すっかり５月ですね。
現在、私を含めた10名の作家による企画展猫いっぱい展が、岐阜県可児市禅台寺のカフェ＆ギャラリー[樹の萌](きのめぐみ)さんにて開催中です。
ボリューム満点の素晴らしい猫展示になりました！猫好きの心を鷲掴みするモフモフ感が漂っています。お近くにお越しの際は珈琲等飲みに行くついでにお越し下さいませ。
珈琲や自家製ハーブティーやシフォンケーキがお勧めですよ。
参加してくださった作家さん達に大感謝です。
画像は、一枚目は、猫沢さんとマシン猫Σ-41(大きい方)とΣ-８(小さい方)とミニイクサフィーゴ(魚型エネルギー供給システム)
二枚目は、猫いっぱい展の模様、下にあるのは、びゃっこさんの立体作品、上の柱にあるのは、森央さんの作品です。
では観察レポートの続きを、お楽しみ下さいませ。
《サンプルNo.1号 植物の精油の不思議な力と取り戻した力》
サンプル１号は、どんどんと必要な情報を手繰り寄せていた。
ふと来た情報は、アロマオイルである。
植物から抽出されたオイル。
サンプル１号は、偶然にも知り合いのテラビトの中にアロマを扱う施術師がいたのだ。
そして精油を使い、優しい力で体中を解す技を持っている。
サンプル１号は、テラビトの施術師のサロンに訪れては、直感でオイルを選び、必要なオイルを買い求めたり、スプレーにしてもらったりしていたようだ。そして背中にたっぷりのオイルを馴染ませるようにマッサージされると良い香に包まれ癒されるのだ。同時に体内に凝り固まった老廃物や感情等を溶かすように働きかける。
その時、植物の精油が体や脳へ伝わる話を聞いたのだと言う。
精油を嗅いだ時に、鼻の中にある嗅上皮(きゅうじょうひ)の粘膜に付着し、そこにある嗅細胞から出ている絨毛(嗅毛)に受容されると、電気的信号(インパルス)に変換され、嗅神経から嗅球(きゅうきゅう)→嗅索(きゅうさく)→大脳辺縁系を通り、大脳皮質にある視床下部に到達する。
驚いてはいけない。
この伝達速度は、わずか０.２秒以下である。一秒もかからないのだ。
テラビト達は一瞬にして、香を感じ取る事が出来ると言う素晴らしい機能を備えている。
脳の中にある、大脳辺縁系と言う場所は、本能的行動(食欲、性欲、睡眠欲等)記憶、喜怒哀楽などの感情を司る、いわば[感じる脳]と言われる器官である。
場所は脳の奥である。
そして、大脳辺縁系に伝達された情報は、視床下部と言う器官に伝わる。自律神経や内分泌系、免疫系、呼吸、経皮吸収等を司る器官であり、大切な部分である。
テラビトにとって最も重要な器官に精油の芳香物質は入り込み、体や心に瞬時に反映されるのだ。
たかが香と侮っていてはいけない。
植物から抽出された精油には、植物ごとに得意分野がある。リラックスさせるのが得意な精油、シャッキリと目覚めるような精油、老廃物を排出する力を持つ精油、衰えた機能を回復させる力を備えた精油…他にもいろいろある。
施術師達は、クライアントの体調や心理状態や目的により、細かなカウンセリングを行い、合う精油を選び組み合わせ施術を施す。サンプル１号は、この施術に音叉をプラスした施術も受けているが、とても心地好いのだと言う。
音叉と言えば、音楽室にある音階を調整する道具が一般的であるが、音叉を使った施術もある事を付け足しておこう。音叉での施術は私達の星でも使われているし、私の周波数研究には欠かせない道具であり得意分野である。
私は周波数医師でもある。
大切な部分であるが、今は植物の話題がメインであり、ここで書くと長くなるので割愛させていただこう。
話を戻そう
精油と言えば、近年、アルツハイマーや認知症に効果があるとして、とある精油がマスコミで取り上げられ、猫も杓子も買い求め、売り切れ店続出だったと言う話題が広まったが、今現在は静かなものである…
ただやみくもに手に入れたとしても、体や脳への仕組みを理解しなければ、使いこなせずに箪笥の片隅に追いやられてしまうのでは、せっかくの情報もかわいそうではないか…？
そのような情報の陰には、大儲けの為に、粗悪な精油も多く出回ったと言う…。せっかくの情報がとんだ餌食だ。
大流行や最新トレンドや噂と言う物は、まるで取り扱い注意の珍獣のようである。しかも珍獣の中に聖獣が隠れている…見極めが難しい。
サンプル１号は、施術師のテラビトからじっくり精油に関する話を聞き理解をしたそうだ。
同時に、私達の物語を創り出す時に漬物石(遮断石)を解かす為に必要であると感じ、手に入れた精油があると教えてくれた。その一本が高価であるため、とても大切に使っている。
それなりに努力していたようだ。そして効果が現れている。
テラビトにとって、香の成分が脳へ瞬時に感知すると言うシステム、素晴らしい機能である。
ちなみに私達の星の猫達の嗅覚はテラビトの数百倍である…。ちなみにテラ猫はテラビトの15倍。
