猛暑が続きますね。私は、熱中症予防に、濃い目のお味噌汁をいただいています。
では、続きをお楽しみ下さい。
画像は、2015年個展作品《星を繋ぐ猫達》レトロバージョンです。
使用画材 三菱ユニポスカ コピック
《第4章 テラビトサンプル1号観察記録 2014年 秋⑤ 味噌》
さて、次に調査をしたのは、味噌である。
醤油に続き、テラ ヒノモトの民達のソウルフードと呼ばれる物である。しかし、昨今のヒノモトの民達は、味噌汁離れをしているとも聞いている。
同時のサンプル1号も、味噌汁は、滅多に飲まないし塩分が多いから…と、言っていた。
そのせいか、分からないが、長年、消化器官の不具合で悩んでいる。しかも原因がわからず、不快な思いをしていると言うのだ…
私は、提案してみた。朝食に味噌汁を取り入れたらどうか?と…
サンプル1号が、食生活を変えはじめて1年と少しが経とうとしている。
現在、塩分控えめの、野菜を多く使った料理を作り始め、咀嚼回数を増やした事で、虫歯になる確率が減った。
しかし、野菜摂取が増えたが、糖分である甘いお菓子類も摂取は、相変わらずである。
そのせいだろう、体内のナトリウムを始めとしたミネラルが失われ、亜鉛が不足し味覚異常にみまわれた。
それを補うのが、塩分を含む発酵食品である。味噌や醤油の中にはテラ ヒノモト達の腸内環境を整える力を備えているのだ。
昔のヒノモトの民達は、自宅で、味噌を作っていたと聞くが、現代は、スーパーで安価な味噌が出回っている。
サンプル1号も作らない派だ。そんな彼女が、購入してきたのは、無添加味噌と呼ばれ、伝統的な技法で作られたものである。やはり、800~1000円程と高めだったとの報告を受けた。
スーパーで安いものは300円位から、あるものだから、高いと感じているらしい。
サンプル1号は、今まで、コンソメ薄味の野菜スープの朝食から、野菜たっぷり具だくさんの味噌汁に切り替えた。
しかも味噌少し多めだ。
「わぁ、美味しい!味噌汁って落ち着きますね~」
「それは良かった」
「猫沢さん、味噌汁飲むと元気になった気がするのですが」
「失った栄養素が、補充されたからでしょう。それに胃腸の働きを改善する力を持っています」
それから、しばらく経った頃だろうか?辛いゲップを伴う、苦しい逆流性食道炎の症状が、緩和されたと喜んでいた。
彼女は、もう20年近く悩まされ続けていたのだ。
味噌汁は、荒れ狂った胃腸を、静めてくれたのだ。
そして、しばらくして、サンプル1号が、口内炎に悩んでいた。なんでも、月に1度はできるそうだ。
私が、彼女の作る味噌汁を見てみると、何か足りないのだ…味もなんだか、物足りない…
「あのう…出汁は取っていますか?」
「これと言って別に…」
呆れた事だ!出汁を、おろそかにしている…。
「やっぱり出汁って必要ですか?」
「お馬鹿にも程があります…好みの出汁を見つけて下さい」
サンプル1号は、自分に合いそうな出汁を探し始めた。
最初は、にぼしで出汁を取っていたが、にぼしの頭や内臓を取らずに投入し入れっぱなしにして、苦味の残った味噌汁を作っていた…。
理由は、
「まるごと使わないと勿体ない気がするし、にぼしも食べる…」と、
しかし、味噌汁は、あまり美味しくないと言っていた。
それでは長続きはしないだろう…にぼしは、出汁にせず、そのまま、バリバリ食べる事にしたようだ。
「猫沢さん!家に、干ししいたけと昆布が、ありました今度から出汁は、これにします!これなら入れっぱなしでも大丈夫ですし、美味しく丸ごと食べられます」
サンプル1号は、早速、使い始めた、好みの味に仕上がり満足している。
すると、どうだ。口内炎が出来なくなったのだ。それもその筈である。
最強コンビ出汁だ。
しいたけには、ビタミンB1、B2やミネラル類が豊富である。ビタミンDとナイアシン、グアニル酸、グルタミン酸といううま味成分、そして、食物繊維が含まれている。
そして、ストレスにも良い。イライラや不安定な心を、緩和させ穏やかにするのだ。
昆布にも、豊富なミネラルやビタミンが、含まれている。しいたけ同様、ビタミンB1、B2が含まれ、疲労回復にも最適であり、アルギン酸は、頭の回転が良くなると言われている。そして、摂りすぎた塩分の排泄も促す。
そして、ヨウ素、前々回の塩の章で出てきた、長崎の被爆者を救った味噌汁の話を、覚えているだろうか?
あの、味噌汁の具の中は、ワカメもあった。昆布よりも少ないが、ワカメにも、ヨウ素が沢山含まれており、甲状腺ホルモンの代謝をコントロールしている。
ヨウ素が、不足すれば、甲状腺ホルモンが充分に作られなくなってしまう。大切な栄養素である。
それらの、素晴らしき栄養素を含んだ食材と、味噌が融合すれば、テラビトの体は、正常に働くのだ。
サンプル1号は、ただの干した海藻やキノコと、あなどっていた事に対し、あれ以来、乾物に対する意識が、変わった。
もちろん味噌もである。
「猫沢さん、私、今まで、ただ胃に、食べ物を送り込んでいれば良い。と思っていたんですが…知れば知るほど、奥が深くて、驚きました…」
サンプル1号は、しきりに感心しながら、美味しい味噌汁を、美味しそうに飲んでいた。
「味噌に関する、不可思議なエピソードをお話しましょう」
「なんでしょう?」
「記憶に新しい、ヒノモトで起きた大地震が起き、私達の星で例えると、古代燃料製造基カクラリウムが崩壊した時、ヒノモト国外のテラビト達が、買い求め買い占めた食べ物が、何か、ご存じでしょうか?」
「3.11の事でしょうか?日本人以外の外国人が、買い占めた物ってなんですか??」
「味噌です」
「味噌!?」
「それも、あなた方の住む地域では馴染みのある、赤味噌、八丁味噌です」
「八丁味噌?何故ですか?」
「さかのぼって1986年、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が発生した時、西ヨーロッパ諸国で「味噌は放射能被害に効果がある」と言う説が広まり、こぞって買い求めたという話がありましてね。3.11の時も同じ現象が起きて、買い占めていく外国人達が、殺到したのですよ」
「えーなんですってなぜ、その事が、日本で、広まらなかったのですか?おかしくないですか!?」
「何故でしょうねぇ?一度調べてみてください。何かが見えてきますよ…あ、ひとつ注意点が…味噌を選ぶ時、生きた味噌を購入してください。スーパー等で売られている安価な味噌の大半は、発酵などしていませんし、ただの味噌風味の茶色い固体ですからね」
「醤油の時と一緒…!?」
サンプル1号は、頭がハテナだらけになったようだ。
遠い昔、私達の星の歴史の中にも、そっくりな事が起きたのだ。やはり、その時も、星猫達を救ったのは、微生物だったのだ…。
この偶然の一致は、誠に不可思議で、謎が多い…
[つづく]
2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺 猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。
また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しましたよろしくお願いいたします
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型で、お楽しみいただけます。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
(※ このblog内の画像や文章を無断で転載等をする事は、ご遠慮下さい。一言お知らせ下さい)