうとも、必ず助け船を出すから」と約束してくれた…君達が、その助け船だったんだな…」
 
あえて、覚醒困難な星に生まれる事を覚悟して、任務にやって来た寅次郎博士達は、猫達の律儀さや素直さに感謝するのでした。
 
その頃、門田さんは、ゴソゴソと鞄から大きな黒いファイルを取り出しました。
 
そう、あの絵です。
 
[つづく]
 
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
 
そんな楽しい猫の星の世界観第3弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表。2016年6月に開催いたしました(^O^)
 
2017年の6月も、幻想の魚の秘密.第4弾を展示決定しました!既に準備は始まっています。お楽しみです。
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい)

 

 

 


via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
Your own website,
Ameba Ownd

 

 

 

 

 

[展示のお知らせ]

テーマ:
[展示のお知らせ]

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

2017年1月6日から1月18日まで、東京 高円寺[猫雑貨&猫ギャラリー猫の額]さんにて、企画展に参加させて頂きます。

猫と星をテーマにした5人の作家による展示です。
様々な作風で表現する猫の世界を、お楽しみいただけますよ。
猫好きさん、星好きさん、是非是非~!

猫まみれでお待ちしております。


あっと言う間に、もう12月後半突入です。一年は、あっと言う間ですね。
 
では、物語の続きをお楽しみください。
 
画像は、風天寅次郎(かざまとらじろう)博士(地球人年齢 70歳)
衣装は、橋渡しの民バージョンです。
 
《第5章 テラの分岐点 》 
 
突然の新しいメンバーが加わって賑やかになった猫屋敷。
 
寅次郎博士は、会議の続きを再開しました。
 
「これを読むと、予定では、20年前に私達は、ミッションを随行する予定だった…しかし、出来なかった。師匠の計画ノートには、君達の事は書かれていない…」
 
神楽師匠のノートにビッシリ書かれた宇宙文字を、スラスラ読む寅次郎博士。
 
「私達は、予定では、この星を訪れる事はなかった…のですね」
 
猫沢さんは、目をパチクリしています。
 
「イレギュラー予測は出来なかったんだな。ジャッコ博士の事は書いてあったよ。この猫達と協力し計画を進めるとは書いてあったが…イクサフィーゴ達が到着していなかった事で、全て崩れてしまっていたんだ…だが、今は、条件が全て揃った。以前話したように、計画を進めよう」
 
「はい󾬆」
 
猫達は、目を輝かせました。残り2体のミニイクサフィーゴとキーパーツの捜索です。
 
「ところで、猫谷くん、今、カンタスカラーナの状態はどうなっているんだい?」
 
寅次郎博士は、星の猫達の事を心配していました。
 
「はい、まだ、カルカナルの動きは、表立っていません…ただ、気になる現象が現れ始め、警戒しています…」
 
「それは?」
 
「カルカナル・ウィラード一族の末裔の猫達は、心理戦略と思えるような現象を起こし、星の猫達の心を惑わし始めているとの報告を受けています…」
 
「えぇ!?」
 
猫達が、どよめきます。
 
「ですが、ご安心下さい。私達は以前のように、完全に飲み込まれる事は少ないでしょう。以前、猫沢博士が開発した装置が今、役に立っています」
 
「私の??」
 
猫沢さんはビックリです。一体、何の装置なのでしょう…?
  
猫谷エンジニアは、落ち着いた態度で、猫達を見つめます。まるで、猫達の不安を鎮めるような、優しくも凛々しい眼差しで…
 
「そうか…いろいろ分かってきた。ありがとう。カンタスカラーナの猫達には最小限の被害で収まりそうだな…今は地球だ…」
 
「寅次郎博士、私達の星とテラの違いとは何なのですか?確かに、あの頃の私達の星は、今のテラと似ています。何もかもが逆さまでした…」
 
猫沢さんは、疑問を投げ掛けました。
 
 
「君達の星の民達は全員、星の成長を願っていた。同時に自分達も成長しようとしていた…しかし、地球はバラバラなんだよ。目的が多様化している。確かに最終的には同じ方向を見ているんだがね…」
 