よって私達は、テラ滞在中は鼻の穴にシールドフィルターを張り過ごしている…外したら大変な異臭に倒れてしまうのだ…私は、テラ初上陸後テラビトの街に着いた時、思い切り吸い込みぶっ倒れた……
しかし不思議な事に、森の中やジャングルではシールドフィルター無しで活動出来る。私は、テラビトの街にいるのが息苦しくなると緑の地を探す…
ヒノモトの屋久島は、とても落ち着くのだ。カンタスカラーナシダーのある[深き森]に似ている。
テラビト達は、あの街中に漂う異臭等全く感じないのだろう…それどころか、人工の芳香剤や香を身につけ喜んでいる…
私は、鼻が曲がる思いで、テラビトの使用する香料や芳香剤の原材料を調べてみたが、安価な石油由来の物や、化学合成された香が多く出回っている。
食用の香料は、やや慎重であるが、身につける物や室内で使用する物には意外と無頓着に思えた。
サンプル１号は、数年前から柔軟剤の香料に対して拒絶反応があるが、家の者達は平気である事に異常に感じていた。
思い切って、重曹と少量の洗濯洗剤に切り替えると、鼻は平和を取り戻したと言う…
サンプル１号も食生活を改める前は、柔軟剤が使われ過ぎた衣類も、ちょっとキツイなぁ…程度にしか感じなかったと言う。消臭剤スプレーに入れられた香料も平気であったし、車の芳香剤も平気だった…
現在では、以前は心地好いと感じた人工の合成香料を嗅ぐだけで気分が悪くなるのだと言う…
私達の気持ちを、ようやく察してくれたらしい…ありがとう。
ちなみに、一緒に来た１３匹の猫達も、サンプル１号の部屋で、興味津々でシールドフィルターを外して気を失った…そんな彼等を見てサンプル１号は慌てて窓を開けたが、外気から流れ込む異臭に、さらに気を失ったのだ…。彼等には、かわいそうな事をした…
香と言う物質は、口から体内に入る迄の時間が食べ物を摂取するよりも速く脳に到達するならば、身につける物等、あらゆる香に対して細心の注意が必要ではないかと思うのだが…
見えない物質ゆえに、無頓着になるのだろうか？？私の星から持って来たスキャンスコープでは、香物質が色分けされて見えるが、これをテラビト達が見たら、さぞかし驚く事だろう…
上質の植物の精油は、脳に到達しても悪影響はないが、合成香料は、脳神経を誤作動させる成分が多々含まれている。それによって感覚は麻痺してしまい、テラビト本来の嗅覚や感覚を奪っているように見えた。
造られた香や食や身の回りの道具によって、本来の能力を奪われたテラビト達…漬物石(遮断石)を蓄積させる原因達…
何故、そうなったのか…？
サンプル１号は、奪われた味覚を食により取り戻し、奪われた嗅覚を香によって取り戻ししつつあるが道のりは遠い…。その度に見せられる気づかされる逆さま世界の実態に相変わらず困惑し混乱している。
テラビト達は、この囲われた世界で何を思い生きているのだろう？
時代遅れの科学文明だけが暴走し、テラビト達はあらゆるものを奪われ、どんどん短命化し退化している現象に疑問を感じないのであろうか？
そんなテラビト達の隣り合わせにいる植物達は、今も静かに寄り添っている…優れた力を持ちつつも、ひっそりと佇み、静かにテラビト達が気づいてくれるのを待っているのだ。
サンプル１号が植物の素晴らしさに気づいた翌年の春、庭の植物達は一斉に輝きを増し成長していた。
美しい庭である。花や野草達が話しかけるようだ。
植物に詳しい猫庭博士は、かつて植物達とテラビト達はコミュニケーションが取れていた事を教えてくれた。庭の植物達が教えてくれたのだ。
現代のテラビト達にとっては、ありえないお伽話だと思うだろう…そう思う者は、そう思えば良い…
いずれ解る時が来る。
これにて、サンプル１号観察日記は、2013年の春から2014の夏迄の記録であるが、ここで一旦終了する。
現在は2015年の５月、そろそろ本題に移行せねばなるまい。
私が13匹の猫達を引き連れて来たメンバーの中に、極秘任務を命じられた猫がいる。
猫谷エンジニア、通称、タニィちゃん。
彼の極秘任務内容を、とうとう公開する時がやって来た。
心して待たれよ。
[おしまい]
猫沢さんレポート第一弾は一区切り。次回からは、作者の文章に戻ります。
タニィちゃんは、猫沢さんの古いお友達猫です。カンタスカラーナ星の中枢機関と猫伊一族の依頼により極秘任務を任されています。
新しい彼等の活躍をご期待下さい。
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第二弾を、今年も東京.高円寺猫の額さんでの個展にて発表致します。2015年６月５日～１７日に開催決定。ただ今準備中(^O^)
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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