個展が迫っています。準備におおわらわですが、こちらの小説も個展と同時進行です。会場では新作満載、この物語に新たに出てきた猫屋敷の老科学者を初公開しますよ。
お楽しみに…
画像は、猫沢さんの頼もしい助手マシン猫.Σ-8(はっちゃん)です。
では、続きをお楽しみ下さい。
[カンタスカラーナの過去と老科学者]
猫谷エンジニアは、大爆笑。
老科学者の、太めのハの字の眉毛を指差しゲラゲラ笑っています。
「ぷぷぷぷ!猫沢にそっくり!テラにもいるんだ!お前そっくりなのが!」
言われてみれば、どことなく…いえ、とてもそっくりです。そして年齢不詳なところも
「猫谷さん、この人が、カンタスカラーナと関係あるテラビトなんですか?」
作者は猫沢さん似の老科学者の顔を必死に追いかけます。
「さよう、彼はかつてカンタスカラーナの地で生きていた」
「テラビトの姿でですか!?」
「いいや、猫の姿だ。私達、カンタスカラーナ星の猫達は当時の彼に、とても世話になったのだよ…しかし…ぷ」
猫谷エンジニアは笑いをこらえます。
「猫沢さんの血縁者ですか?」
「いや、空似だろう。全く無関係ではないだろうがな…なぁ、猫沢?」
「…血縁者ではないはずですよ。同じ東の猫の民でありましたが、当時の彼は…と言っても遥か昔の猫なので会った事などありません。記録に残ってる姿は、こんな顔してないですよ。しかし…まるで、親戚のおじさんに再会した気分だ…変な感じだ…なんでこんなに似てるんだ…?」
猫沢さんは、自分によく似た老科学者に驚いています。世の中には、自分によく似た人間(猫)が三人はいる。と言いますが…宇宙をまたいでしまいました。
作者は、猫沢さん似の老科学者を、ひたすらスケッチしていました。
猫沢さん達が生まれる以前に、カンタスカラーナで生きた猫が、テラビトの姿になって、この星で生きているとは一体全体どう言う事か…?
「サンプル1号さん、場所を特定するので、建物の外に出てください」
「はい」
作者は、建物の外に出て上空に飛びました。
「ぐるっと見渡して、目標になる何かを探して下さい」
作者は指示に従い、目標物を探すため、一度地上に降り立ちました。道路に出て標識を探し始めました。どこの道さえ分かれば…と、すると
「あのー、サンプル1号さん…私達は車で行く訳ではないので…上空に上がって貰っちゃくれませんか??」
猫谷エンジニアが、そう言うと、出番を待っていたΣ-8が、作者の頭に、ちょこんと乗っかって来ました。
「はっちゃん(Σ-8)が、目的地の情報を記録し設定します」
猫沢さんは、はっちゃん(Σ-8)に記憶する為の小さなチップを渡しています。
「はっちゃんて、ナビなんですか!?」
「はい。人工水晶を搭載し計算し記録する力を持っています」
「ただのかわいいマスコットマシン猫じゃなかったんですね!?」
はっちゃんは、小さなボディーの飛行タイプなマシン猫です。いつもニコニコして飛び回ってるので、ムードメーカー的な何かと思っていました。
「こう見えて優れ者なんですよ。はっちゃんは、あなたの脳内に映された映像から位置を割り出し最短距離の時空路を見つけだします」
「時空路?」
「この三次元世界ではない異次元交通網です。テラビトには見えませんよ」
「猫沢博士、目的地を設定したよ♪」
はっちゃんは、ニッコリ笑うと猫沢さんの頭の上に移って行きました。
「ありがとう」
「猫谷、私達とコンタクト可能にする為に、彼に周波数アタックをする必要はあるか?」
「おそらく不要だろう。彼は元々カンタスカラーナ星人だ…だが、その頃の記憶は全く無いだろうな…覚えていたら、あんなボロ屋敷で、わびしく蕎麦なんざ、すすってないだろうよ…」
「んーー…カンタスカラーナ星時代の記憶が無いのは明白だな…おそらく漬物石(遮断石)の影響だろう…もし記憶があるなら、こんなにしおれちゃいないはずだ…あの頃の彼はもっと…」
猫沢さん達は、何か期待していたのか…どこか悲しそうです。
「猫谷、やはり…周波数アタックをした方が良いと思う…」
猫沢さんはテラビト達が漬物石(遮断石)の影響で、本来の能力が衰えている事を目の当たりにしてきたのです。老科学者のテラビトも例外ではないのでしょう。
「そうだな…その辺はお前に任せた」
二匹は、老科学者にコンタクトを取るべく計画を話し合っていました。作者はディスクを止め、老科学者の似顔絵を描き始めたのです。
この人…年寄りなのか、若いのかサッパリわかんないやと、思いつつ…
猫谷エンジニアが、はっちゃんのデータをコピーし、小さなナビのような機械にセットしました。
「私は先に彼の様子を見に行ってくる。猫沢は、私が連絡をよこしてから来てくれ。皆に言うのは、もう少し後だ」
そう言うと猫谷エンジニアは足早に、時空間移動マシン フラクラフトに乗って行ってしまいました。
「猫沢さん あの老科学者は一体何者なんですか?カンタスカラーナでは何をしていたのですか?」
「…かつての…彼の以前の存在は、猫伊博士の先祖猫です。私は小さな頃、猫庭博士の両親猫に、沢山、彼の話を聞きました…」
「猫伊博士の祖先、そんな事迄分かってるんですか?何故、猫谷さんは極秘任務で彼を探しに来たんですか?」
「どうやらイクサフィーゴと関係あるようですが、イクサフィーゴが止まる以前から地道に彼の行方を探していたと聞きます…猫谷エンジニアは数年前に任務を引き継いだとも聞いています。私も、まだ詳しく聞いていません。何故、彼はわざわざ、退化した不自由なテラビトの肉体を選びテラで生きているのか…?不思議で仕方ない」
「引き継いだ?では随分前から捜索されていたんですね。でも、老科学者のテラビト、結構、お年を召してましたよ…」
「テラビトの寿命は短い…ギリギリで見つける事が出来て良かった…先任の猫が集めたデータの大半は、カルカナル族の末裔に盗まれ破壊されたと言ってましたからね…一から手探りだったと猫谷が嘆いていましたよ…」
「破壊された?カルカナル族は、まだカンタスカラーナで生きているんですか?」
「子孫達は一般猫に混ざって普通に生きていますよ。全盛期の頃のような力はありませんが、復活を目論む猫達が一部存在すると聞いていますが、私にはよく解りません。詳しくは猫谷から聞いて下さい」
ますます謎が深まります。
猫谷さん達は、老科学者と無事にコンタクトを取れるのか…
作者は静かに見守る事しか出来ませんでした。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第二弾を、今年も東京.高円寺猫の額さんでの個展にて発表致します。2015年6月5日~17日に開催決定。ただ今準備中(^O^)
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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