「多様化?」
 
「そう…多様化された中に、物事を一度には進められないネックが潜んでいる…このまま行けば、もう1つの地球の道が選択されてしまう…」
 
「もうひとつの道??」
 
猫達は、頭に?マークを浮かべます。
 
「だが、希望はある。ほんの一部だが、カルカナル磁場が造り出してきた現象に気づいてきた地球人の数も増えてきたのは、喜ばしい事だ…しかし、まだ、気づいていない地球人達もいる。その狭間で起こる摩擦のエネルギーが、私達を弾き飛ばす威力を持っている」
 
「弾き飛ばす?」
 
「ああ、カルカナルの力が増幅されてしまう…どこから手を付けていいのか、正直、悩んでいるのさ…」
 
寅次郎博士は、溜め息まじりに、遠い目をしていました。遅れた計画が、更に難航している事を感じ取った猫達は、何か良い案はないかと、必死に考え始めました。
 
[つづく]
 
2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。
 
また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しました󾬄よろしくお願いいたします󾠓
 
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。
 
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい。一言お知らせ下さい)  

 

 


もうすっかり12月、このシリーズも亀の歩みのような進み、遅いながらも、お付き合い下さいます方々に感謝いたします。

まだ暫く続きますので、よろしくお願いいたします。

では、続きをお楽しみ下さい。

画像は、赤猫(あかね)くん、彼はメンバー最年少ですが、優れた整備士の腕前を持っています。宇宙船や小型時空間移動マシンの整備を担当しています。


[第5章 カンタスカラーナ特殊捜査部隊Aチーム ]

カンタスカラーナからやって来た、大きな宇宙船から、バッチリ揃いの制服を着た猫達が、ゾロゾロと降りてきました。

「うわー、また、かわいいなぁ!!」

門田さんが、思わず目を輝かせて言いました。

整列した猫達の中で、一番貫禄のある大きな黒猫が、猫谷エンジニアの前にやって来ました。

「猫谷隊長、お久しぶりです。只今、到着しました」

「長旅ご苦労!彼が、猫居虎之助博士の生まれ変わりの風天寅次郎博士だ。カルカナル族から守ってやって欲しい」

「了解しました!」

猫達は、寅次郎博士達の前に並ぶと、簡単な自己紹介をすませると、なにやら作業を始めます。

「おやおや、わざわざ遠いところから、ありがとう」

寅次郎博士の言葉に、猫達は、パッと明るい表情になり、作業を再開します。

「寅次郎博士…ミニイクサフィーゴをお返しします」

猫谷エンジニアは、合図をすると、猫達が、格納庫を開き、ミニイクサフィーゴが出てきました。

綺麗に整備され、輝きが保たれたミニイクサフィーゴは、寅次郎博士の前に運ばれると、再会を祝うように、一層と輝きが増したのです。

「スティード…」

寅次郎博士は、居間に運ぶようにお願いします。

2体のミニイクサフィーゴが、吹き抜けの居間に揃う姿は、圧巻です。この居間は、昔、社交パーティーか何かに使われていたのでしょう。とにかく、とても広いのです。

「私達は、カンタスカラーナ特殊捜査部隊Aチームです。普段は星の護衛及び様々な捜査をしていますが、今回は、あなた方を護衛し、お手伝いします」

猫谷エンジニアは、凛々しい顔を見せました。普段と違う表情に猫達は、びっくり。

「猫谷さんて…普通のエンジニアおじさんじゃなかったんだね…」

派遣調査メンバーの一人の最年少猫、赤猫(あかね)くんが、びっくりしていました。赤猫くんにとって、猫谷エンジニアは、宇宙船整備士の師匠として接していたので、ただのおじさん猫だとばかり思っていたのですから… 

「寅次郎博士は、通常通り生活を続けてください。私達の事は、構わず、空気みたいな存在として接してください」

「いやいや、それは出来ないよ!たまには、一緒に、お茶くらい飲んでいって欲しい。さぁ、皆、部屋に戻ろう」

寅次郎博士は、護衛の猫達を全員、部屋に招くと、部屋の中は、あり得ない猫密度になってしまいました。 

猫沢さん達は、合計14人+2体のマシーン猫、護衛の猫達15人…寅次郎博士の飼っている猫達は、10匹近く… 

「…せ、狭いな……おい」

門田さんは、ソファに小さくなって、ちょこんと座っています。

「な…なんか、椅子持ってくる…」

寅次郎博士は、倉庫部屋へ探しに行ってしまいました。

「しかし、たいしたもんだな…私は、今まで、方々の星に仕事に行ったが、こんな事はなかった」

門田さんは、驚きつつも、しきりに感心していました。

「私達は、本当に虎之助…いえ、寅次郎博士に助けられたのです。彼がイクサフィーゴを開発してなかったら…私達の星は、カルカナルの魔の手から逃れる事は出来ませんでした…次は、私達が寅次郎博士を助ける番です!」

猫庭博士が、うるうるとした大きな瞳で、門田さんを見つめました。

古びたアンティークな椅子を抱えて、寅次郎博士が、戻ってきました。

「門田さん、こっちの椅子を使ってくれ」

そう言うと、護衛の猫達の分のお茶をと、ささっと、台所に行ってしまったのです。
護衛の猫達は、とても緊張をしています。初めての星でもありますから… 

寅次郎博士は、丁寧にお茶を出し終えると…

「一気に、仲間が増えてしまったね…」

寅次郎博士は、はにかんだ表情です。 

「全くあんたは、すごい奴だ…話には聞いていたが…」

門田さんは、お茶を出し終わった、寅次郎博士に向けました。

「話?」

寅次郎博士は、キョトンとしています。

「私が、あんたと仕事を組む事が分かった時、皆に言われたんだよ「あいつは、ただもんじゃない。何しろ、あのイクサフィーゴを扱うんだ、通常の能力では扱えない」とね」

「私は、これが普通だよ。何も変わりゃしないよ」 

「けっ、普通じゃねぇよぅ、まったく…」

そう言い捨てると、門田さんは、おかわりのお茶を飲み干しました。同じ[橋渡しの民]であっても能力の差がある事に、少し、嫉妬心が湧いてしまったのです。

「あぁあ地球人てのは、こんな事で悔しく思うんだなぁ…」

門田さんは、小さく呟くと、しばし、地球人独特の感情を噛み締めていました。

「じゃあ、会議の続きを始めようか」

寅次郎博士は、神楽師匠のノートを広げました。

そこに書かれていたのは…?

[つづく]

2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。

また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい。一言お知らせ下さい) 



via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
 Your own website,
Ameba Ownd




風邪を引いてしまうくらい、気温差が激しいです。

先日、久しぶりに東京に行って参りました。吉祥寺スターパインズカフェという所へ、平沢進さんのファンクラブ限定イベントに、行って来ました。とても濃い、楽しい素敵な時間を過ごさせていただきました。

画像は、1枚目は、猫谷エンジニア、猫沢さんの古くからの友猫。

2枚目と3枚目は、スターパインズカフェの看板とお花です。

では、物語の続きをお楽しみ下さい。

[第5章 対極の星 ]

猫の星からの思わぬサポートに、驚く寅次郎博士。

「カルカナル一族は、あなた方の計画を妨害しに、再び、テラへやって来る事でしょう。私達が守ります」

猫谷エンジニアは、キリッとした眼差しで、寅次郎博士達を見つめました。

「あ、ありがとう…」

「あと…」

「あと?」

「ミニイクサフィーゴを、お返しします。元々、あなた方の仲間なのですから…私達の星は、私達の力で道を開いていきます」

なんと、猫沢さんが、一度持ち帰ったミニイクサフィーゴを再び地球へ持ってくると言うのです。

驚いた表情の寅次郎博士の頬に、うっすら光るものが伝っていきました。

猫達は、助けてくれた恩返しをしようと、一生懸命なのです。

「ありがとう…」

「寅次郎博士、あとの2体を早く見つけて稼動させれば、テラは、新たな分岐点に立てるのですよね?私達が、必ず捜し出しますから!20年のロスタイムを取り戻しましょう!そして、我々も、テラビト達のストーンブロック除去を急ぎます!」

そう言うと、猫沢さんは、除去ナノマシーン[カルカン]が詰まった箱を取り出しました。

「ありがとう、ただし、無理矢理 地球人達のストーンブロックを除去はしないでやってくれ…」

「どう言う事ですか?」

「地球人達は、カルカナル磁場にコントロールされているとは言え、自分の意思で生きていると思っている。そして自身の考え方や、概念が正しいものだと思い込んでいる。いわば、その人物が脳で創り上げた思念の形や世界を、無理矢理壊す事になるんだ。いきなり、やったら、何かが崩壊するだろう…それは、とても危険な事だ…」

「しかし、既にタイムロスが…」

「これは単なるトラブルロスではないんだよ…」

「何を躊躇しているのですか?急いでいるのではないですか?」

猫達は、少し困惑気味です。

「確かに私は、少々焦っている。だが…君達の星のケースとは違って、全ての地球人達が、カルカナル磁場からの解放を望んでいないんだ…」

「ケースが違う?すみません…私達には、それが、理解出来ません…」

猫沢さんは、しょんぼりした表情で、寅次郎博士を見つめました。 

「そうだね…これは君達には、理解出来ないかもしれない…。この地球はね、物質化した対極の世界を再現しているんだ。その世界を知らない宇宙生命体の為の場所でもあるんだよ。だから、彼等にとっては素晴らしい世界なんだ…しかし、その世界を望む者の数が増えてしまえばバランスが崩れてしまう。それを調整するのも、私達の仕事なんだよ…」 

寅次郎博士は、分かりやすく説明しましたが、価値観が違う猫達に、通じたのか困り顔です。

「ならば、カルカナル磁場と言うのは…一体?」

「そのうち解る時がくる…」

寅次郎博士は、あの時、ビラーゴが言った同じ言葉を、ポツリと落としました。

「彼等が到着しました」

そう言うと、猫谷エンジニアは、席を立ち、外に出ていきました。

寅次郎博士や猫達も一斉に、彼の後を付いていきます。

何も無かった空間から、静かにワームホールが出現し、大きな宇宙船が現れました。

すると、突然、寅次郎博士の携帯がいきなり鳴り出し驚きます。

あわてて出ると…

「もしもし、あ、何、私を訪ねにきた人?今、お客さんが来てるんだが…え、明日でも良いって?わかった」

「どうした?」

門田さんが、のほほんと訪ねました。

「私に、お客なんて珍しいんだが…神楽師匠の孫の同級生らしいんだよ。私に話があるって…」

「ふーん」

[つづく]

2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。

また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい。一言お知らせ下さい)  


via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
 Your own website,
Ameba Ownd

すっかり冬ですね。寒いです。
 
画像は、2014年個展作品[チャット博士]です。彼は、個展でお世話になっている、高円寺の猫の額さんの看板猫のチャット君がモデルです。
 
では、お楽しみください。
 
《第5章 イクサフィーゴのシヴァ》
 
チャット博士が、前日に交わした会話とは?
 
「彼は私に言ったのです。「目の前に現れる現象に惑わされず、冷静に進みなさい。今こそ彼を起こしなさい」と、その翌日、私達の星は大変な事になっていました…」
 
そう、猫の星のエネルギー供給が途絶えた、あの日…
 
「彼とは?」
 
「旧式イクサフィーゴ…初代のシヴァです。今、彼は、停止してしまった中央イクサフィーゴの代わりを務めています。テラから戻ってきた、スティードと共に、星のエネルギーを作っています。」
 
スティードとは、猫沢さんが、地球から持ち帰ったミニイクサフィーゴです。
 
「初代?」
 
寅次郎博士は、キョトンとしています。
 
「はい、あの時、虎之助博士が設置していったイクサフィーゴは、20年前に引退し、時折、猫達のいこいの広場でマルシェやお祭り用の小さなエネルギーを供給していましたが、あの日を境に完全に再稼動しました…」
 
「中央イクサフィーゴと言うのは…??」
 
「2代目シヴァです。私達一族が、初代の細胞を培養し育てました」
 
なんと、あの巨大なイクサフィーゴは、猫達が造り出した物だったのです。
 
「ク、クローンなのか!?なんてことだ…謎が解けた!歪みの原因は、これだったのか…」
 
寅次郎博士は、ハッとした表情で猫達を見つめます。
 
「どういう事ですか?」 
 
「君達は、初代シヴァを休ませてしまっていたんだね…」 
 
「はい…外壁や機器類に、かなり老朽化が進み、猫達の人口も増え、多くのエネルギーが必要になったので、もっと大きなイクサフィーゴを創ったのです」
 
猫達の選択肢、これは、寅次郎博士も計算外の出来事だったのかもしれません…。
 
「私は、初代シヴァの中に、時空間時計(スペースタイムクロック)を設置しておいたんだよ…そうか、止まっていたんだな…」 
 
「え?」
 
猫達はびっくりです。そんな仕掛けがされていたなんて、全く知らないのですから…
 
「そう言えば頻繁にビラーゴは、言っていました。「早く彼を起こしなさい」と…私は、皆に伝えたのですが…当時、子供だった私の言葉は、ただの戯れ言だと思われ、誰も聞いてくれなかったのです…私がイクサフィーゴと会話出来る事を知っていた猫達は、ほんの少しでしたから…」
 
「なるほど…」
 
「寅次郎博士…初代シヴァも、こちらに来る予定だったんでしょうか?」
 
「いや…4体だけだ。シヴァは、カルカナル磁場の防御担当だ…猫達を守ると約束した…」
 
「チャット君…2代目シヴァとはコミュニケーションは取れていたのかい?」
 
「いいえ…彼と話した事はありません…でも初代シヴァとは少しだけ…」
 
「ほう…」
 
「…2代目が設置された頃だったと思います。式典の時、初めて対面しました…初代は「猫達は、再び同じ道を歩み始めてしまった…」と、それだけ発して、後は一言も話さなかったのです…私は帰宅後、ビラーゴに、その言葉の意味を訪ねましたが「いずれ分かる時がくる…」と…」
 
チャット博士は、やや沈んだ表情で、寅次郎博士を見つめました。
 
「2代目シヴァが設置されたのは…テラ時間で20年前、ちょうど、ジャッコ博士が、テラ任務中で不在と聞いています」
 
猫沢さんは、式典を思い出していました。彼も出席していたのです。
 
「20年前…ジャッコ博士と出会った頃だ…しかし、私は記憶を取り戻す事は出来なかった…戻せなかった…?いや、戻させなかった?」
 
寅次郎博士は、一瞬の混乱の表情を見せましたが、すぐに冷静さを取り戻し、猫達の不安そうな顔を見つめます。
 
「寅次郎博士…私達は、大きな過ちを犯してしまったのですか?クローンを作った私達の選択は間違っていたのですか?」
 
「過ちではない、君達の集合意識が選択したんだ。最終試験と言っただろう?2代目シヴァは無垢な赤ん坊のようなものだ。カルカナルに対する恐れや知識はない…」
 
「……」
 
「ちょっと寄り道程度のアクシデントだ。今、初代シヴァが、動いているなら心配はいらない。 彼が温存していたエネルギーが、星全体を覆えば、再び、元の状態に戻る事は可能だ。チャット君、教えてくれてありがとう」
 
寅次郎博士は、チャット博士の肉球を優しく握りました。時空間時計(スペースタイムクロック)が、細切れで動いて、ようやく、たどり着いた時間は20年と言う、長い年月を要してしまった事はともかく、今、再び猫達と出会えた事に感謝しているのでした。。 
 
「いえ…私は…」
 
チャット博士は、もじもじとしながら、うつむきました。
 
「2代目シヴァは、カルカナルに乗っ取られている。これ以上、地球人達の歪んだエネルギーが、彼に注ぎ込まれたら暴走してしまうかもしれない…早く手を打たなくては…」
 
寅次郎博士は、ようやく時空の歪みの原因が分かり、ホッとしたのか、次の作戦を考え始めました。
 
「あの、寅次郎博士、ちょっとよろしいですか?」
 
宇宙船の整備士であり特殊捜査官の、猫谷エンジニアが、手を挙げました。
 
「はい」
 
「もう間もなく、カンタスカラーナの護衛艦が到着します」
 
「なんと!」
 
「覚醒した、あなた方を狙う者達が現れると思いまして、私が呼んだのです」
 
「!!!」
 
寅次郎博士は、猫達の用意周到さに、目をぱちくりさせました。 
 
[つづく]
 
2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。
 
また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しました󾬄よろしくお願いいたします󾠓
 
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
 
東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。
 
 
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
 
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
 
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい。一言お知らせ下さい)